2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

NDRNのCurt Decker、“アシュリー療法”、障害者の権利、医療と生命倫理について語る

今年5月に米国の障害者保護と人権擁護ネットNDRNが 障害者への“アシュリー療法”、強制不妊、一方的な治療停止と差し控えについて 強く非難する報告書を刊行しましたが、 07年のアシュリー事件で調査報告書を書いたDRW(NDRNのメンバー)のサイトに、 5月22日…

欧州人権裁判所「ドイツ政府が自殺幇助希望を検討しなかったことは欧州人権条約違反」

05年にスイスで幇助自殺したドイツ人女性の夫 Ulrich Koch氏が 自殺幇助を違法とするドイツの法律が個人のプライバシーと尊厳のある死の権利を侵していると 2010年に欧州人権裁判所に対して提訴した以下の裁判の続報。 欧州人権裁判所に「死の自己決定権」提…

2012年7月29日の補遺

NDRNの報告書については、まだ最後の提言をエントリーにしたいと思っているのですが、そのNDRNのトップで前書きの著者 Curt Decker が、Ashley療法に関するNDRNの立場を明確に語るビデオがDRWのサイトに。:たいへん良い内容です。なるべくエントリーに取り…

【拡散・協力希望】アシュリー療法/医療差別についてのインターネット投票

2007年にAshley療法に関する調査報告書を書いたWPASは その後、DRW(Disability Rights Washington)と名前を変えていますが、 最近、障害者の保護と権利擁護(P&A)全国組織NDRNと一緒になって A療法、強制不妊、治療の一方的な差し控えと中止を糾弾する報…

今週のミュウ 8

療育園との連絡ノートより 先日、ミュウさんとゆっくりお散歩へ行く時間があり、 売店へ行きました。 そこで雑誌をいろいろ見ながらお話しし、 余暇時間等を利用して、 ミュウさんの気に入ったものや興味あるものを雑誌などから選び、切り抜き、 ノートに貼…

「障害のある乳幼児と母親たち その変容のプロセス」から「なぜ障害のある子どもの親は『親でしかない』のか」へ 3

前のエントリーからの続きです。 著者はずっと母親の「主観的な経験」を重要視していながら 参考文献を見ると、この人、学者が「(母)親について」書いたものばかり読んでいる。 なんだか、 障害や病気についての知識は身につけているけど、 障害や病気その…

「障害のある乳幼児と母親たち その変容のプロセス」から「なぜ障害のある子どもの親は『親でしかない』のか」へ 2

前のエントリーからの続きです。 その「あとがき」にあった結論とは、 一つは、 早期療育の家族支援の中心は「自己のポジショニング」中心に、という点。 もう一つは、以下の3行で、 私にとっては、この本で最重要なのはここだった。 子どもの発達支援という…

「障害のある乳幼児と母親たち その変容のプロセス」から「なぜ障害のある子どもの母親は『親でしかない』のか」へ 1

「障害のある乳幼児と母親たち その変容のプロセス」 一瀬早百合著 生活書院 2012 著者は田園調布学園大学準教授で精神保健福祉士、ソーシャルワーカー。 これまでの障害受容論、家族支援論、社会学における障害児・者家族研究を振り返り、 社会学における障…

トリソミー13・18、医師が描くより子も親もハッピーで豊かな生活

Pediatrics誌に掲載された論文の調査報告で、 トリソミー13と18の子どもは たいてい生後1年以内に亡くなるし、 それ以上に生きた子でも重症障害を負い、短命であるとされており、 出生前に診断されると中絶する親が多いが、 いくつかのオンラインの親の会の…

2012年7月24日の補遺

7月8日から12日の4日間で、なんとグリーンランドの氷の97%が溶けた! NASAの科学者はモニターでこの画像データを見た時に、あまりのことに衛星の解析ミスだと思ったとか。でも現実だった。衝撃画像の写真あり。 http://www.guardian.co.uk/environment/2012…

介護者が罪悪感なしに利用できるよう、レスパイト・サービスの質向上を(英)

何度か補遺で拾ってきたように、先月、 英国のケアサービス大臣が介護者にレスパイトへのアクセス改善を約束しましたが、 それを受けて Chigwellでレスパイト・サービスを提供している事業者のチャリティVitaliseが 障害者、病気の人、高齢者の家族介護者に…

IVFでの妊娠でダウン症を理由に中絶、5年間で123人(英)

中絶反対チャリティの調査によると、 英国で2009年に IVF技術で妊娠した胎児が人口中絶されたケースが127件あり、 そのうち31件が、ダウン症を理由にしたものだった。 次に多かったのは胎児の異常を理由とするもので、19件。 エドワーズ症候群(18トリソミー…

米国の途上国への食糧支援は自国企業に利益がっぽり

ガーディアン紙の調査によると、 去年の米国の途上国食糧支援プログラム(10億ドル)の3分の2は 米国に本拠を置く多国籍企業3社から買われていた。 2010―2011年度では 契約のほぼ半分がADM社で、支払われた金額は3億ドル。 約16%がCargil 社で、支払われた…

2012年7月23日の補遺

補遺で継続的に追い掛けている、Lancetの「オランダで安楽死は増えていない」論文について、データを詳細に検討してみれば、オランダの死者の14%に安楽死と自殺幇助が関係している可能性。2.8%というデータのマヤカシが、あちこちで指摘され始めている。 h…

米国で“生殖補助ファイナンス”が急成長

米国で高価な生殖補助技術を利用して子どもを産みたいと望む人を対象に、 生殖補助技術に詳しい社員を用意して資金を貸し付ける会社が増えている、という。 なにしろIVFの相場は1サイクルで12000ドル以上。 しかも、念願の妊娠までに何サイクルが必要となる…

