2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

子どもへの薬の人体実験(日本)

英国で抗ウツ剤の副作用で子どもが自殺した件から製薬会社の情報隠蔽が明らかになった問題について 前回のエントリーで紹介しましたが、 その際の調べ物でたまたまひっかかってきた論文がとても気になるので。 児童精神医療における薬物投与 ――人体実験とい…

「製薬会社は倫理観をもって」と英当局

英国保健医薬品監視局(MHPRA)の局長は3月6日、 自社製品の危険性については消費者に警告する倫理上の義務があることを自覚せよと 国内の製薬会社に訴えたとのこと。 なぜ「倫理上の義務」が強調されることになったかというと、 要するに法的な規制ではラ…

「聾は障害か?」 OUCH!

当ブログでも紹介しましたが、 3月10日にBBCの番組で聾のアーティストTomato Lichy氏が 「着床前診断で聾の子どもを持ちたい。聾は障害ではない」と主張し 番組ホストとの間で論争となりました。 それを受けてBBCの障害関連サイトOUCH!に 聾(いくらかは…

WA州保健局が懲罰も口にしていた?

最近まで見落としていた記事なのですが、 去年の5月にAshleyの子宮摘出の違法性が明らかとなった際の報道で、 ワシントン州保健局の病院ライセンスを担当する部局の責任者Steven Saxe氏が 病院や医師らに対して何らかの懲罰措置をとることになれば、 さらな…

“A療法”は水面下でいくらでも可能なのか

アリゾナ大学法学部の新聞2007年1月号の4ページ目、 法学関連ユース&コメント欄にAshleyケースが取り上げられています。 Ashley X: The Little Girl Who Will Never Grow Up というタイトル。 記事そのものはそれほど長いものでもなければ、 内容も事…

性転換した男性が妊娠、7月に出産予定

なんでもありの世の中でついにこういうことも起こるか……。 Thomas Beatie氏(34)は、 女性として生まれたけれども性転換手術を受けて男性になったという経歴の持ち主。 その後結婚した相手の女性が数年前に子宮を摘出したので それでは性転換手術の際に子…

健康情報管理ソフト巡るMSとGoogleのバトル

MicrosoftとGoogleが個人の健康情報管理ソフトの完成に向けて 熾烈な戦いを繰り広げているとのこと。 両社のソフトが共通して目的としている機能としては ・ 自分の健康・医療情報をオンラインで記録・保存し、 ・ 医師や医療機関、医療情報の検索ができ、 …

「障害」は「病気」ではないということ

この1年余りAshley事件を調べてきて、 また、ここしばらく尊厳死や無益な治療を巡ってわずかに読みかじる中で、 とても強く思うのは、 生命倫理の議論はもっと言葉を厳密に使うべきではないのか、ということ。 その中の1つとして、 「障害」は「病気」では…

移植臓器不足は誇張されていた

米国臓器分配ネットワークUNOSのデータによると、 臓器提供を待っている患者リストに登録された約98000人のうち 病状が重すぎたり体力がなかったりその他の理由で 臓器があったとしても移植を受けられない状態の人が3分の1を占めていることが判明。 …

NY Timesの尊厳死コラム

NY Timesの健康欄記者Jane E. Brody は2月5日に 「優美な旅立ちへの心からの訴え] A Heartfelt Appeal for a Graceful Exit を書き、 そのコラムへの反響が大きかったとして3月18日にも 「不治の病にターミナルな選択を] Terminal Options for the Irre…

所得格差がそのまま余命格差に

アメリカ政府の調査によると 過去20年間で富裕層と貧困層の平均余命のギャップは拡大したとのこと。 貧しい黒人男性と裕福な白人女性の余命の差は14年にも。 最近の日本の格差社会化や医療改革の動向を考えると、 これは他国の話だといって聞き捨てに出…

Singer、Golubchukケースに論評

カナダで84歳の男性への治療停止を病院が決めたことに対して 家族が宗教上の理由から治療停止に反対して訴訟を起こしているケースに関して Peter Singerが論評しています。 まずタイトルですが、 「高齢者には病気なんか認めなくていい」という意味ではな…

カナダの無益な治療論争:Golubchuk事件

2月14日のエントリー84歳患者巡る無益な治療論争、裁判へ(カナダ)で紹介したケースで、 この患者 Sam Golubchuk氏の娘さんが 裁判費用を援助するカンパを呼びかける手紙を 3月17日にインターネットに公表しています。 Sam Golubchuk needs our help …

「自死」は「自殺」ではないのか?

