ステレオタイプという壁
ケンブリッジ大からカナダのウエスタン・オンタリオ大に招聘されたA・オウェン教授が 植物状態と診断された患者と脳スキャンを通じてコミュニケーションをとる方法を 研究していることについては以下のエントリーで触れてきましたが、 (23日に出た拙著『死…
これもまた、09年10月に書いたものなのですが、 ここしばらく集中的に考えていることに関連するので、発掘してきました。 訴える言葉を持たない人の痛みに気づく もう何年も前のことだけど、重症重複障害のために言葉を持たない娘が腸ねん転の手術を受けたこ…
ケンブリッジ大、カナダのウエスタン・オンタリオ大のオウェン教授が 植物状態と診断された患者と脳スキャンを通じてコミュニケーションをとる方法を 研究していることについては以下のエントリーで触れてきましたが、 「植物状態」5例に2例は誤診?(2008/…
http://livedoor.blogimg.jp/manzzoni/imgs/a/1/a1049073-s.jpg アザラシ肢症のため、 生まれつき両腕がなく両脚も短い障害を持つ 英国の芸術家、アリソン・ラッパーの妊娠裸像が 英国ロンドンのトラファルガー・広場に設置されたことで 批判が巻き起こった…
当ブログでも何度か取り上げてきた英国の神経科医Adrian Owen教授が BBCの番組Panoramaに出演して、 植物状態とされたカナダの患者が、脳スキャンを使ったやりとりで、 意識があり、苦痛を感じてはいないことを告げた、と報告。 重症の脳損傷を受けた患者が …
昨日、以下のエントリーで紹介したアリソン・ラッパーの妊娠裸像について、 ずっとグルグルしている。 Ouellette「生命倫理と障害」第5章: 「アリソン・ラッパーの像」 今朝一番のツイッターで、mnagawaさんがこの話題に反応しておられるのを発見したことか…
12月7日の以下のエントリーを某MLに流したところ、 ある方から「治療としての位置づけが十分でなく効果が過剰に言われているのでは」などの コメントをいただきました。 睡眠薬による「植物状態」からの「覚醒」 続報(2011/12/7) この方からは、いつも専門的…
睡眠薬zolpidemによって植物状態や最少意識状態から覚醒する事例が 世界中で報告されていることについて2006年の記事を 8月に以下のエントリーで紹介しましたが、 睡眠薬で植物状態から回復する事例が相次いでいる:脳細胞は「死んで」いない?(2011/8/…
The National Family Caregivers Association (NFCA全国家族介護者協会)と Forest Laboratories, Inc.とがGfK Roper Public Affairs & Corporate Communications に委託して 今年3月28日から4月25日の間にアルツハイマー病の人の介護者674人に調査を実施。 …
2006年の記事が、なぜか今、 Guardianのサイトで最も読まれている記事の1つに挙げられている。 記事タイトルは「再生」。 世界中で、事故や脳卒中で永続的植物状態と診断された人たちが ごく一般的な睡眠薬の成分であるzolpidemを服用することで 俄かに…
このたびBMJに発表されたベルギーのLiege大学の調査で、 ロックトイン症候群の患者65人に質問し、瞬きや目の動きで回答を求めたところ、 72%が自分は幸せだと回答し、 68%が自殺を考えたことはない、と回答。 またロックトインになってからの期間が長いほ…
先日のアリゾナ州ツーソンでの乱射事件で頭を撃たれ 貫通する銃創を受けたギフォーズ議員の回復が注目を集める中、 CNNが 穿通性の重症頭部外傷を負った患者も 交通事故による頭部外傷の患者と同じように 濃密な24時間リハビリテーションによって ほとんど完…
このところ、Hastings Center Reportの成長抑制特集の論文について ずっと書いているClaire Royさんのブログが、その合間に、 テクノロジーの進歩によって重症障害者の意識が証明されたり、 これまで意思疎通不能だと思われていた人たちとコミュニケーション…
日本では映画「悪人」が話題になっているし、 英語圏では相変わらず「慈悲殺」を巡る議論が後を絶たないので、 去年6月2日に原作小説を読んだ時に書いたエントリーを以下に再掲。 ------ 1月のObama大統領の就任式の中継を見ていた時に、 ブッシュ元大…
米国のテレビ・アニメ“Family Guy”といえば、 今年3月にWesley SmithがTerry Schiavoさんを笑い物にしているのを問題視し、 その内容を当ブログでも紹介しましたが、 そのFamily Guyが今度は2月に「ダウン症ガール」という歌を作り、 ステレオタイプそのもの…
