2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

CA州で新たな「無益な治療」事件

Kessel Marciasさんは数ヶ月前に メキシコのTijuanaで痩身手術(脂肪吸引? 胃のバンディング?)を受けた。 1月30日になって、血を吐いたので、 その時の担当医に電話をすると、 「それは正常なことだし、治せるから連れてこい」と言われた。 そして、Tijua…

パパイヤが「新聞を読み比べろ」と言ったから……

しばらく前に、どこかのエントリーのコメント欄で 話題になった新聞の話――。 我が家はかなり長くA新聞を読んでいたのだけれど、 1年くらい前にやめて、とりあえず今はM新聞を読んでいる。 去年、次の契約をとりに来たA新聞の パパイヤ鈴木そっくりな兄ちゃん…

Owen教授らの植物状態患者の意識検知に、ベッドサイド簡易法も

ケンブリッジ大、カナダのウエスタン・オンタリオ大のオウェン教授が 植物状態と診断された患者と脳スキャンを通じてコミュニケーションをとる方法を 研究していることについては以下のエントリーで触れてきましたが、 「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/…

2013年3月28日の補遺

【恐縮ですが、宣伝です】 雑誌『支援 Vol.3』できました! 特集は「逃れがたきもの、『家族』」。 私も書かせてもらいました。よろしくお願いいたします。 詳細はこちら ⇒ http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/66145517.html 写真はこちら ⇒ http://instag…

カナダの法学者らが障害の社会モデルに基づき「成長抑制は不適切」

論文のアブストラクトは以下。 In this article, we consider the implications of growth attenuation should it ever arise in the Canadian context. While parental autonomy to make crucial health care decisions and exercise control over minors i…

米国の医療機関に、車いす使用者の診察予約の電話を入れてみたならば……(調査)

米国内科学会誌に 車いすを使用している成人は 障害のない成人に比べて医師にかかりにくく、 予防医療も非障害者ほど受けられていない、との調査結果が報告されている。 この研究のデザインが非常に興味深くて、 肥満していて半身まひの車いす使用者で、 自…

「米国の救命優先ルールの轍を踏まず、英国医師はDNR決定権守れ」

英国ではこのところ 患者も家族も知らない内に一方的に蘇生不要(DNR指定)がされるケースが続発して 訴訟になったり、大きな論争になっている。 終末期ケアのプロトコルLCPが機械的に高齢者に適用されている問題も 政府が調査に乗り出す騒ぎにまで発展して…

「子宮頸がんワクチン 被害者連絡会」発足のニュースに当たって

① <子宮頸がん>予防ワクチン副作用 被害者連絡会が発足 Yahoo!ニュース (2013年3月25日) 同会の池田利恵事務局長(東京都日野市議)は記者会見で「子宮頸がんワクチンが本当にがんを減らす効果があるのか疑問。救済制度も不十分だ」と指摘 「本当にがん…

生きたいのにICなしのモルヒネ投与で死んでしまったALSの元外科医(MT州)

09年にターミナルな患者へのPASを禁じた法律は違憲だとの判断が出たモンタナ州の議会には 現在、PASを明確に違法とする法案が提出されていますが、 それを受けて、地元紙に元外科医の妻から投書。 ALSの夫を本人の意思に反するモルヒネ投与で失った体験を語…

助かったはずの知的障害児者が医療差別で年間1238人も死んでいる(英)

英国の医療での知的障害者差別の実態については 2007年にMencapが画期的な報告書、Death by indifference を刊行していますが ↓ 「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31) オンブズマン報告書を読んでみた:知的障…

シューモンの有機的統合性による“脳死”批判への擁護 Brugger論文

有機的統合性に基づく脳死定義へのアラン・シューモンの批判といえば、 日本で臓器移植問題に興味のある人が思い出すのは小松美彦氏の「脳死・臓器移植の本当の話」(PHP新書)。 小松氏の「有機的統合性」概念批判の概要はこちらに ↓ 有機的統合性は“脳死=…

今度はカナダの生命倫理学者が「デッド・ドナー・ルール」を否定

カナダの生命倫理学者、カルガリー大の Walter Glennonが Cambridge Journal of Healthcare Ethics 4月号で デッド・ドナー・ルール(死亡提供ルール)に疑問を呈している。 アブストラクトはなく、最初の1ページは以下。 ↓ The Moral Insignificance of Deat…

美しい文章 7:清水義範「バラバラの名前」

マルカーノ修道僧に案内され、我々は僧院長のオーテンシオと対面した。 「ようこそ、パチョレック。あなたが数々の難事件を解決してきていることは、よくきいておりますぞ」とオーテンシオは言った。 「因果の糸はおだまきの、みちのくなれば白松ガモナカ」 …

「安楽死やPAS合法化は、痛苦の責を患者に転嫁する」と16年前にエマニュエル

生命倫理学者で腫瘍科専門医のエゼキエル・エマニュエルについては これまで以下のエントリーで触れてきました。 「障害者は健常者の8掛け、6掛け」と生存年数割引率を決めるQALY・DALY(2009/9/8) 自己決定と選択の自由は米国の国民性DNA?(2009/9/8) Dr. Em…

脳卒中の妻への銃殺無理心中を、ホスピス幹部も家族も視聴者も「愛の物語」と絶賛(米)

ペンシルベニア州で19日火曜日午後1時ごろ、 Lehigh Valley病院のホスピス病棟に入院中のMildred Osmanさん(83)を 夫Elwood(86)が銃で撃って殺害。自分も銃で自殺した。 Mildredさんは3月初めに脳卒中を起こし、 終末期のホスピスケアを受けるために入院…

2013年3月20日の補遺

カナダのBC州で去年出た、PAS禁止の違憲判決の上訴審。上訴したカナダ政府の意見陳述などニュースが続々出ていて、全然読めていないのだけど、せめて一つくらいは拾っておく。 http://www.theglobeandmail.com/news/british-columbia/judge-erred-in-trying-…

【お知らせ】ヤングケアラー支援ブログが誕生しました!

