2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

介護者差別を巡るColeman裁判

去年の10月から注目していた裁判に進展があった模様なので。 といっても、一体どのように捉えればいいのか、 ちょっと困惑気味なのですが。 英国の障害のある子どもの母親Sharon Colemanさんが 子どもの障害ゆえに職場で差別され、 それが原因で仕事を辞めざ…

自閉症3歳児殺害の母に有罪評決

米国イリノイ州で去年5月13日に 自閉症の3歳の娘 Katie McCarron を ポリ袋で窒息させて殺害した母親(37)に対して 陪審員は弁護側の心神耗弱の主張を退けて 有罪の評決に至ったとのこと。 ちなみに母親の Karen は医師です。 Mother convicted of suffocati…

医師は障害者のことは案外知らない

前のエントリーで紹介した福祉職の人の 「医師は障害者のことについては知らない」という指摘について。 この指摘を意外だと感じる人も多いかもしれないのですが、 逆に障害者や高齢者の医療・福祉の現場で働く医師以外の職種の人にとって また本人や家族に…

ある福祉職のKatieケースを巡る感想

Katieケースについて、あれこれ検索していると、 英国のメディア・サイト、Digital Spyに 「医師らは母親の要望どおりに重症児に子宮摘出を行うべきか」 Should doctors give severely disabled girl a hysterectomy at request of her mother? というフォー…

Daily Mailの報道姿勢の不思議

どうしても気になってならない、 Daily Mailの報道姿勢について。 去年10月以降のKatieケース関連Daily Mail記事は以下の4本ですが、 Why I want surgeons to remove my disabled daughter’s womb(07年10月7日) Why this mother should be allowed to h…

A療法擁護の2人ドーピング議論に

去る1月15日にニューヨークで 「競技スポーツでの能力強化ドラッグは受け入れるべきである」 We should accept performance-enhancing drugs in competitive sports. という提案をテーマに大きなディベートが行われたらしく、 ネット上でも多くの記事やブロ…

ロボトミー被害者が手記を出版

英米でロボトミー手術の歴史が振り返られているようです。 継母との折り合いが悪く反抗的だったために 1960年に本人の同意どころか説明すらなく Walter Freeman医師にロボトミー手術を行われたHoward Dully(58)氏は 奇跡的に後遺症を免れて 現在バスの運転…

日本でも超重症児の切捨てが始まっている 2

前回のエントリーに続いて、 療養病床廃止による病院からの高齢者の追い出しと同じことが 超重症児でも起ころうとしていることについて。 日本では今のところ、それほど えげつない呼び方はされませんが 今の日本の超重症児を取り巻く現状は 英国で重症障害…

日本でも超重症児の切捨てが始まっている 1

朝日新聞が1月19日に 「医療的ケア必要な子達 卒業後 足りぬ受け皿」という記事で 医療的ケアを必要とする超重症児たちを受け入れる施設が 入所も通所も共に不足しており、 養護学校卒業後の行き場がなくなっている問題を取り上げていました。 日本小児科学…

日本でも「娘の胸小さくするか、成長止めたい」と

読売新聞の掲示板サイトに 「大きすぎる娘の胸」というトピを立てた人があり、 この春に中学に上がる娘さんの胸があまりに大きいので 「胸を小さくしたり、成長を止めることはできないのかな?って おもうのですが、手術以外の方法を誰か知りませんか?」と…

法学分野からAshley論文

このところ、AshleyケースでもKatieケースでも 本質から全くズレた方向へと世の中の空気を誘導しようとする動きばかりが目に付いて 危機感を募らせていたので、 「待っていました!」というところ。 Alebany ロー・スクールのAlicia R.Quelletteという人のAs…

乙武クンは安楽死の対象?

シアトル子ども病院生命倫理カンファの2日目 7月14日午前のパネルの冒頭、 John J. Parisが「白黒つけにくい灰色のケース」として紹介したのは 以下のような事例でした。 生まれた子どもに四肢が欠けていた。 医師が神経異常を疑ってMRI検査を行ったところ、…

FRIDAがDiekema講演情報

Ashley問題で抗議行動を続けているFRIDAのブログにも 1月18日付で Michigan Activists at Ashley X Debate Todayという記事があり、 Diekema講演を聴きに行った障害者の人権アクティヴィストからの報告が 簡単に取り上げられています。 それによると、 600人…

D講演で会場から出た声

前のエントリーで紹介したDiekema講演の模様を伝える記事から、 当日会場から出た障害当事者の発言と重症児の母親の言葉を。 Engle という車椅子の男性は Ashleyの親と医師らのしたことは一線を越えているとし、 Ashleyは現在10歳だが、いずれ女性に成長し、…

米国メディアの不思議

Katieケースの新展開を巡る英国の記事はいくつか読んだので、 そういえば第1例であるAshley事件が起きた米国で メディアが英国のこの展開をどう報じているのかが気になって、 めぼしいところをざっと検索してみたのですが、 驚いたことに報じられていない様…

BBCのKatie記事

BBCもAlisonに直接取材して17日に記事を打っていました。 病院からどのような返事があったのかという点について、 Alisonはこれまでのどの記事よりも丁寧に説明しています。 Teenager is refused hysterectomy BBC January 17, 2008 去年の10月にAlisonがBBC…

Ashley父がやりたいのは実験?

