2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2013年6月29日の補遺

南アの元大統領マンデラ氏の終末期医療を巡って、家族は差し控えを望まないことを強調。どうも「無益な治療」論がちらついている気配。このニュース、拾ったのもThaddeue Popeだし。 http://medicalfutility.blogspot.jp/2013/06/mandela-v-mediclinic-heart…

英国医師会が「LCPには機械的適用の問題あり」

優れた終末期ケアの手順書として日本でも採用されているリヴァプール・ケア・パスウェイ(LCP)が 高齢者を機会的に消極的安楽死へと導くツールと化しているとして 英国でここ数年問題となり、ついには保健省が調査に乗り出した流れについては 以下のエント…

NEJMの前・現編集長による医学研究腐敗の指摘から、日本の「iPS臨床承認」を考えてみた

最近、気になっている本の一つがこれ。 『ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』 マーシャ・エンジェル著 栗原千絵子、斉尾武郎訳 篠原出版新社 2005 著者は、New England Journal of Medicineの前編集長。 アマゾンのこの本のページに 京都大学医学部付属病院…

向井承子『患者追放』にあった、医療の「届かなさ」

医療の中にある、いかんともしがたい「届かなさ」について 先週、あるところにちょっと書いてから、ずっとそのことについて というか、その「届かなさ」を超えるすべについて 考えるともなく考えていた。 そのことが、今朝のコメントを機に直前エントリーを…

医療の「届かなさ」に挑むことに要する勇気について

今朝、こちらのエントリーのコメント欄で、 患者が医療の「届かなさ」に挑むことに要する多大な勇気とエネルギーについて ちょっと触れたら、 25年もの時の向こうから、ある情景と そこにあったヒリヒリするような痛みの記憶が 思いがけない鮮烈さで蘇ってき…

2013年6月26日の補遺 (後)

高齢者の痛みとうつ病に認知行動療法で効果。 http://www.washingtonpost.com/national/health-science/new-ways-to-help-seniors-deal-with-pain-and-depression/2013/06/24/9d7a7e10-c6ea-11e2-9245-773c0123c027_story.html プライマリー・ケアの開業医の…

2013年6月26日の補遺 (前)

AARPの公共施策研究所から家族介護者支援に介護休暇の提言。 http://www.aarp.org/content/dam/aarp/research/public_policy_institute/ltc/2013/fmla-insight-keeping-up-with-time-AARP-ppi-ltc.pdf 米国のブーマーズは介護費用をねん出するために生命保険…

乳がん“予防薬”を50万人の女性に5年間飲ませよう、と英NICE

今年1月の以下のエントリーを書いた時点では 作成中だったNICEのガイドラインが発表となり、 1月に報道された通り、乳がんのリスクが高い女性に 2種類の予防薬を5年間、NHSはオファーするように、と。 乳がん発症リスクの高い女性50万人に予防薬を(英国)(2…

大谷いづみ『「理性的自殺」がとりこぼすもの』を読んだ

『現代思想』5月号の特集「自殺論 対策の立場から」の一編、 大谷いづみ『「理性的自殺」がとりこぼすもの 続・「死を掛け金に求められる承認」という隘路』。 1970年代からの安楽死を巡る大きな事件での 一見すれば「理性的自殺 rational suicide」を求めて…

アベノミクス財源のため社会保障を大幅カット

メルマガ 『やまのい和則の「軽老の国」から「敬老の国へ」』 第1704号(2013/6/24)より 報道によれば、政府は来年度の社会保障予算の高齢化による 自然増分を抑制する方針を8月に発表するとのこと。 自然増は年1兆円。 これを抑制するには、医療、年金、…

美しい文章 10:上橋菜穂子『獣の奏者』に描かれた“マジックアワー”

広間の外にひろがる庭園には、広間をかこむように宴席がしつらえられ、真王(ヨジェ)の誕生日を祝うためにおとずれた多くの貴族たちが、その身分に従って着席していた。 つぎからつぎへと運び込まれるごちそうの香ばしいにおいと、咲き乱れる花々の香りとが…

北アイルランドの2013年第1四半期のケアラー・アセスメント報告

北アイルランドの保健省から2013年第1四半期の介護者統計が発表になっており、 以下の記事に、ケアラー・アセスメントについての概要が取りまとめられている。 今回が8回目ということなので、 2年前から四半期ごとに発表されていることになる。 私は最初、こ…

2013年6月23日の補遺

PASが合法化されたばかりのVT州で、オプト・アウトする病院が出てきている。 http://www.reformer.com/localnews/ci_23515442/grace-cottage-opts-out-assisted-suicide-law-now http://www.nationalreview.com/human-exceptionalism/351770/vermont-hospita…

新生児へのロタ・ウイルス・ワクチンの治験、ガーナで

メイヨー・クリニック他の研究により、 ガーナの新生児でロタ・ウイルス・ワクチンに60%の効果があることが分かった、 というニュースが出てきているのだけれど、 現在、ロタ・ウィルス・ワクチンの接種は生後2カ月からとされていて、 先進国では2度の摂取…

「人材育成を放棄して雇用規制緩和ではブラック企業がはびこる」とPOSSE代表

労働問題を中心に、若者の「働くこと」に関する様々な問題に取り組むNPO、 POSSEの代表、今野晴貴氏へのインタビュー記事が 今月号の『介護保険情報』にあり、今の日本社会の問題を鋭く指摘していると思った。 特に印象に残った個所を以下に。 ……介護現場で…

