restavek という名の幼い奴隷(ハイチ)

Fay, Guistav, Hanna, そして Ikeという4つの大型ハリケーン
相次いで見舞われたハイチの被災状況のニュースを読んでいたら、
restaveks という見覚えのある現地語に出くわした。

この言葉に初めて出会ったのは数ヶ月前。
途中まで読んでそのままになっている本なのだけど、
Crime So Monstrous by E. Benjamin Skinner  の中でのことだった。

奴隷というと過去の話だと思っている人が多いけれど、
ILOの試算によると、現在、世界中で少なく見積もっても1230万人の奴隷がいて、
実は、史上、最も奴隷の数が多い時代に我々は生きているのだと
この本が最初に詳細に描いて見せるのが
ニューヨークからほんの数時間で行けるハイチの首都Part-au-Princeでの
子どもの売買の実態。

国そのものが貧しくて、さらに国内で格差が広がる一方のハイチで
子どもを学校へ行かせてやるどころか満足に食べさせることもできない
最も貧しい階層の親たちが口減らしのためと教育を受けさせてもらえるという期待から
ブローカーを通じて子どもたちを、いわば「奉公に出す」のだけれど、
実際には学校へ行かせてやるという約束が守られることは稀で、
子どもたちは富裕層の家庭で奴隷労働に従事させられている。

その家庭に同年齢の子どもたちがいれば、
その子どもたちの専属の世話係にされて、
身の回り一切の世話をさせられ、
自分が行くことのできない学校へ送り迎えをし、
彼らの残飯を食事に与えられ、虐待されている。

そうした家庭内の奴隷として拘束されている子どもの名前が restavek。

その数は1992年には10万人程度だったのが
98年には30万人に増え(これはハイチの子供10人に1人の割合)
2002年には40万人に達したとのこと。

以下のNY Times の記事は
ハリケーンで雇い主に見捨てられて行き場を失ったまま、
援助物資の配給からもはじき出されて、
配給の際にこぼれた食糧を拾い集めている
もとrestavekだった子どもたちの姿を描いています。



強いものの欲望を満たすために弱いものの弱さに付け込んで
経済を通じて、医療を通じて、科学と技術を通じて、
強いものにだけ都合のよい世界が急速に作られていく。

世界中で最も声の弱い、最も立場の弱い者から踏みにじられていく。
これも、その1つの形。