国際的な免疫学者で、脳梗塞で倒れた後には リハビリ打ち切りと激烈な戦いを続けてこられた 多田富雄氏が21日に亡くなったとのこと。 昨日の朝日新聞の記事では 国際的な免疫学者としての氏の功績が非常に詳しく述べられて、 新作能の作者であったことにも…
Cambridge大学の脳科学ユニットのAdrian Owen医師ら 英国とベルギーの研究者らによる調査で、 03年に交通事故で脳を損傷し、永続的植物状態に陥った29歳の男性に 脳スキャンで調査を行ったところ、彼が言われていることを理解しており、 質問にYes-Noで応え…
ベルギーで23年間“植物状態”だと診断されていた男性が 実はずっと意識があったことが分かったというニュースを 昨日のエントリーで紹介しましたが、 一般に混同されて使われがちな 「植物状態」と「最少意識状態」と「昏睡」と「ロックトイン症候群」とは …
ベルギーで1983年に交通事故に遭い脳に損傷を負った Rom Houbenさんは現在、46歳。 3年前まで23年間ずっと永続的植物状態にあるとされてきた。 当初、医師は 世界中で患者の意識状態を判定する基準とされるグラスゴー・スケールを使い、 Houbenさん…
イングランドとウェールズの新人警察官全員に メンタルヘルスと知的障害に関する啓発研修が行われることに。 警官が知的障害・精神障害のある人と関わる際のガイドラインを作る過程での 関連機関との相談(英国政府は国民との“相談”の上で施策を決める方針)…
前のエントリーで紹介した「高齢者入所施設における痛みマネジメント戦略」を以下に。 コピーライトの問題からすると、 勝手にこんなふうに翻訳転載していいのかどうか……という懸念はあるのですが……。 (それを言えば、このブログのエントリーの大半はコピー…
カナダのAlberta大学といえば哲学とか障害学のWilson教授、Sobsey教授が 当ブログではおなじみですが、 当ブログが継続的に考えている問題のひとつ、 言葉で意思や痛みを表現することが難しい人の医療の問題を ここしばらく(こことかこことかで)、また取り…
1月のObama大統領の就任式の中継を見ていた時に、 ブッシュ元大統領(父親の方)が杖を突きながら歩いている姿を見て、 CNNのベテラン・大物キャスターのウルフ・ブリッツアが 「ちょっと痛そうです」とコメントし、 後に記者席に訂正情報が届いたらしくて「…
HD/HQ Susan Boyle - Memory from Cats - Britains Got Talent 2009 Semi Final Show 1 Season 3 (映像部分のクリックは無効のようですが、映像下の英文タイトルをクリックすると開きます) 曲はミュージカル”キャッツ”から”メモリー”。 最初はちょっと緊張…
18日に知的障害ある”不細工なオバサン歌姫”が世界中にセンセーションで紹介した Susan Boyleさんが17日にLarry King Liveに自宅から出演していました。 ロンドンから審査員の1人 Piers Morgan氏も出演し、 まず「あなたが舞台に登場した時に、本来払う…
Susan Boyle - Singer - Britains Got Talent 2009 (With Lyrics) (なぜか画面のプレイボタンは機能しないようですが、 画面下の英文タイトルをクリックするとYouTubeが開きます) 昨日(一昨日だったか?)、英米のどの新聞の電子版を開いても、そこには不…
BBCの幼児向け番組 CBeebiesのホスト Cerri Burnellさん(29歳)は 生まれつき右腕の肘から先がない。 それについて 「子どもたちが怖がる」 「子どもが悪夢を見てはいけないから番組を見ることを禁じている」などと 視聴者から抗議が届いている、とのこと…
ウルフ・ブリッツァといえば 去年の大統領選挙の特番シリーズも指揮していたCNNの超大物アンカーで、 だからキャスター総動員の就任式当日の長時間生放送で、 いよいよ就任式が近づいてきた時に 中心になってしゃべっていたのも彼だったのだけれど、 そのブ…
気になる――。 この調査、ものすごく気になる──。 カナダ Alberta大学の研究者がthe British Medical Journalに発表した論文とのこと。 英国の1946年生まれの3500人について 13歳から40代、50代になるまで追跡調査をしたところ、 学校で問題児…
Ashley事件以来、目に付くと必ず反応してしまう言葉。 「子どもの最善の利益」。 それがそのまま社説タイトルだったので 素通りできずに読んでみたところ、 標記の内容の激烈な批判だった。 The Best Interests of the Child The NY Times, January 5, 2009 …