WA州尊厳死法報告2012

2012年のWA州の尊厳死法の実施報告書が出ています。 私は読んでいませんが、本文はこちら ↓ http://www.doh.wa.gov/portals/1/Documents/Pubs/422-109-DeathWithDignityAct2012.pdf 以下の Life News の記事から概要を以下に。 2012年に尊厳死法を利用して自…

ケベックの医療的自殺幇助合法化法案の詳細&問題点

先週、以下のエントリーで紹介したケベックの法案について、 ケベックの法案は「医療的自殺幇助」という名の安楽死合法化法案(2013/6/14) 私がこのエントリーで指摘した通りの言葉のマジックを指摘する記事が 19日のGlove and Mailに出ていますが、 そちらの…

2013年6月20日の補遺 (後)

米国で百日咳の免疫ができていない大人が多い、子どもでも致死率60%と、なんだかこの話題にわかに騒がしくなりそうな気配。3月15日の補遺では「百日咳のワクチンは何度目かまでで効力が切れるので、追加接種が必要」という話が出てきていたし、じゃぁ日本で…

2013年6月20日の補遺 (前)

祝! 障害者差別解消法が成立:ご尽力下さった方々、ありがとうございました。それにしてもテレビのニュース、この話題を報じなかった(怒) 私がたまたま見なかっただけ? http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201306190147.html http://mainichi.jp/select…

高山義浩医師の「倫理の腐敗としての『胃ろう不要論』」を読んだ

教えてくださる方があって、読んだ。 倫理の腐敗としての「胃ろう不要論」 高山義浩 apital 2013年6月19日 心が温かくなって、 じん、と感謝の気持ちに満たされた。 例えば、以下の個所など。 (ゴチックは例によって、共感を込めてspitibara) 私は胃ろう推…

MGH、重症脳損傷患者への同意なき臨床実験に参加か

マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究チームが 救急搬送されてくる重症の頭部外傷患者に対する同意なき臨床実験に 参加を検討していることを巡って論争になっている。 頭部外傷で脳損傷のある患者は受傷後数時間以内に 脳浮腫や蘇生の変化などの二次的損傷…

2013年6月17日の補遺 (後)

肥満に関連した症状で治療を受ける子どもの数が4倍に急増。 http://www.medicalnewstoday.com/releases/261909.php 環境ホルモンBPAが9歳から12歳の女児の肥満に関わっている http://www.medicalnewstoday.com/articles/261886.php 【関連エントリー】 大統…

2013年6月17日の補遺 (前)

カナダでベビー・ブーマーの自殺率が急騰。 http://www.sunnewsnetwork.ca/sunnews/canada/archives/2013/06/20130616-074008.html ケベックの安楽死合法化法案(なぜかメディアは「自殺幇助合法化法案」と言い続けているけれど)に反対して、緩和ケア医らが…

あまりに非人道的な「不妊手術キャンプ」を人権団体が提訴(インド)

BioEdgeが3月に続いて、またも インドの「不妊手術キャンプ」の劣悪さを取り上げている。 今回は、人権団体が提訴した、という新情報。 Indian women victimized in sterilization camps BioEdge, June 15, 2013 インドの不妊手術キャンプについては、 いっ…

一方的な「無益な治療」拒否のアリバイ化するPOLST

POLSTについては 去年、以下のNYTの記事で初めて知ってエントリーに書いた段階で、 こういうことになるんでは……という予感があった。 医師が主導して考えさせ、医師の指示書として書かれる終末期医療の事前指示書POLST(2012/11/26) 現に、この時、私は以下の…

オランダ医師会、親の苦悩の緩和として障害のある新生児の安楽死を正当化

オランダ医師会から 「重症障害のある新生児の生命に関する医療決定」という新たな報告書が出され、 障害のある新生児の安楽死が許容されるだけでなく必要である、と説いている、とのこと。 もともとオランダでは2004年のグローニンゲン・プロトコルで 新生…

ビル・ゲイツが自分路線の公教育改革実現に”投資”したグラント一覧

Valerie Straussは ゲイツ財団がCommon Core Standardの実施に向けて どこの関係団体に、どれだけのカネを、 グラントとしてばらまいているかを調べあげて、 以下の記事に詳細なリストとして掲載し、 http://www.washingtonpost.com/blogs/answer-sheet/wp/2…

ビル・ゲイツの公教育改革に、米国の教師が突きつけ始めた“NO”

実は、昨日のエントリーで紹介したStraussの記事は、 こちらの記事を見つけた時に一緒にくっついてきたオマケ。 オマケがいかにも鋭く、面白かったものだから、 腰を据えて本命記事を読む覚悟を先延ばしにしたい気持ちも手伝って、 つい、そちらを先にエント…

今年、英米の学校が禁止したヘンなもの

WPで教育問題について書いているValerie Straussという記者さん、 辛辣だけど視点が面白いなー……と、前から思っていたんだけど、 今回の記事のタイトルは 「今年、学校が禁止したヘンなもの、8ケ」 1. フリルのついたソックス 英国の小学校で、やたらと長…

美しい文章 9: 日本国憲法 第97条

『人間的価値と正義』(牧野広義著 文理閣 2013)を読んだら、 その中に2度も引用されている、これを 「美しい文章」として、ここに書いてみたくなった。 日本国憲法 第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の…