障害児・者

気に入った映画をもう一度見ようとしたダウン症の男性、警官ともみ合い死亡(米)

今年の1月、 3か月前から担当してくれている支援者と映画を見に行った ダウン症の男性、Robert Ethan Saylorさん(26歳)。 その映画が気に入ったので、もう一度見たいと言っていたが、 映画館を出たところで、機嫌を悪くして毒づいたり店のウインドウを叩い…

映画「くちづけ」のチラシに書いてあったこと

【3日追記】 昨日このエントリーを書いた時には 「涙活」を使ったプロモが、私が行った映画館単体の作戦だったのか、 それとも全国規模の作戦なのかということが判断できず、 以下のような書き方をしましたが、 その後のツイッターでのコメントなどからする…

『移送手当で障害者に車をリース 「モータビリティ・スキーム」―英国』書きました

移送手当で障害者に車をリース 「モータビリティ・スキーム」―英国 英国のキャメロン首相が社会政策を慈善団体や社会的企業家に委ねるべく提唱した「ビッグ・ソサエティ(大きな社会)」構想を受け、独立したビジネスとして利益を上げつつも、利益追求よりも…

米国の医療機関に、車いす使用者の診察予約の電話を入れてみたならば……(調査)

米国内科学会誌に 車いすを使用している成人は 障害のない成人に比べて医師にかかりにくく、 予防医療も非障害者ほど受けられていない、との調査結果が報告されている。 この研究のデザインが非常に興味深くて、 肥満していて半身まひの車いす使用者で、 自…

助かったはずの知的障害児者が医療差別で年間1238人も死んでいる(英)

英国の医療での知的障害者差別の実態については 2007年にMencapが画期的な報告書、Death by indifference を刊行していますが ↓ 「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(2009/3/31) オンブズマン報告書を読んでみた:知的障…

「カネがないから国民に障害を負ってもらっては困る」ならば What’s your plan?

英国で 自立生活給付が廃止されるのは違法だと障害者らが訴えたことをめぐり、 「カネがないから障害を負ってもらっては困ると言うなら、どうするというの?」 というタイトルの論考。 最も障害の重い人口の2%が予算削減の15%分をかぶるというのは 非道で…

『支援  Vol.3』に、「母親が『私』を語る言葉を取り戻すということ」という文章を書きました

生活書院さんから毎年3月に刊行される『支援』という雑誌があります。 これまでの関連エントリーは以下 ↓ 「支援」創刊号を読む(2011/4/17) 「支援2」からのツイート集 1(2012/4/17) その第3号が今月末に刊行されるのですが、訳あって、そこに 「母親が『…

英国で知的障害者のための新聞 ”Easy News” 創刊

英国の障害者チャリティ、United Response から、 知的障害のある人にも政治や社会に関するニュースを届けようと、 易しい言葉を使い、写真や絵を多用した新聞 Easy News が創刊されている。 United Responseサイトの Easy News ページはこちら。 創刊201…

古代の人たちが重症障害者を手厚くケアしたエビデンス

古代の人たちが重症障害者を手厚くケアしたエビデンスがある、という話は 高谷清先生の「はだかのいのち」で読んでいました。 これまで発掘された、そうした事例について 以下のNYTの記事から簡単に抜いてみます。 順番は発掘された順ではなく、 記事に紹介…

「障害はないにこしたことはないか」について、つるたさんのコメントを機に

9月に上梓した『新版 海のいる風景』を読んでくださったtu*a*さんから、 今日、とても嬉しいコメントをいただきました。 その中で、p.146の「障害はあるよりも、ない方がいいに決まっている」という個所について 違和感を指摘されているので、それについてお…

米国の国連障害者権利条約批准、共和党が阻止

12月4日に行われた上院議会での 国連障害者権利条約の批准を巡る投票で、 反対 61 vs 賛成 38 。 共和党の前大統領候補で第二次世界大戦で負傷し車いす使用者であるBob Doleや、 ヴェトナム戦争で負傷したJohn McCain(共和党)なども批准を強く呼び…

「NYT社説がメディケア拡大を呼び掛け・広がるdevalue文化に対峙する報告書」書きました

NYT社説がメディケア拡大を呼び掛け 米国では6月に、オバマ大統領の医療保険制度改革法に連邦最高裁が「合憲」判断を下したばかりだが、「オバマ・ケア」に対する保守層からの反発は相変わらず大きい。そんな中、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は7月17日と2…

障害者に対するヘイト・クライム急増 (英)

イングランドとウェールズにおける障害者へのヘイト・クライムは 2011年に1942件で、 2010年の総数から25%も増加。 情報公開法に基づいて入手された記録によれば 2009年から2011年の間では60%も増加している。 また去年、警察には2000件近くの届けがあった…

トリソミー13・18、医師が描くより子も親もハッピーで豊かな生活

Pediatrics誌に掲載された論文の調査報告で、 トリソミー13と18の子どもは たいてい生後1年以内に亡くなるし、 それ以上に生きた子でも重症障害を負い、短命であるとされており、 出生前に診断されると中絶する親が多いが、 いくつかのオンラインの親の会の…

米国で貧困層や障害者への支援を打ち切る州が相次いでいる

テキサス州と言えば、 米国で最もラディカルな“無益な治療”法がある州で、 その他にも施設職員による障害者に対する虐待事件が多発していたり、 親には体罰の権限があると考えられていたり、最近のニュースでは 学校にスクール・ポリスが常駐して些細なこと…

PeaceのエッセイにNot Dead Yetが反応し「生命倫理学は障害者の命の切り捨てに口を閉ざしている」

昨日以下のエントリーで HCR掲載のBill Peaceのエッセイを紹介しましたが、 あのBill Peaceが病院で「死の自己決定」を教唆されていた! このエッセイは公開で意見が募集されて へースティング・センターのブログを通じてPeace自身もそこに参加するとのこと…

あのBill Peaceが病院で「死の自己決定」を教唆されていた!