前回のエントリーで取り急ぎのお知らせをしたAshley父のブログ更新の中の 立ち上げ1年後のアップデイトを読んでみました。 まず、Ashleyの近況については ・ 元気にしており、安定している。 ・ 薬も減って今は逆流の薬だけ。 (逆流の薬というのは胃ろうの…

Ashley父のブログ更新

英国でKatieの子宮摘出が却下されたことについて コメントしているワケがないとは思いつつ (今までも一切触れないのが逆に不自然なくらいなので) まぁ、一応……と 久しくチェックしていなかったAshley父のブログを覗いてみたところ、 思ったとおりKatieケー…

Katieケース婦人科医に関する疑問

これまでのKatieケースに関する報道によると、 ずいぶん以前からKatieの子宮摘出を望んでいたAlisonに対して St. John’s病院の婦人科医Phil Robarts医師は ピルとホルモン注射で対応するよう提案していたといいます。 ところが去年の8月にAlisonから重ねて…

TimesのKatie記事

こちらは事実関係のみ、短くさらりと。 Doctors refuse to perform hysterectomy on girl the Times January 19, 2008 引用は既にお馴染みNHSトラストのスポークスマンの4行と、 Disabled People’s Council のスポークスマンの2行のみ。 記事が出てくるタ…

GuardianのKatie記事

Daily Mail, Tetegraphと続いた後で Guardianのこの記事を読むと、 ちょっとほっとさせられます。 Hospital refuses plea for hysterectomy on cerebral palsy girl The Guardian, January 19, 2008 まず、このケースの位置づけ方が上記の2紙よりも本質的で…

Diekema講演の概要アップされる

Diekema医師の講演はまだ聴けていないのですが、 Calvin大学の当該サイトに概要がアップされたので、 読んでみました。 内容はだいたい、これまでに言ってきたことの繰り返しですが、冒頭で Ashleyケースは捻じ曲げられ、誤って伝えられている(distorted an…

Katieケースで始まった障害者たたき

Katie Thorpeの子宮摘出却下を報じるTelegraphの記事には 今の段階で15のコメントが寄せられています。 最初の1つが「母親には気の毒だけど子宮摘出が答えではないでしょう」 と書いた他は全て、却下の判断への非難と障害者団体たたきです。 論点は概ね以下…

子宮摘出却下で障害者たたき?

Diekema講演をライブで聴こうと 睡魔と闘いながら2時半までがんばって起きていたのに、 テクニカルな問題で聞くことができず、 時計を睨みつつ、ジタバタとあれやこれや試みるも 空しく焦り続けて1時間が終わってしまう……。くっ。 このまま寝るのも悲しく口…

Katieの子宮摘出は却下

17日付でDialy Mailが報じたところによると、 医師らは母親Alisonに対して 「医学上の理由がある場合でなければ手術は行わない」と 通告したとのこと。 Doctors refuse mother’s request to remove disabled daughter’s womb “because of charity backlash” …

Ashley父はOprahの出演依頼を蹴っていた

Kalamazoo Gazetteの記事で触れられていた、 Calvin大学同窓会誌 Spark 2007年冬号で Diekema医師が延々とAshleyケースについて語っている記事はこちら。 タイトルは「アシュリーの物語を語る(Telling Ashley’s Story)」。 何しろ長いです。 長い割りに内容…

もう1つDiekema講演関連記事

15日のGrand Rapids Pressに続き、 今度はKalamazoo Gazett紙が19日のDiekema講演に向けて Ashley事件の概要をまとめ、 EメールでのDiekema医師とのQ&Aを紹介しています。 What is ethically OK in treating a disabled child? Doctor in controversial ca…

“A療法”擁護者の2つの系譜

これまで当ブログでは 去年1月から2月にかけての“Ashley療法”論争の際に メディアに登場して両親を擁護した人たちの発言を検討してきました。 現在までに「擁護に登場した奇怪な人々」の書庫にあるエントリーで とりあげた人物は10人。 この10人の人物像を…

親による治療拒否(2つめのRoss講演)

去年のシアトル子ども病院生命倫理カンファで 2回講演を行っているのはNorman Fost と Lainie Freidman Ross。 第1日目7月13日午後の分科会での講演では 子どもへの臓器提供者としての親と、 その場合のリスクの考え方について 数多くの問題を提起して…

Diekema医師のウソ一覧

19日(日本時間)のDiekema講演までにやっておきたかったことの1つは、 これまで当ブログで検証してきた彼のウソを整理しておくこと。 論文やメディアでの発言において、 Diekema医師はいくつか明らかなウソをついています。 隠蔽を含め、ウソといえるもの…