2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

“エレファントマン薬物実験”の怪

数週間前、ある小さな大学で学生さんたちの冗談紛れの会話を漏れ聞き、 思わずギクッとなったのは、 「こいつ、な~んか得体の知れない薬の臨床実験のアルバイトをするって」 「えーっ? だいじょうぶかよ、そういうの」 「ウソだよ。そんなのやらねーよ」 …

「遺伝子診断で公的医療の役割増す」と英首相予測

英国の国営医療制度NHSが60周年を迎えるのを期に、 Brown首相がBBC Scotlandの独占インタビューに応じました。 Brown reveals sight saved by NHS BBC, June 26, 2008 Brown首相は子どもの頃にスポーツの際の事故で片目の視力を失っており、 NHSがいかに素…

「無益な治療」訴訟(加)のGolubchuk氏死亡

当ブログでも何度か取り上げてきましたが、 カナダで84歳の男性患者Golubchuk氏を巡って 「無益な治療」論による生命維持装置取り外しを求める病院側と 継続を求める家族が対立して訴訟となり、 今年9月に裁判所の判断がでることになっていたケースで、 …

30年前の誤解

もう30年近く前、 私たち夫婦が新婚当時に暮らした小さなマンションでの出来事。 夫婦で遠方の友達の結婚式に行くのに旅費を節約して車で出かけ、 夜通し高速を走って明け方の3時ごろに帰宅したことがあった。 翌朝9時ごろに玄関のブザーが鳴って、目は…

WA州、自殺幇助でOregonに続くか?

現在、米国で医師による自殺幇助が法的に認められているのはOregon州のみですが、 以下のニュース等によれば、 ワシントン州でオレゴンの法律をモデルに自殺幇助法制化に向けて、 オレゴンなど州外から多額の資金を集めて署名活動・キャンペーンが行われてい…

MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(英)

英国で45歳の多発性硬化症の女性 Debbie Purdyさんが 自殺幇助を禁じる法律の明確化を求めています。 Purdyさん自身は車椅子生活ながら パラシュートで飛んでみたいなど前向きに生きていて 今のところ死ぬことを考えているわけではありませんが、 今後もう…

自閉症親子、飛行機から降ろされる(米)

かんしゃくを起こして騒いだ自閉症児(2才半)と母親が すでに滑走路に向かっていた国内便の飛行機から降ろされ、 American Eagle社の対応を巡って、賛否両論がおきています。 Autistic toddler removed from plane The Chicago Tribune, June 25, 2008 母親…

ダウン症人形の是非

父が思いがけない急展開で人工呼吸器装着となったため、ここ数日 自分の頭と心の整理の必要からコメント不可にて個人的な体験を書かせていただいておりましたが、 父は一応の落ち着きを見ました。 ご心配いただいた方々、ありがとうございました。 ダウン症…

抜管

父は昨日の段階では気管切開という話もあったのですが、 今日の午後、抜管で酸素マスクとなりました。 仕事が終わってから病院に寄ってみると父は1人で眠っていましたが、 気配で目を開けて、すぐに私だと認めました。 声がまだちゃんと出ないので何を言っ…

医療の理解度のギャップ

(この数日、コメント不可にて非常に個人的な体験について書かせていただいております。) 父が突然人工呼吸器を装着する事態が起こってから この3日間で考え続けていることの1つに、 家族と医療サイドとの理解度のギャップと 家族間での理解度のギャップ…

家族それぞれの思い その微妙なズレ

(昨日から父の人工呼吸器装着という非常に生々しい同時進行の体験について書いており、 受け止めたりお答えする余裕があるかどうか自信がないため、 申し訳ありませんがコメント不可とさせていただいております。) 父親が胃穿孔・腹膜炎の手術後に思いもか…

父が人工呼吸器をつけました

突然、81歳の父親が人工呼吸器をつける事態になりました。 以下に書いていることについては、 自分では冷静なつもりですが、 未整理なままの部分があったり、矛盾することを書いているかもしれません。 患者家族の揺らぎとしてご寛容いただければ。 また万…

ソフトバンクの子どものケータイ擁護論

6月15日の朝日新聞が「耕論」というコーナーで子どもの携帯問題を取り上げていて、 そこでソフトバンク社長室長の嶋聡氏が 携帯電話はもはや重要な社会インフラなのだから、 使いこなせるように子どもにも早くから持たせた方がいいと 主張しています。 そ…

少女らによる中絶が急増(英)

2007年の16歳未満の少女による妊娠中絶の件数は前年の10%増。 14歳未満で見ると、21%の増。 中絶ピルによる妊娠中絶は2006年の30%から35%も急増。 Abortion increase in young girls BBC, June 19, 2008 記事では、 学校で性教育を…

「サイボーグ患者宣言」

現代思想3月号に「サイボーグ患者宣言」と題して ロボット工学の世界的権威、筑波大学大学院の山海嘉之教授と 生命倫理学者で立命館大学大学院の松原洋子教授が対談しています。 山海教授が作ったロボット・スーツHAL(Hybrid Assistive Limb)は 国内はも…

