米国の途上国への食糧支援は自国企業に利益がっぽり

ガーディアン紙の調査によると、
去年の米国の途上国食糧支援プログラム(10億ドル)の3分の2は
米国に本拠を置く多国籍企業3社から買われていた。

2010―2011年度では
契約のほぼ半分がADM社で、支払われた金額は3億ドル。
約16%がCargil 社で、支払われた金額は9600万ドル。
第3位がBunge社で、支払われた金額は7500万ドル。

これら3社から米国政府が買った食料は120万トン、全体の70%に上る。

これまでにもずっと、
米国の食糧支援システムは飢餓に苦しむ国々を助けるよりも
自国の企業を潤すことになっている、との批判があった。

これは
それ以外に安い選択肢があっても米国の企業が買い、加工し、運搬することという
1950年代に作られた海外支援の規制が今だに変更されていないため。

そのため投入された国民の税金で実際に食糧購入に使われるのは4割ほど。
それ以外は、余分にかさむ経費が占めている。

EUやカナダなどOECD諸国はすでにこうした縛りを解いており、

米国でのUSAidのトップ、Raj Shah氏は
「もう巨大企業あてに巨額の小切手を書いて、それを開発だと呼びたくない」といい、
USAidが購入する物品とサービスは途上国での調達に切り替えたが
食糧支援は支援予算よりもむしろ農業に分類されるため、
これらの変更が及んでいない。

また、ガーディアンの今回の調査によれば、
米国内の余剰農産物を輸出するために食糧支援が利用されており、

最近カンボジアラオスへの支援に学校給食用のサケ缶が加えられたが
それは業界関係者とアラスカ州の官僚とがワシントンでロビー活動の成果だったり、

グアテマラギニアビサウへの支援にはアイダホの脱水ポテトが追加されたのも
業界挙げてのロビー活動のたまもの、とのこと。



この記事を読んで、お……? と目を引かれたのが
USAid(US agency of international development)のトップとして名前が挙がっている
Raj Shah氏。

この人は、たぶん、以下のエントリーの記事で
「インド生まれのアメリカ人で、元ゲイツ財団の職員」と説明されている人 ↓


ふむ……。

そう考えると、
余剰農産物を支援食糧と称して途上国へ持っていき、その過程で
公費を投入しカネを回して自国の巨大企業をもうけさせる……という
米国の途上国食糧支援のカラクリって、

どこか途上国へのワクチン推進支援のカラクリと似ている……?

例えば、上記の11年の記事から
途上国ワクチン支援への批判の個所を抜いてみると、

ゲイツ財団が作らせ支援しているthe Advance Market Commitment(AMC)なる組織が買い上げ、慈善と称して様々な国に届けているワクチンは、グラクソとかファイザーなどビッグ・ファーマの製品で、しかも欧米市場で売れまくって既にコストが回収できたワクチンなのだという。
慈善の名目で、インドなどの政府は自己負担分を体よく吐きださせられているだけだ、と。

本当にインドのために慈善でやるのなら、どうしてインド国内でワクチンが製造できるようにさせないのか、と。