アシュリー事件に関して2007年当初から一貫して「アシュリーは私だ」と言い 重症障害者だけの問題ではない、障害者みんなの問題だと 批判を続けている障害当事者のWilliam Peaceが 辱そうを感染させて長い間寝たきりとなって 自宅で訪問看護や介護を受けてい…

Ouellette 「生命倫理と障害」最終章:障害に配慮した生命倫理に向けて

最終第8章の内容の大まかのところは、 以下のエントリーにある通り。 Ouellette「生命倫理と障害」概要(2011/8/17) 「うわわわっ! 」というほど驚いたのは、 あんなに「女性器切除と同じくらいの慎重なセーフガードを」と 09年の論文では徹底的に批判してい…

Ouellette「生命倫理と障害」第7章: 人生の終わり

Alicia Ouellette“Bioethics and Disability”最終の2章を読んだ。 読み始めたのが去年の夏だから、ほぼ1年かけて読んだことになる。 ほとんど内容を覚えていないはずだわ。エントリーにしておいて、よかった。 (これまでのエントリーは、次のエントリーの末…

Ouellette「生命倫理と障害」第6章 成年期 : Scot Matthewsのケース

③ Scott Mathewsのケース 1996年のNY、アルバニーのGH在住の重症重複障害者。当時28歳。 何度も脱水、栄養不良尾、感染、肺炎を起こして入院し、体重も非常に少ないことから、医師とGH側が胃ろう造設を検討するも、法定代理人である両親が抵抗し、裁判へ。 …

Ouellette「生命倫理と障害」第6章 成年期 : Larry McAfeeのケース

② Larry McAfeeのケース 1984年に登山中の事故で呼吸器依存の全身麻痺状態となる。 その後5年間、ナーシング施設を転々とした後に GA州89年にアトランタの病院に。 そのICUで3カ月過ごした後に、弁護士を呼び、 死にたいので呼吸器を止めてほしいと…

Ouellette「生命倫理と障害」第6章 成年期 : Maryのケース

ウ―レットが成年期の問題を扱う第6章の導入部で取り上げるのは 事故で中途障害を負って全身麻痺となり、死ぬまでの9年間ずっと 再び歩けるようになる治療法の開発に全てをかけた スーパーマン俳優のクリストファー・リーヴ。 「歩道の段差をなくしたり、車…

「言論の世界の一員」から、ぐるぐる

先日、某所で「もうspitzibaraさんは言論の世界の一員ですよね」という言葉に つまずいて、つんのめって、身体のバランスを崩す時の身体感覚に、 ちょっと似た気分を味わった。 その時は、その感覚にこだわっていられるような状況ではなかったので、 とりあ…

「障害は不幸か」議論の危うさについて

某所で「障害は不幸か」「障害は不便か」を巡って 議論が交わされているのを見て、考えてみた。 ピーター・シンガーのDNAを持ち、 生殖補助医療で大金持ちの家にそこそこ健康に生まれ、 3歳の時に、事業に失敗した父親が自殺、一家はジリ貧に落ち込み、 10歳…

シンガーの乳児安楽死正当化インタビュー 再読

以下のエントリーで書いたことについて、ずいぶん前にツイッターで京都女子大学教授の江口聡先生から 誤読しているとのご批判をいただいていたのですが、 P・シンガーの障害新生児安楽死正当化の大タワケ(2010/8/23) なかなか体勢を整えて原文を読み返す余裕…

生命倫理学者さんたちの「知的な議論だから」を巡る ツイート 2

3月4日 結局、生命倫理学って、科学とテクノの価値意識で世論を誘導し、メディカル・コントロールと人体の資源化を実現していくための洗脳装置なのかと思うこと、ありますよね。 「『いのちの思想』を掘り起こす」で、編著者の安藤泰至さんが 「生命倫理(学…

生命倫理学者さんたちの「知的な議論だから」を巡る ツイート 1

以下のエントリーで紹介した論文の著者らに、 脅迫状が送られるなどの騒ぎになっているらしく、 中絶してもいいなら“出生後中絶”と称して新生児殺してもOK(2012/2/27) 掲載誌の編集長であるSavulescuを始め、あちこちから 「一般人には理解しがたいかもしれ…

「『お手本の国』のウソ」からナチスについてメモ

「『お手本の国』のウソ」新潮文庫 日本で日ごろなにかと「お手本」とされる フランス(少子化対策)、フィンランド(教育制度)、イギリス(2大政党政治) ニュージーランド(自然保護)、ドイツ(戦後処理)、ギリシア(観光大国)について、 それぞれの国…

Ouellette「生命倫理と障害」第5章: Egan夫妻のケース

第5章「生殖年齢」でOuelletteが取り上げているのは 生殖補助医療をめぐる架空のケース。 架空のケースにしたのは、 生殖補助医療に伴う深刻な倫理問題をここでは一旦置いて 障害者の子育て能力を巡る医療サイドの偏見に議論を焦点化するため。 Bob&Julie E…

Ouellette「生命倫理と障害」第5章 Valerie裁判

第5章の導入部分については、こちらのエントリーに既報 ↓ Ouellette「生命倫理と障害」第5章: 「アリソン・ラッパーの像」(2012/1/17) Oulletteが「生命倫理と障害」の第5章(生殖年齢)で取り上げているケースは 1985年カリフォルニア州のValerieの裁判。 …