2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「ロレンツォのオイル」のモデル死亡

ALD(副腎白質ジストロフィー)の息子Lorenzoを治すために 文献をあたり治療薬となるオイルの発見をした両親の壮絶な努力を描いた映画 「ロレンツォのオイル」(1992年)のモデルとなったLorenzo Odone 氏が 30歳の誕生日の翌日に亡くなったとのこと。 死因…

ゲイツ財団、英政府と並びマラリア撲滅に資金提供

9月25日、NYの国連本部で開かれたサミットにおいて マラリア撲滅に世界中から30億ドルの資金が確約されました。 国連は2015年までに世界の貧困を削減するという目標 the Millennium Development Goalsを策定しているものの 達成は無理だとの批判を…

製薬会社、医師への支払い情報を公開へ(米)

来年から製薬会社2社が医師への支払い内容について一部公開すると決めたことを受けて NY Times が社説を書いています。 Whose Best Interest? The New York Times, September 28, 2008 医師の処方が純粋に医学上の理由によるもので 製薬会社との利益関係に…

英国著名哲学者、認知症患者に「死ぬ義務」

Mary Helen Warnockという英国の著名哲学者が 2冊の雑誌のインタビューと寄稿記事とで 「認知症患者には家族や社会の負担になることを避けるために死ぬ義務がある」と主張し、 物議を醸しています。 Baroness Warnock: Dementia sufferers may have a ‘duty…

自殺幇助の親族に財産相続みとめられる(米)

Wisconsin州でリンパ腫を患う63歳の男性が自殺。 遺言状には自殺を手助けした妻と娘に財産を相続させると書かれており、 その有効性を問題にして前妻の子どもたちが訴えていた裁判で、 同州の法律では 意図的に殺した人間が被害者の財産を相続することは禁…

英国のHill事件エントリーに補足

前回のエントリーにKazu’SさんからTBをいただきました。 どうやら前のエントリーがJoanne Hillの娘の殺害行為を擁護しているように読めるようなので、 無用な誤解を招かないよう、いくつか補足を。 記事を書くときに無意識にこれまでの一連の流れの中で書い…

4歳の脳性まひ児殺した母親に終身刑(英)

英国で去年11月に脳性まひの4歳の娘Naomiをフロで溺死させた母親Joanne Hill(32)に 終身刑(最低15年)が言い渡されました。 以下の2つの記事には 殺害動機は装具を使って歩く脳性まひの娘を恥じたためだとされているのですが、 事件の詳細を読んでみ…

脳が解明されると人間はコンピューターになる(NBIC)

米国科学財団と商務省が共催したNBIC4分野の技術統合を巡るワークショップについて その長大なレポートの一部をつまみ読みしているところなのですが、 (これまで読んだ部分は「米政府NBICレポート」の書庫に) 主要テーマのひとつ「人間の認知とコミュニケ…

restavek という名の幼い奴隷(ハイチ)

Fay, Guistav, Hanna, そして Ikeという4つの大型ハリケーンに 相次いで見舞われたハイチの被災状況のニュースを読んでいたら、 restaveks という見覚えのある現地語に出くわした。 この言葉に初めて出会ったのは数ヶ月前。 途中まで読んでそのままになって…

iPS細胞とは「細胞の初期化」なのかぁ

京都大学の山中伸弥教授が世界に先駆けて作成に成功したiPS細胞について、 どうしても「作る」という言葉から捉えてしまっていたのですが、 先日、「iPS細胞が出来た!」という本で 山中伸也教授と同じく京大の畑中正一名誉教授の対談を読んでいたら、 畑中…

認知症患者の殺人事件で「予防拘禁を」(豪)

1ヶ月前にCanberraのナーシング・ホームで アルコール性認知症の患者が他の入所者を殴り殺すという事件があり、 高等裁判所が犯人の男性には罪状認否の能力がないと判断。 この事件を受けて、 地域への危険となるが犯罪を起こしたとしても責任を問えない人た…

遺伝子組み換え動物にやっと規制ガイドライン

食糧、医薬品、医療資材として遺伝子組み換え動物が開発されており そのビジネス・ポテンシャルに期待が集まっていますが、 FDAがやっと遺伝子組み換え(GE)動物に関する規制のガイドラインを発表。 Rules on Bioengineered Animals The Washington Post , …

Google創設者、パーキンソン病遺伝子を告白

今朝書いたエントリー遺伝子診断、無用のストレスが身体に悪いだけを 髣髴とさせるような記事が出てきました。 Googleの創設者の1人で現在も技術部門の社長を務める Sergey Brin氏が 自分の遺伝子を調べてもらったところ、 パーキンソン病になりやすい遺伝子…

大ヒットの抗精神病薬、実は安い薬と変わらない

またか……という気のするニュースですが、 販売戦略によって超ヒット商品になっている Zyprexa と Risperdal。 実はそれまでの、はるかに安い薬と効果が変わらないばかりか独自の副作用があることが 成人だけでなく、このたび子どもでの実験でも確認されたと…

NBIC:否定される「テクノで人類滅亡のリスク」

NBICレポート第一章の8つの論文のうち、 NSF(米国科学財団)のMihail C. Roco 氏の講演の中で目に付いた 興味深い箇所について。 RocoはNSFの中でも米国科学技術会議のナノ関連サブ委員会の委員長、 財団と商務省が主催した2001年のNBICワークショップの中…

