障害児・者

「知的障害があるから腎臓移植ダメ」? フィラデルフィア子ども病院

フィラデルフィア子ども病院に知的障害を理由に3歳の女児の腎臓移植を拒否されたとして、 母親が顛末を書き病院に撤回を訴えたブログに2万を超える署名が集まっている。 Amelia Riveraちゃん、3歳。 染色体異常の一種、ウォルフヒルシュホーン症候群で 発達…

Ouellette「生命倫理と障害」第5章:「アリソン・ラッパーの像」

http://livedoor.blogimg.jp/manzzoni/imgs/a/1/a1049073-s.jpg Alicia Ouelletteの”Bioethics and Disability” 第5章「生殖年齢」の 冒頭で取り上げられている話題がこれ。 まったく知らなかったので検索してみたら、 日本語でもいろいろ出てきた。 マーク…

E先生へ (おわび)

私がツイッターを覗き始めたのは、ほんの数ヶ月前のことで、 それまでは読み方すら知らず、従って自分が始めるつもりもさらさらなかったのですが、 万が一にも始めるとしたら、一つ これだけはオトシマエをつけておかなければ……ということがあり、 その、よ…

「NHSは助かるはずの知的障害者を組織的差別で死なせている」とMencap

英国の知的障害者チャリティMencapが2007年に 医療職の知的障害に対する無知と無関心によって知的障害者が死んでいる、として Death by Indifferenceという報告書を取りまとめ、 それが医療オンブズマンの調査と処罰に結び付いたことは、 以下のエントリーで…

アリゾナで、またも“脳死”からの回復例

21歳のアリゾナ大学の学生 Sam Schmidさん。 10月19日に事故で意識不明となり、 脳死と診断されて家族も臓器提供に同意した後で、 生命維持装置取り外しの直前に、突然、指示に従うようになった。 最初は指を動かす程度だったが、みるみる回復して 現在は歩…

障害者差別としてボツになった「オレゴン・プラン」の基準が、IHMEによってグローバルに復活することの怪

Oulletteの”BIOETHICS AND DISABILITY”(p.114)から 1990年代初頭にOregon州で提唱されたが 連邦政府保健省から米国障害者法(ADA)違反を指摘されてボツになった 「オレゴン・プラン」の基準について。 医療には障害バイアスがあるとの障害者コミュニティ…

Ouellette「生命倫理と障害」:人工内耳と“Ashley療法”について 2

(前のエントリーの続きです) 「考察」の冒頭、 Oulletteがまず整理するのは、 子どもの医療における親の決定権そのものは 障害者コミュニティも生命倫理学も同じく認めており、両者の見解が異なるのは 「親の決定権を制約すべきか」「制約するとしたらいつ…

Ouellette「生命倫理と障害」:人工内耳と“Ashley療法”について 1

Oulletteの“Bioethics and Disability”の第4章「児童期」で取り上げられているのは 「Lee Larsonの息子たちの事件」と「アシュリー事件」の2つ。 前者は、 聴覚障害の子ども達が自己決定できない内からの、 親の判断による人工内耳埋め込み手術のケース。 0…

Ouelletteの「生命倫理と障害」:G事件と“無益な治療”論について 3

(前のエントリーの続きです) 「考察」の冒頭、ウ―レットが引いてくるのは Philip Ferguson と Adrienne Asch の以下の言葉。 障害のある子どもが生まれるときに起こる最も重大なことは、子どもが生まれるということ。 ある夫婦が障害のある子どもの親にな…

Ouelletteの「生命倫理と障害」:G事件と“無益な治療”論について 2

(前のエントリーの続きです) Gonzales事件の概要は非常に詳しくまとめられているので、 いずれ事実関係の整理をしたいとは思いますが、 これまでに以下のエントリーを書いているので ここでは事件の詳細は省略します。 テキサスの“無益なケア”法 Emilio Go…

Ouelletteの「生命倫理と障害」:G事件と“無益な治療”論について  1/3

米国の法学者、アリシア・ウ―レット(Alicia Ouellette)が6月に出した “BIOETHICS AND DISABILITY Toward a Disability-Conscious Bioethics”について これまで以下の4つのエントリーを書いてきました。 (いったんQと思いこんだら何度見てもQとしか見えず、…

障害者自立支援法訴訟の記録本出版記念シンポ&パーティ

DPI日本会議メルマガから転載 書籍『障害者自立支援法違憲訴訟-立ち上がった当事者たち』 (障害者自立支援法違憲訴訟弁護団編)が刊行されました。 これは自立支援法訴訟の戦いの記録です。ぜひご一読下さい! 【書籍紹介ページ】 http://www.seikatsushoi…

親が病院に“棄てた”子ども、行き場なく (米)

精神障害のある子どもを「病院に棄てる」親がいることは かなり前から米国では問題となっていて、 08年にNE州が法律で保護しようとしたら、 余りにも多数の親が子どもを病院に棄てていくようになったために 対象を乳児に限定する法改正を行い、その分支援策…

「障害者に交通アクセスを保障する パラ・トランジット(米国)」を書きました

「介護保険情報」2011年10月号の 連載「世界の介護と医療の情報を読む 64」で 以下の文章を書きました。 障害者に交通アクセスを保障するパラ・トランジット(米国) 2006年12月13日に採択された国連障害者人権条約は、障害者差別を解消するために締約国に「…

原発・障害・母について「SOSHIRENニュース」から

原発反対運動の一部から出てきている「障害児を産まないために」という声について 3月29日の補遺でtu_ta9さんの掲示板を拾って、 次のように書いて以来、ずっと頭に引っかかったまま、うまく考えをまとめられずにいる。 tu_ta9さんが原発事故に関連して「障…

