2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

米小児科学会倫理委の「栄養と水分の差し控え」ガイドライン(2009) 5/5

前のエントリーからの続きです。 (シリーズ内の互いのリンクがうまく機能しないことがあるようです。その場合は 本文枠の上部左右にある「前のエントリ―(左)」と「次のエントリー(右)」リンクをご使用ください) 5. 法的な考察 成人の場合は、クルーザ…

米小児科学会倫理委の「栄養と水分の差し控え」ガイドライン(2009) 4/5

前のエントリーからの続きです。 (シリーズ内の互いのリンクがうまく機能しないことがあるようです。その場合は 本文枠の上部左右にある「前のエントリ―(左)」と「次のエントリー(右)」リンクをご使用ください) 4. 考えるべき倫理問題として ① 障害の…

米小児科学会倫理委の「栄養と水分の差し控え」ガイドライン(2009) 3/5

前のエントリーからの続きです。 (シリーズ内の互いのリンクがうまく機能しないことがあるようです。その場合は 本文枠の上部左右にある「前のエントリ―(左)」と「次のエントリー(右)」リンクをご使用ください) 3.差し控えまたは中止が倫理的に適切…

米小児科学会倫理委の「栄養と水分の差し控え」ガイドライン(2009)  2/5

前のエントリーからの続きです。 (シリーズ内の互いのリンクがうまく機能しないことがあるようです。その場合は 本文枠の上部左右にある「前のエントリ―(左)」と「次のエントリー(右)」リンクをご使用ください) 2.前置き部分 冒頭、おおむね以下のよ…

米小児科学会倫理委の「栄養と水分の差し控え」ガイドライン(2009) 1/5

Ashley事件のDiekema医師が委員長・主著者として執筆したこの論文については 1年前に以下のエントリーで触れました。 米国小児科学会が「栄養と水分差し控えは倫理的」:著者はDiekema医師(2009/7/30) その後すぐに論文を手に入れてくださる方があって、全…

2010年7月30日の補遺

知的障害、自閉症を引き起こすとされる脆弱X症候群の遺伝子診断が、最後のNY州の認可でもって、全米の医師に可能となった。 http://www.medicalnewstoday.com/articles/196161.php 脆弱X症候群の遺伝子検査については、最近、以下の2つの補遺で拾っています…

「障害児の涎は薬で抑えましょう」というFDAの“Ashley療法”的発想

神経障害のために飲み込みに問題があり、涎を垂らしてしまう 3歳から16歳の発達障害児を対象に、米国FDAがCuvposa という薬を認可した。 唾液の生成を抑制する。 元々は何十年も前に消化器官の潰瘍のある患者に認可されたもの。 それが涎を垂らす発達障害…

やっぱりCNNが飛びついたGA州ALS患者の「臓器提供安楽死」希望

この話、25日に GA州のALS男性が「臓器提供安楽死」を希望のエントリーでとりあげた時には、 まだローカル・ニュースだったのですが、 これがローカルにとどまるわけはないだろうと予想していたところ、 案の定、CNNが大きく取り上げました。 冒頭、heartb…

2010年7月29日の補遺

遠距離介護支援テクノロジー。 http://www.nytimes.com/2010/07/29/garden/29parents.html?_r=1&th&emc=th 英国国籍の少女50人から200人が、この夏、国内外で女性器切除をされる見込み。記事の最後に、アフリカ諸国での実態の事実関係が簡単にまとめら…

2010年7月28日の補遺

ワシントン州とモンタナを落とした「死の自己決定権」アドボケイト、C&Cの次なるターゲットはアイダホだ、との情報。 http://www.lifesitenews.com/ldn/2010/jul/10072309.html 自殺幇助を医師の判断で医師にやらせるのではなく、裁判所を判断機関として合法…

「学校で無料コンドーム」問題に見る「子どものプライバシー権」と「親のプライバシー権」の対立

前の二つのエントリーで「プライバシー権」を考えてみるきっかけになった マサチューセッツ州の「学校で無料コンドーム配布」事件について いくつか記事を読んでみました。 6月8日、マサチューセッツ州Cape Cod市の Provincetown学校委員会が全会一致で通し…

米国のプライバシー権を確立したGriswold事件から断種法へ 2

(前のエントリーの続きです) ④ もう1つ、非常に興味深いのがソドミー禁止法。 米国の多くの州は 獣姦、ソドミー、オーラルセックス、同性愛を犯罪とする州法を定めている。 その後、オーラルセックスはコモン・ローで合法とされたが いくつかの州では肛門…

米国のプライバシー権を確立したGriswold事件から断種法へ 1

香川智晶氏の「死ぬ権利 ――カレン・クインラン事件と生命倫理の転回」について 7月12日に以下の4つのエントリーでまとめました。 Quinlan事件からAshley事件を考える 1 Quinlan事件からAshley事件を考える 2 Quinlan事件からAshley事件を考える 3 Quinlan事…

2010年7月26日の補遺

ひょんなことから見つけた、シアトルこども病院トルーマン・カッツ生命倫理センターの開設に関する2004年12月のSeattle Piの記事。:とても興味深いことに、コメントしているのはDiekemaとNorman Fost。ある学者さんは、トルーマン・カッツセンターはDiekema…

"栄養補給所"を作って「業務がはかどる」と胸を張った師長さん、「胃ろう検討は十分な看護ケアをしてから」と主張した師長さん

昨日のETVの胃ろう特集を見て、再掲したくなったので、 これまでの2つのエントリーの一部を、それぞれ、 前半は口から食べられる子どもを胃ろうに切り替えて"栄養補給所"を作った師長さんの話、 後半は「胃ろう検討は十分な看護ケアの後で」と主張した師長…