初めて「自死」という言葉を見たのは もうずいぶん前に柳田邦夫の「サクリファイス」を読んだ時。 「サクリファイス」からはいろいろ深く考えさせられたのだけれど、 ちょっと引っかかりを覚えたのが「自死」という見慣れない言葉。 まぁ、その時は親の気持…

シカゴで障害児殺しの母親に懲役20年

一連の報道によると事件が起きたのは2006年4月3日。 Betty Whitten(59)は障害のある娘Nyakiambi(34)を包丁で3回刺して殺害。 その後、遺体を車に乗せて橋からガードレールを突き破り川沿いの公園に。 母親もこの事故で怪我をしていますが、 …

重症児の娘殺したLatimer「裁判所は正直に」と

先月末に保釈されたRobert Latimerが 2010年12月8日に完全釈放となるまで day paroleの期間を過ごすハーフウエイ・ハウスに3月17日に入ったのですが、 その際オタワの空港でメディアのインタビューを受け、いろいろしゃべっています。 Latimer wan…

鼻腔癌で自殺幇助希望を却下された女性死亡(仏)

一連の報道によると、 フランスで鼻腔に出来た癌のために 顔貌が大きく崩れたうえに モルヒネすら効かない耐え難い痛みに苦しんでいるとして Chantal Sebire(52)さんが医師による幇助を受けて自殺したいと 裁判所に訴え出てフランスで大きな議論を巻き起こ…

D医師「施設内審査委員会が承認した」と大ボラ

これまで見落としていた去年3月の資料を新たに発見したところ、 Diekema医師のとんでもない大ウソが出てきました。 これまでで最も悪質なウソの1つでしょう。 なにしろ、Ashleyのケースを検討・承認したのが病院倫理委員会ではなく 施設内審査委員会で承認し…

メタボは経済施策だったのでしょうか?

前のエントリーで紹介したニュースで Oregon州で自殺幇助を法律で認めたら その後10年間で自殺幇助に手を上げる医師も薬局も急増したという箇所を読んで、 そりゃあ、医師と薬局はお客さんさえいれば商売だから…… と思わずつぶやいた時に ふっと結びついた…

Oregon尊厳死法による自殺者増加

医師による幇助を受けて自殺することを認めた尊厳死法がOregon州にできて10年。 10年目にあたる去年1年間に、 医師に処方された致死薬物を手にした人は85人で前年より20人の増加。 その中で実際に服用して自殺した人は49人で前年より3人の増加と…

障害児の父Cameron党首、障害児中絶を支持

16日のエントリーで英国保守党のCameron党首が 重い脳性まひの子どもと一緒に朝食をとる一家の姿を テレビで公開したとのニュースを紹介しましたが、 そのCameron党首が現在議論されている中絶法の見直しについて、 軽度の障害であっても39週まで中絶を…

THニストの“A療法”批判 2

Corwinが“Ashley療法”を批判して指摘しているのは4点。 ①自分で意思表示できないだけではなく、 抵抗することもできない人の身体に過激な処置が行われたこと。 特に「抵抗できない」ということが問題。 ただ「やってしまえるから」というだけで 特定の人たち…

THニストの"A療法"批判 1

Anne Corwinは去年1月に自分のブログに発表したエッセイ Ashley X – Avoiding Oversimplification の冒頭で “Ashley療法”の擁護論に引っ張り出される、 「人の精神は肉体と釣り合っていなければグロテスクだ」という考えを批判するのですが、 他の批判論と全…

THニストから出ていた「精神年齢」批判

当ブログでは Ashleyの認知レベルを「生後3ヶ月(なぜか時に6ヶ月)」とするDiekema医師の 根拠のない「判定」に疑問を呈し、 表出能力が限られている重症児においては 表現しにくいことがすなわち「分かっていない」ことの証明ではないと 当初から一貫し…

「発達年齢」よりも「生活年齢」を

発達障害に携わっている療育関係者は「発達年齢」をよく口にする。 発達年齢とは何であろうか。 限定された領域、生活とはまったくかけ離れた場所、状況、 ほんのわずかな時間で子どもの発達すべてを 理解した気になってはいないであろうか。 …中略… 「発達…

倫理学者って一体ナニモノよ?

去年の論争でもそうでしたが、 Ashley両親インタビュー直後のリアクションは 今のところ肯定的なものが多いようです。 人のすることに端からあれこれ口出しするな、 親が愛情からやったこと、 この親の愛情は素晴らしい、 在宅サービスなんて現実には存在し…

スパイウエアで子どもを監視しようって?

ミステリー作家Harlan CobenがNY Timesで 「親はスパイウエアを使って子どものPC利用を逐一監視するべきだ」と主張しています。 The Undercover Parent By Harlan Coben The New York Times, March16, 2008 なんでも最近では、 子どもがPCでやったことを逐一…

HughesもAshley両親についてIEETサイトで

CNNのAshley両親インタビューについて George Dvorskyが自分のブログでとりあげていましたが、 今度は 世界トランスヒューマニスト協会の下部組織に等しいIEETのウエブサイトでJames Hughesが The parents are now back in the news 「両親がニュースに戻っ…

Cameron党首、脳性まひの息子とテレビに

英国の野党、保守党党首のDavid Camron氏が テレビカメラを自宅キッチンに招きいれ、 重い脳性まひの息子に朝食を食べさせる姿を撮影させたとのこと。 明日保守党が新たな育児休暇法案を発表するのに備えた動きと見られ、 Cameron氏自身も子どもを政治利用し…

UPIとFoxもAshley両親見解について報道

UPIとFoxも3月12日CNNの報道当日に CNNの内容をそのまま簡潔にまとめたニュースを流していました。 内容はいずれもほぼ同じで、 この1年間でAshleyの身長も体重も変化していない、 ホルモン療法、子宮ならびに乳房芽の切除は成功だった、正しい決断だったと…