ワシントンD.C.のパラ・トランジット運転手組合が長時間勤務で安全リスクを訴え

8月8日に メトロやバスに乗れない障害者には個別シャトルで平等なアクセスを保障(ワシントンD.C.)の エントリーで紹介したパラ・トランジットの、ちょっと気になる続報。 運転手らが13時間ものシフトを強いられて 利用者、運転手、双方の安全が脅かされて…

Ouellette「生命倫理と障害」概要

【18日訂正】 たぶん2008年ごろに初めて著者を知って以来ずっと思い込んでいたもので、 もはや何度見ても、そうとしか見えなくなっていたのですが、 著者の名前は Q で始まる Quelletteではなく、 O で始まる Ouelletteでした。 今日ある方に教えてもら…

メトロやバスに乗れない障害者には個別シャトルで平等なアクセスを保障(ワシントンD.C.)

米国の障害者への支援サービスは、ひどい、ひどいと言われるけれども、 それでもそのベースラインは日本よりもはるかに高いのでは、という具体的な情報に触れると、 それを記録として拾っておく……といったエントリーは これまでに何度か書いてきたけれど(文…

WHOと世銀から障害者に関するグローバル報告書

9日、WHOと世界銀行が 障害児・者に関するグローバルな報告書the World Report on Disabilityをまとめた。 1970年代には世界の人口の約10%だと試算されていた障害者は 高齢化と慢性病の増加によって増え、今では10億人。総人口の15%に。 障害者の権利運動…

「1つの流れにつながっていく 移植医療、死の自己決定と”無益な治療”」を書きました

一つの流れにつながっていく移植医療、死の自己決定と”無益な治療” 英語圏の医療に関するニュースを漠然とでも毎日眺めて何年か経つと、最初はバラバラに見えたニュースが、線や面に繋がったりクラスターを形作ったりして、全体から1つの大きな絵が浮かび上…

またも“脳死”からの回復事例(豪)

オーストラリアで 脳卒中で「脳死」と診断された女性が2週間の意識不明状態から 車いすで病院内を動き回れるほどに回復を遂げている。 その2週間、夫はずっと医師らから呼吸器取り外しへの同意を求められたが 信仰心の篤いカトリックである夫は抵抗を続け…

カナダ政府、「障害のある子どもが社会の負担」と相次いで永住権を拒否

2008年11月にオーストラリアで同様の事件がありましたが、↓ 「ダウン症の息子が社会の重荷」とドイツ人医師に永住権を拒否 今度はカナダ政府が、子どもの障害を理由に2家族に永住権を拒否しています。 ① Immigrant family with disabled child to stay in Ca…

動物差別やめて「ペット」は「コンパニオン動物」に、飼い主は「人間ケアラー」に

なんでもJournal of Animal Ethics という新しい学術雑誌が誕生したそうな。 その最新号の論説がすごい。 英語には動物に対して侮蔑的、差別的な表現が多く、 それらは改められるべきである、と主張する。 例えば、飼っている犬や猫などの動物を「ペット」と…

大福モチと花ソーセージ

このところ、お天気が良くて、 ぽかぽかと暖かい日が続いている。 お昼ご飯を食べた後で、 あれこれヤボ用を兼ねた近所のお散歩へ出掛ける。 背中を照らす日差しは、ほとんど暑いくらいで 寒い間ちぢこまっていた身体がのびのびと広がって、喜んでいる。 ぬ…

「IQが低いからセックス禁止」英国の保護裁判所

地方自治体が供給するホームで暮らす男性Alanさん(41)は IQが48とされ、中等度の知的障害がある。 同じホームに暮らす男性Kieronさんと性的な関係にあり、 公共の場で子どもたちに性的なジェスチャーを見せることもある。 09年6月に地方自治体が Alanさん…

SingerやTH二ストにとっては、知的障害者も精神障害者も子どもも、み~んな「頭が悪い人たち」?

「大型類人猿の権利宣言」シリーズの最後③です。 ①Singerらの「大型類人猿の権利宣言」って、あんがい種差別的? ②Peter Singerの”ちゃぶ台返し” (以下、本文です) 8日のエントリーPeter Singerの“ちゃぶ台返し”の最後のところで、 「見てみろ、知的障害…

Peter Singerの“ちゃぶ台返し”

結局、このエントリーを含む全3本が、「大型類人猿の権利宣言」シリーズとなりました。 できるだけ、この順番で読んでいただけますと幸甚です。 ①Singerらの「大型類人猿の権利宣言」って、あんがい種差別的? ②Peter Singerの”ちゃぶ台返し” ③SingerやTH二…

Singerらの「大型類人猿の権利宣言」って、あんがい種差別的?

結局、このエントリーを含む全3本が、「大型類人猿の権利宣言」シリーズとなりました。 できるだけ、この順番で読んでいただけますと幸甚です。 ①Singerらの「大型類人猿の権利宣言」って、あんがい種差別的? ②Peter Singerの”ちゃぶ台返し” ③SingerやTH二…

「Kaylee事件」と「当事者性」それから「Peter Singer」

カナダのKaylee事件を知ってショックを受け 腹立たしくてならないわ、むやみに危機感は募るわで フライパンで煎られるような気分だった去年の春の終わりのこと――。 友人と食事をした際に、 頭に噛み付いて離れなくなっていたKaylee事件のことを私は夢中で話…

「障害者の権利と動物の権利を一緒にするな」とNDYのStephen Drake

障害者と動物は、社会の神経学的ノームから外れているという全く同じ理由によって 社会から差別され、価値を貶められて、様々に抑圧されているのだから、 障害者の権利と動物の権利とは繋がっていて、相互依存の関係にある、と 主張する人たちが出てきている…