2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「施設」と「敵対する存在としての親」を巡る惑乱ツイート 2

後段は昨日2月28日。 たまたま私がフォローしている方からリツイートされてきた、 知的障害者の地域生活の支援をしておられる方のツイートに 以下のような一節があり、これが頭に噛みついてしまった。 施設入所を希望している保護者から彼の地域生活を守…

「施設」と「敵対する存在としての親」を巡る惑乱ツイート 1

ここしばらく、 たまたま身近で交わした会話やその他あれこれから、 ミュウを施設へ入れてしまった親としての自責を巡って ツイッターで過剰反応をしているので、 あまり感心した内容でもないのだけど、 今後もうちょっと冷静になって生産的に考えられる日の…

「あれは自分ではなかったか」読後メモ

2005年2月11日に石川県で起きた グループホームのスタッフによる利用者への虐待致死事件を受けて、 7月に東京と大阪で開催されたセミナーでの、 下村恵美子、高口光子、三好春樹3氏の講演内容をまとめた本、 「あれは自分ではなかったか グループホ…

中絶してもいいなら“出生後中絶”と称して新生児殺してもOK

医療倫理のジャーナルに イタリアの学者さん2人の共著で 乳児の障害の有無を問わず「出生後中絶」を正当化する論文。 After-birth abortion: why should the baby live? Alberto Giubilini, Francesca Minerva Journal of Medical Ethics, February 23, 201…

2011年2月26日の補遺

Journal of Medical Ethicsにイタリアの功利主義者2人の共著論文で「出生後中絶」の正当化論。一人はSavulescuと同じウエヒロ実践倫理センター所属。 http://jme.bmj.com/content/early/2012/02/22/medethics-2011-100411.abstract http://www.bioedge.org/i…

くつした泥棒

ミュウを送っていって、 詰め所で看護科の男性職員Aさんとしゃべっていたら、 その人が急に何かを思い出して、一人で大笑いしながら 「この前、ミュウちゃんが思わず『ど』って言いそうになってね~」。 これまで重症心身障害者も入所が認められていたので(…

「『お手本の国』のウソ」からナチスについてメモ

「『お手本の国』のウソ」新潮文庫 日本で日ごろなにかと「お手本」とされる フランス(少子化対策)、フィンランド(教育制度)、イギリス(2大政党政治) ニュージーランド(自然保護)、ドイツ(戦後処理)、ギリシア(観光大国)について、 それぞれの国…

桜並木

もう10年以上前から、年に数回、 県北の町へ”独りドライブ”に行っている。 ミュウを施設に入れてしまった罪悪感と闘いながら、 人間としての機能停止状態 から回復途上だった頃、 夫に「仕事でちょっと遠くへ行くけど、ドライブがてら乗ってく?」と連れださ…

「臓器提供の機会確保のための人工呼吸、義務付けよ」とWilkinson 2

(前のエントリーからの続きです) Elective Ventilation について、Wilkinsonの主張のキモは 「自己決定権の侵害には当たらない。むしろ自己決定権の尊重である」との論旨。 彼の論理の展開は4段階で、 ① EVもSQVもいずれも一部の患者の自己決定を侵害する…

「臓器提供の機会確保のための人工呼吸、義務付けよ」とWilkinson 1

先週、英国医師会が提言した「選択的人工呼吸 elective ventilation EV」については どうも去年の暮れにNICEも新しいガイドラインで認めていたようですが、 相次ぐ動きに、英国メディアでも論争となっているようです。 EVへの批判の中心は当たり前ながら 「…

2012年2月20日の補遺

世界中でモンサントに対する訴訟が広がっている。歌手のウィリー・ネルソンさんも協力。 http://action.fooddemocracynow.org/sign/i_support_farmers_vs_monsanto/?akid=472.356219.trR1JU&rd=1&t=2 http://planetsave.com/2012/02/17/willie-nelson-300000…

スイスでの自殺幇助、DignitasでもExitでも急増。その多くは女性

昨年2011年に国外からスイスに赴き Dignitasで幇助を受けて自殺した人は144人で、 前年2010年から35%も増加。 スイスに在住の人のみを対象にしているExitでは 300人を超える自殺者に幇助。 257人だった前年2010年から17%の増加。 Exitで幇助を受けて自殺し…

今週のミュウ 5

今日はグループ活動にて「バレンタインのチョコ作り」をしました。 チョコ・カステラを型どって、クリームやチョコペンで飾り付けたのですが、 とても楽しそうに型抜いた後は、カステラを握って大喜び!! で、「クッキング」というよりは、まるで「工作」の…

2012年2月17日の補遺

Savulescuと一緒に「臓器提供安楽死」「人為的脳死後臓器提供」を説いたWilkinsonが、英国医師会が提案した「選択的(臓器保存目的のみでの)人工呼吸」を道徳上、義務化せよ、と。:臓器提供安楽死はゼッタイに無益な治療論と繋がるって、ほら、spitzibara…

「よろず相談室」の介護相談

いただきもの情報の、2月12日の中国新聞 「よろず相談室」コーナーがあまりに面白いので。 相談の内容は、55歳の男性から以下のもの。 近くで一人暮らしをしている78歳の母が病気で倒れ、食事や入浴などに介助が必要となりました。長男の私が最期まで面倒を…