遺伝子診断、無用のストレスが身体に悪いだけ

あなたが糖尿病、心臓病、癌にかかる可能性を遺伝子診断で調べてあげましょう… …というビジネスが欧米で繁盛していますが、 Leicester大学のAmani教授がこうした検査の臨床上の有用性に 疑問を投げかけています。 Gene tests ‘create undue stress’ BBC, Sep…

NBICレポート:モチベーションと展望 2

この回、前のエントリーの続きです。 NBICレポート第一章にあった8本の講演内容から いくつか特に目に付いた点を挙げると、 ① 米国科学財団のGingrich氏の講演で テクノロジー革命のスピードは、当初の基盤づくりの平坦な時期があった後に 急速に発展して伸…

NBICレポート:モチベーションと展望 1

米国科学財団と商務省が2001年に行った ナノ、バイオ、インフォ、コグノの4テクノロジーの統合がテーマのワークショップ。 翌年刊行された、そのレポートについて。 第一章に当たる Motivation and Outlook(モチベーションと展望)に掲載の 8本の論文…

性差ステレオタイプで女児の自閉症は見過ごされている?

自閉症は女児よりも男児の方で4倍も発症率が高いとされていますが、 実際には男女間で表れ方に違いがあり、女児の場合は 通常自閉症の特徴とされる行動の繰り返しよりも 人間関係のこだわりとして現われることが多いために 内気だとか消極的だといった女の子…

「社会の常識を病院の常識に」

友人が入院した総合病院の病棟詰め所の壁に 「社会の常識を病院の常識に」という額がかかっている。 数年前に他の友人を見舞った他の病棟にも 同じ額がかかっていたのを思い出してコメントしたところ、 私の口調に滲んでいた反発と揶揄を敏感に感じ取った友…

ロンドンの若者が荒れている

去年の暮れくらいからだったような気がするのですが いつからかロンドンで若者が銃やナイフで殺される事件が相次いで なにやら社会問題化しているようだな、と思っていたら、 この週末にまた19歳の男の子が殺されて、 ロンドンで今年殺されたティーンエジ…

自閉症児向けリゾート・プラン

1990年の障害者法(ADA)の施行以来、 米国で身体障害者向けのプログラムを展開してきた旅行会社やリゾートが 少しずつ自閉症などの発達障害にもプログラムを拡げつつある、という話題。 Bypassing the Roadblocks of Autism By Jane Margolies The New York…

入院時に「尊厳死に賛成ですか?」とは?

抗がん剤治療のために入院した友人から聞いた話──。 入院時に身元引受人や連帯保証人を書き込む用紙が出てきたのにも 時代の厳しさを感じたけど、 「あなたは尊厳死に賛成しますか、賛成しませんか」という用紙まで出てきたのには 度肝を抜かれた、と。 もし…

今度は乳がん予防のワクチンだと

米国Wayne 州立大の研究が Cancer Researchというジャーナルに発表され、 HER2と呼ばれるたんばく質の過剰で引き起こされるタイプの乳がんをターゲットにした 新たなワクチンが開発されたとのこと。 Herceptinなどが効かない腫瘍も治るという触れ込みですが…

「植物状態」5例に2例は誤診?

英国で「永続的植物状態」と診断されたケースの5例に2例は誤診ではないかという話が Cambridge大学の神経学者Dr. Adrian Owenらの研究チームから出ています。 神経外科医、麻酔科、実験心理学の専門家から成る「損傷意識研究グループ」が 植物状態や最少意…

「精神保健医療」

米国科学財団と商務省のNBICレポート Overviewの「精神保健医療」の項目では、 まず冒頭で 「多くの点で、人間の能力の改善において我々が直面する最も難しい課題は おそらく精神病の理解と治療であろう」と述べ、 過去200年間の精神医学が楽観と悲観を繰…

「人間のライフサイクルにおける肉体と精神」

米国科学財団と商務省が出している NBIC4領域のテクノロジー統合による人類の能力強化に関するレポート Overview (概観)の 「人間のライフサイクルにおける肉体と精神」という項目。 NBIC(ナノ、バイオ、インフォ、コグノ)のテクノロジー統合によって可能…

超未熟児には行動障害、情緒障害が4倍

超未熟児で生まれた子どもは他の子どもよりも 後に情緒の問題や行動障害を起こす可能性が4倍も高い、という調査結果が the University of Warwick と Warwick Medical Schoolの 心理学部主導の研究によって出た、とのこと。 男児と女児の差も顕著で、 超未…

NBICレポート 2

現在、最初の Executive Summary とOverview を読んだところで その中から印象的な部分を拾ってみると、 まずNBICの4分野がどのように統合・協働できるかというイメージは 認知(Cogno)の科学者が考えたことを ナノ(Nano)の専門家が作り、 生物学(Bio)…

米政府NBICレポート 1

7月1日のエントリー「UW周辺の動きと米政府のNBICレポート」その他で触れたものですが、 米国科学財団と商務省が2002年にまとめた 「人類の能力強化に向けたテクノロジーの統合」という400ページ近いレポートがあります。 2001年12月3,4日の両日、 …