一般社団法人日本ケアラー連盟から ヤングケアラー支援ブログが誕生!! http://youngcarers.carersjapan.com/ 病気や障がいをもつ家族をケア(介護、看護、世話など)している、または そのお手伝いをしている10代~20代のヤングケアラーと元ヤングケアラー…

2013年3月18日の補遺

ミネソタ州で、85歳の終末期の男性Al Barnes氏の治療続行を望む妻から代理権が剥奪された11年の事件。永続的な法廷代理人が決まるまでの間、緊急法廷人を任命されたのはAlternate Decision Makersという会社。 http://www.startribune.com/lifestyle/health/…

豪でペントバルビタールを違法に輸入して自殺する人が急増

オーストラリアで 海外から違法に輸入したNembutalなどペントバルビタール系の薬物を使って自殺する人が 2010年の13人から2011年には30人と倍以上になり(他に7件捜査中)、税関が取り締まりを強化。 そのおかげで昨年はいったんは減ったものの、今年に入っ…

英国王ジョージ5世の死は、弔報を朝刊に間に合わせるための安楽死だった

Tony Bland 訴訟のエントリーへのコメント欄でMoritaさんから教えていただいた 英国ジョージ5世の安楽死に関するNYTの記事を読んでみました。 英国のジョージ5世は 現在のエリザベス女王のおじいさん。 1936年にSandringham城で崩御。 崩御の直前の1月20日夜…

2013年3月15日の補遺

医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書POLSTの情報を拾った時には戦慄したけど、今度はMOLSTだって。要はPOLSTのことみたいなんだけど。:単なる「リビングウィルを書きましょう」の掛け声では書きはしないものだから、…

「カネがないから国民に障害を負ってもらっては困る」ならば What’s your plan?

英国で 自立生活給付が廃止されるのは違法だと障害者らが訴えたことをめぐり、 「カネがないから障害を負ってもらっては困ると言うなら、どうするというの?」 というタイトルの論考。 最も障害の重い人口の2%が予算削減の15%分をかぶるというのは 非道で…

Betancourt訴訟上訴審の判決文を読む:植物状態からの治療中止を認めず、判断の一般化も回避

前のエントリーでとりまとめてみた英国のBland事件と同様に、 米国でも植物状態とされた患者からの生命維持の停止が問題となったBetancourt訴訟。 拙ブログでもお馴染みのNot Dead Yet、ADAPTやThaddeus Popeなどが 「法廷の友」として意見陳述してもいる事…

Tony Bland訴訟(英1993):植物状態患者から栄養と水分の停止を認める

トニー・ブランド事件(1993)については 以下をはじめ、いくつかのエントリーで触れており、 ロンドンの保護裁判所、植物状態の女性の栄養と水分停止を認める:Tony Bland判決(1993)基準に(2011/8/4) タイトルにあるように、 その後の植物状態の患者へ…

Natureに掲載のジョンズ・ホプキンスの研究に不正? 自殺者や怪メールも

癌治療の創薬といえば、 科学とテクノの国際競争が最も過酷になっている領域だろうということくらいは いくら素人の私にだって想像はつくのだけれど、 その領域で有名な基礎研究の信憑性をめぐって なんとも恐ろしい話がWPに出ている。 その研究とは、昨年Na…

最小意識状態の患者への生命維持差し控えを上訴裁が認める(英)

昨年12月に以下の判決が出た訴訟の続報。 裁判所、最小意識状態での「無益な治療」拒否を認めず:David James事件(英)(2012/12/13) 英国の上訴裁判所が下級裁判所の判断を覆し、 治療続行が「無益」な場合には 医師には生命維持治療の差し控えが認められる…

2013年3月11日の補遺

3月8日は国際女性デイ。それを機に、介護者支援の問題を考えましょう、という英国の記事。:ということは英国でも介護は女性の問題ということか。 http://www.london24.com/news/international_women_s_day_who_cares_an_older_working_carer_reviews_her_ex…

「生活保護受給者にはジェネリックを」法制化へ?

月刊誌『介護保険情報』の冒頭に「風速計」というコラムがあって、 これは、いわば同誌の「社説」。 3月号の「風速計」(p.4)によると、 患者が生活保護受給者の場合に、 医師がジェネリック薬の使用が可能だと判断した場合には 医療機関が後発医薬品の使用…

重症障害理由の中絶要求を代理母が拒否(米)

米国コネチカット州の夫婦が 超音波検査で胎児に脳や心臓に損傷があるなど重度の先天異常が複数見つかったために それが最も人道的だとして代理母に1万ドルで中絶を要求。 代理母は最初は15000ドルなら中絶すると答え、夫婦はそれを拒否。 その後、代理母は…

生殖補助技術で生まれた子どもでは先天異常が32%も高確率

英国とオーストラリアの研究者らが 1995年から2012年の間に行われた生殖補助技術を使って生まれた子どもの調査報告82本の 集大成を行ったところ、 自然に生まれた子どもに比べて 生殖補助技術を利用して生まれた子どもでは 先天異常の確立が32%も高いことが…