失ったのではなく“捧げた”手足

戦争で障害を負った人口の増加で米国が障害者法のバリアフリー化をさらに推し進めるという 昨日のニュースで思い出したこと。 多分以下のテキサスの施設じゃないかと思うのですが(他にもあるのかもしれません) ずいぶん前に米国のどこかに退役軍人のための…

障害者法のバリアフリー規定を広範に強化(米)

1990年に制定されたthe Americans With Disabilities Act( 米国障害者法)から10年。 ブッシュ政権はパブリックオピニオンの募集を経て近く 障害者のバリアフリー整備についてのこれまでの規定を拡大、厳格化する予定とのこと。 たとえば裁判所の証言台…

イスラム女性の処女膜再生からAshley問題を

前のエントリーでとりあげたヨーロッパ在住のイスラム女性の処女膜再生術の話を その後あれこれ考えているのですが、 もしも何かの拍子に 処女膜を再生したのだという事実がバレてしまったら……? そういうことを考えると、やっぱり処女膜再生は彼女らの解放…

欧州在住イスラム女性に広がる処女膜再生術

ヨーロッパ在住のイスラム女性の間で 民間病院で処女膜再生術を受ける人が増えている。 日ごろは西側の自由な価値観に染まって暮らしている彼女たちも、 いざ、その生き方のまま自国の文化と直面できるかというと、そう簡単ではないらしくて、 ドイツで小さ…

ケータイ中毒の子ども入院治療へ

スペインで12歳と13歳の2人の子どもが 携帯電話への依存のため通常の生活を送ることができなくなり、 親が精神病院に入院させたとのこと。 クリニックとしても携帯電話の依存症で子どもを治療するのは初めてのことだとか。 Spain treats child phone ad…

米英の子どもの貧困

奇しくも同じ日に米国・英国それぞれから 子どもの貧困についての記事が出てきました。 まず米国の話から。 Colorado州で2006年に貧困状態にある子どもの数は18万人で州の全人口の15,7%で、 2000年から実に73%も増加。 これは全米で最も高…

地域医療になう医師のNPOファミリーケア大賞を創設

NPO法人全国在宅医療推進協会が 第1回ファミリーケア大賞の応募者を募集しています。 在宅で介護をしている家族と、 その家族を支える、かかりつけ医や医療スタッフとがペアで選考対象となります。 自薦・他薦どちらでも。 審査のポイントは主に以下の2点…

子育て支援=母親支援・・・という国?

フレックス勤務を要求する権利を通じた英国の子育て支援について書いたばかりの今日、 日本のニュースにこんなのがあった。 働くママに時短か残業免除、選択制度義務付け・・・厚労省方針 読売新聞、6月12日 「働く女性の子育て時間を確保するために、 労…

英国の新しい介護者戦略

6月10日に、英国の新しい介護者戦略が発表されました。 Carers at the heart of 21st century families and communities: a caring system on your side, a life of your own Department of Health, June 10, 2008 フル・テキスト、サマリー、保健省と労…

英国の介護者週間から介護についてあれこれ

6月と言えば英国では介護者週間(Cares Week)の季節。 14回目を迎える今年も 9日から15日までCares Week 2008が開催されています。 Carers UK, Counsel and Care, Crossroads Caring for Carers など10のチャリティが共催。 Cares Week 2008 GM YV,…

フレックス勤務を求める権利という子育て支援(英)

英国では2002年の雇用法によって2003年から 6歳以下の子どもと18歳以下の障害児の親には フレックスな勤務を求める権利が認められています。 明確な業務上の理由があれば雇用主はその要求を断ることもできますが、 理由を書面で通知しなければならないなど、…

今度はアル中を治す薬だって

toperamate という、てんかんの薬を重症のアルコール依存症患者に飲ませてみたら、 酒を飲みたいという欲求が抑えられただけじゃなくて 全身状態も改善したというアメリカの研究結果が the Journal Archives of Internal Medicineに報告されたとのことで、 …

妄想

数年前から行きがかりで外資系の保険屋さんとお付き合いがある。 客としてのお付き合いは非常に薄いのだけれど、 なぜか、この保険屋のニイチャンとはなんとなく仲良しで、 経済とかお金の問題に疎い私は、たまに彼がくると掴まえては いろいろ教えてもらっ…

ステロイドの副作用は過小に報告されている

ステロイド剤の誤用・濫用はもはやスポーツ界だけの問題ではなく、 広く社会に行き渡って、保健医療の問題となっているにも関わらず、 保健行政には副作用のデータがきちんと上がっていない、として、 薬物によってはスポーツでパフォーマンス向上の効果があ…

違法ステロイド体験記から思うこと

カナダの作家 Craig Davidsonのステロイド体験記の中から、 個人的に非常に気になった点をいくつか。 ① 冒頭、彼が「油っぽい尿」のような液体が入った注射器をかざして逡巡する場面で、 この液体が2種類のステロイドであることが書かれているのですが、 そ…