ETV特集を機に「胃ろう」について書いたエントリーをまとめてみる

昨夜、NHKのETV特集で胃ろうが取り上げられていた。 とても一面的な番組作りのような気がしたし、 言いたいことが山のように頭に群がり起こってきたのだけれど、 とりあえず言いたいことが多すぎて、まとまらないので、 これまで書いてきたことを以下に。 ① …

GA州のALS男性が「臓器提供安楽死」を希望

トンデモ生命倫理学者のJulian SavulescuがBioethics誌で 「臓器提供安楽死」を提唱したことについては、 5月から以下の2つのエントリーで紹介してきました。 「生きた状態で臓器摘出する安楽死を」とSavulescuがBioethics誌で(2010/5/8) Savulescuの「臓器…

コロンビア大の脳研究で、精神障害者らに不純物混入薬物注射が常習化

精神疾患治療へのPET画像診断応用研究で世界的に有名な コロンビア大学の Kreitchman PET Centerで、 研究所責任者による公認状態で、4年間に渡り、常習的に、 精神疾患のある被験者の脳画像診断の際に 害をなす恐れのある不純物が混入した薬物を注射してい…

2010年7月21日の補遺

ドイツのSpiegelという雑誌の英語・電子版で、医師527人への安楽死に関連したアンケート結果と、それを巡ってSpiegel誌とドイツ医師会会長との激しい応酬。:Spiegel誌の質問というかツッコミ方が、なんともえげつなくて、つい最後まで読んでしまった。あ~…

英国老人医学会が医師による自殺幇助に反対声明

19日付で英国老人医学会から 医師による自殺幇助に関する意見声明が出されています。 一番こういうことを言ってほしかったところから、 非常に的確な声が上がった感じ。 先週、ずっと考えていた問題(詳細は文末にリンク)に 簡潔ながら核心をついた、頼もし…

2010年7月20日の補遺

ウィーンのエイズ会議で、Bill ClintonとBill Gatesが、世界不況で慈善資金が集まりにくいなか、効率のよいプログラムの選別に新たに取り組む必要を説いた。その例としてGates氏が挙げているのが、男児の包皮切除術はHIVの感染率を60%削減できることに加…

“ロックト・イン症候群”の男性が「妻に殺してもらう権利」求め提訴(英)

2005年に仕事先のアテネで脳卒中を起こして“ロックト・イン”になった 54歳の Tony Nicklinsonさんは、頭と目以外はどこも動かすことができない。 文字盤を使って会話は可能だが、面倒なので最近はコミュニケーションの意欲をなくしているとのこと。 ターミナ…

「ターミナル」診断に対する医療職の意識調査:“生の質”も“死の質”も本当はただ“医療の質”の問題では?

The Journal of Clinical and Health Psychologyに掲載されたGranada大学の調査で 患者をターミナルな段階だと認定するにあたっては 医療職の感情などが影響し基準が一定していない、と。 Granada地域の病院で42人の終末期の患者のケアに当たる 21人の医師と…

2010年7月16日の補遺

知的障害の原因となる脆弱X症候群の遺伝子スクリーニング導入に向け、エビデンスが整ってきたという論文。Genetics in Medicine誌7月号に。ピア・レビューでは、もっと研究が必要、と指摘も。 http://www.medicalnewstoday.com/articles/194639.php 組織的な…

「死の質」について、もうちょっと

昨日、以下のエントリーを書きました。 「死の質」は英国が1位だという調査 「死の質」は果たして「生の質」の対極にある概念なのか そこでとりあげた「死の質」40ヵ国調査とランキング The Quality of Death: Ranking End-of Life Care Across the Worldに…

「死の質」は果たして「生の質」の対極にある概念なのか

「死の質 quality of death」という言葉を今朝、目にしてから ずっと気になっている。 Independentの記事には、 「生活・生命の質 quality of life」には注意がはらわれてきたけれど、 今まで「死の質」にはそれほどの注意がはらわれてこなかった、として こ…

「死の質」は英国が1位だという調査

いつもお邪魔している方のブログが 今朝、共同ニュースの記事を取り上げておられました。 ★「豊かな死」1位は英国、日本は23位。 【学院倶楽部】科学と宗教ならびに強要と民族の【共同と連帯】 2010年7月15日 その後、たまたま、この調査に関する Independen…

2010年7月14日の補遺

イスラム女性の顔を覆うヴェールを禁止する法案がフランスの下院を通過。 http://www.guardian.co.uk/world/2010/jul/13/french-ban-face-veils 現在のところFDAのライセンスを受けた唯一の炭そ菌感染予防ワクチンBioThraxの大規模な製造に向け、Emergent社…

豪タスマニア州が自殺幇助合法化法案を準備中

先月、オーストラリア、Tasmania州の首席検事(検察局長?) Lara Giddings氏が明らかにしたところでは 30万ドルの予算を追加して法案を作成し、来年にも自殺幇助合法化法案が州議会に提出される見通し。 それに先立って、まずパブコメ募集が行われるだろう…

Quinlan事件からAshley事件を考える 4 :Q判決後と A事件との類似

4.クインラン事件 「第2の物語」 (1~4の4) NJ州最高裁の判決後、しかし病院は呼吸器の取り外しを拒否。 徐々に慣らして「乳離れ」を行い、カレンは完全な自発呼吸を開始する。 すると病院は態度を一変して退院を迫り、 カレンは6月にナーシングホー…