米国で貧困層や障害者への支援を打ち切る州が相次いでいる

テキサス州と言えば、 米国で最もラディカルな“無益な治療”法がある州で、 その他にも施設職員による障害者に対する虐待事件が多発していたり、 親には体罰の権限があると考えられていたり、最近のニュースでは 学校にスクール・ポリスが常駐して些細なこと…

脳損傷の昏睡は終末期の意識喪失とは別:臓器提供の勧誘は自制を

18日のエントリーで NDY の Drake らが言及していた Fins医師の論文を読みました。 タイトルは「重症脳損傷と臓器提供の勧誘:節制の呼びかけ」 今年3月に米国医師会の倫理ジャーナルに掲載されたものです。 Severe Brain Injury and Organ Solicitation: A …

人体組織の闇売買では05年に既にスキャンダル

今朝の朝日新聞に、 人体組織が闇で売買されている問題が大きく取り上げられていましたが、 2005年段階で既に英語圏では 米国発・世界規模のおぞましいスキャンダルが報じられていたので 「介護保険情報」の連載で書いた記事を紹介した09年7月30日の過去エン…

PeaceのエッセイにNot Dead Yetが反応し「生命倫理学は障害者の命の切り捨てに口を閉ざしている」

昨日以下のエントリーで HCR掲載のBill Peaceのエッセイを紹介しましたが、 あのBill Peaceが病院で「死の自己決定」を教唆されていた! このエッセイは公開で意見が募集されて へースティング・センターのブログを通じてPeace自身もそこに参加するとのこと…

あのBill Peaceが病院で「死の自己決定」を教唆されていた!

アシュリー事件に関して2007年当初から一貫して「アシュリーは私だ」と言い 重症障害者だけの問題ではない、障害者みんなの問題だと 批判を続けている障害当事者のWilliam Peaceが 辱そうを感染させて長い間寝たきりとなって 自宅で訪問看護や介護を受けてい…

2012年7月16日の補遺

7月11日の補遺で拾って以降、ずっと関連情報を補遺に取り上げているオランダの安楽死の実態調査データについて、BioEdgeもLifeNewsと同じような指摘をしている。Lancetのリリースは一部のデータだけを取り上げて「すべり坂は起きていない」という絵を描いて…

インドで17歳の卵子ドナーが死亡

生殖補助ツーリズムのメッカとなっているインドで 2010年、15歳の時から3度目の卵子提供の直後、 腹痛を訴えたSushma Pandyさん(17)が、2日後の8月10日に死亡。 Pandyさんが卵子を提供したのは 世界的にも有名なクリニック、the Rotunda Center。 Pandyさ…

2012年7月14日の補遺

先月のカナダBC州最高裁からPAS禁止に違憲判決で、連邦政府が上訴を決定。 http://www.torontosun.com/2012/07/13/feds-to-appeal-assisted-suicide-ruling http://www.vancouversun.com/news/Federal+government+will+appeal+assistedsuicide+ruling+justic…

NDRN報告書:カルメンの強制不妊ケース

NDRN報告書のP. 21より、 知的障害者への強制不妊を人権擁護団体の介入が阻止したケースの概要を。 2008年の事件。 2008年に母親が産婦人科医を訪れ、 知的障害のある娘カルメン(22)は生理が重く、生理痛もひどく 頻繁に尿路感染を起こす、自分でケアでき…

2012年7月13日の補遺

Lancetに途上国で周産期の妊婦の死亡率を下げるには避妊・家族計画が有効、という論文。コメントもその大半はメリンダ・ゲイツが発言したばかりの内容を後押しするものがずらり。避妊が女性のエンパワメントだとか命を救うとか、貧困や人口成長の解決策だと…

NDRN報告書: A療法について 2

その後、報告書中盤で書かれているのは ① 障害当事者らによる専門家委員会について ② これら無用な医療介入による人権侵害に関する考察 ①NDRNとDRWとは、この報告書のために 2012年春に5つのそれぞれ別の専門家委員会を開催している。 開催地は4つの委員会が…

NDRN報告書: A療法について 1

NDRNの報告書の“アシュリー療法”に関する個所から。 アシュリー事件のケース・スタディとして 06年のGunther&Diekema論文から今年3月に出てきたTom とEricaのケースまでの流れに沿って、 両親と担当医らの正当化論、それからシアトルこども病院が立ちあげ…

2012年7月12日の補遺

ニュー・メキシコ州で医師と患者による自殺幇助訴訟。これはたぶん4月12日の補遺で拾ったニュースの続報。 http://www.healthpolicysolutions.org/2012/07/11/doctors-patient-challenge-new-mexico-assisted-suicide-ban/ 昨日の補遺で拾ったオランダの安楽…

英国の終末期パスLCPの機会的適用問題 続報

先月、以下のエントリーで取り上げた LCPの機会的適用問題の続報がありました。 「NHSは終末期パスの機会的適用で高齢患者を殺している」と英国の大物医師(2012/6/24) この告発で 本来は緩和ケアのパスであるリヴァプール・ケア・パスウェイ(LCP)が 機械的…

2012年7月11日の補遺

オランダで2002年に安楽死法ができて、2005年には自殺幇助や安楽死の数が減ったことが分かっているが、その後2010年までの間にまた増加したものの、法律ができる前と同じ発生率だ、と。:てことは、法律ができる前にも非合法なままの安楽死や自殺幇助が放置…