2012年2月15日の補遺

「新小児科医のつぶやき」ブログの2月13日のエントリー「ドクター・キリコへの需要」は、重症児・者の関係者必読です。「有床診療所がNICUあがりの重症児を入院させたら入院日に200点加算」と同時に、こちらは有床診療所にも重症児にも限らないけれど「入院…

AJOB巡るスキャンダルには、幹細胞治療や日本の医療ツーリズムも“金魚のウンコ”

この話、基本的には、 権威ある生命倫理学の学術雑誌the American Journal of Bioethicsの 創設者・編集長であり、いわばオーナーでもあるGlenn McGeeが テキサスに本拠を置く幹細胞バンク企業 Celltexに職を得て、 AJOBの編集長の座を妻に譲り渡して、シレ…

2012年2月14日の補遺

これまでも何かと疑念が言われてきた、米国の権威ある生命倫理学雑誌AJOBの創設者 Glenn McGee氏がついに幹細胞バンク企業に転職し、非難ごうごう。ミネソタ大学の生命倫理学者 Leigh Turner氏が中心になってAJOBの理事の総辞職を求める動きも。:製薬会社・…

脳死者減少が必至なら倫理の線引き変更も必至?「人為的脳死後臓器提供安楽死」も?

前のBMAの提言エントリーを書いて、 脳死者が減って脳死者からの臓器提供(DBD)件数が減少しているとの下りで、「あれだ!」と お正月にある方にいただいたままになっている情報を思い出したので。 Transplantation誌の2011年6月号に オランダの医師3人が書…

英国医師会が“臓器不足”解消に向け「臓器のためだけの延命を」

英国医師会(BMA)が “慢性的な臓器不足”により年間1000人が死んでいる事態の解消のため、 臓器摘出に関して、思い切った提言を出した。 ざっと、以下のことを認めるよう提言している。 ① 臓器ドナーにする目的でのみの延命。 ② 生後3か月以内の新生児にも脳…

2012年2月9日の補遺

今日ちょっと検索した際に目に着いた介護者へのアドバイス関連から (改めて目を通して、良いものがあったら順次紹介しますねー) アルツハイマー病協会のケアラー・サポート http://alzheimers.org.uk/site/scripts/documents_info.php?documentID=546 仕事…

「気持ちが沈む日に、ケアラーのあなたへ」

英国のケアラー支援チャリティ、CarersUKのサイトから。 CarersUKのサイトのフォーラムで会員の一人が 「落ち込んだ時の立ち直り方」掲示板スレッドを立てた際に、 続々と集まったアドバイスのトップ20を集めたもの。 (とり急ぎのアップです。訳語については…

「リハビリの夜」を読んだ 2

(前のエントリーの続きです) そうした共感を持って読みつつ、 それではあまりに希望というものがないではないか……と 暗い気持ちに陥ってきたところで、 ふいに、以下の鮮やかな一節が登場する。 失禁した私から見える世界は、その多くが、私とは関わりを持…

「リハビリの夜」を読んだ 1

「リハビリの夜」(熊谷晋一郎 医学書院) ずっと気になっていた本をやっと読んだ。 たいそう面白かった。ちょっと新鮮な読書体験でもあった。 言葉ではなかなか伝えにくいこと、普通はおそらく小説の仕事とされていることを 著者は小説という形式を取らずに…

2012年2月8日の補遺

まず、昨日発表された障害者自立支援法に代わる新法の厚労省案の概要巡り、 今日の総合福祉部会関連。 障害者制度改革推進会議総合福祉部会(第19回) 配布資料 http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/sougoufukusi/2012/02/0208-1.html 推進会議の動画…

英国王立協会が脳科学の軍事応用に警告

英国王立協会は7日、以下の報告書を刊行した。 Neuroscinence, conflict and security The Royal Society, February 7, 2012 発展目覚ましく、ブレークスルーが相次いでいる脳科学が 軍事や警察の強化に応用された場合にどういうことが起こるかを検討し、 以…

2012年2月7日の補遺

英国医事委員会(GMC)は自殺幇助は違法行為であり医師は関与してはならないとするガイドラインを準備中。暫定案を提示し、3か月の意見聴取を行うとのこと。 http://www.bbc.co.uk/news/uk-16914285 英国のロイヤル・アカデミーからニューロサイエンスの成果…

GA州「自殺幇助の宣伝禁じる州法は憲法違反」裁判、FENの勝訴

以下のエントリーで紹介した訴訟の続報があり、 組織的な自殺幇助団体Final Exit Network側が勝訴とのこと。 FENが「GA州法の自殺幇助関連規定は言論の自由を侵す」と訴訟(2010/12/11) ジョージア州の最高裁判所は全員一致の判決として、 公然と自殺幇助を宣…

フランスの大統領候補が「当選したら積極的安楽死を合法に」

1月27日のLe Monde紙で、 左派のフランス大統領候補、Francois, Hollande氏が 当選の暁には積極的安楽死の法制化を目指すと語り、 安楽死論争が再燃している、とのこと。 I propose that all adults in an advanced or terminal phase of an incurable disea…

「介護保険情報」1月号でカナダ、オランダ、英国の”尊厳死”関連、書きました

カナダ王立協会、自殺幇助合法化を提言 2010年4月に議会で自殺幇助合法化法案が否決されたばかりのカナダで、法改正を求める訴訟が相次いでいる。スイスの自殺幇助機関ディグニタスで自殺した脊柱管狭窄症の女性(89)の担当医と遺族とが、海外へ行かなくと…