2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

医者も知らない”乳房芽”?

「乳房芽」という言葉は、この件を巡って、まるで誰でも知っていて日常的に使われている言葉でもあるかのように使われていますが、本当のところ、どの程度広く認知された言葉なのでしょうか? 私は知りませんでした。この事件のニュースに触れるまで、見たこ…

George Dvorsky はトランスヒューマニスト

成熟した女性の体に乳幼児レベルの知能しか持たない人が宿ることを「グロテスク」だと放言したGeorge Dvorskyという人がいて、その発言が両親のブログに引用されていることは、周知の通りです。論争の中でも5月16日のWUのシンポでも何度かその引用箇所が…

ホルモン療法に関する論文 “Tall Girls”

Gunther医師とDiekema医師の論文が掲載された Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine 2006年10月号には、なんとも皮肉な取り合わせの以下の論文も掲載されています。 “Tall Girls: the Social Shaping of a Medical Therapy” Joyce M. Lee, MD, MP…

まだある論文の”不思議” オマケ

この辺でいったん論文そのものの検証から離れます。そこで、論文にこだわってきたエントリーのオマケとして、私にはとても興味深いと思える表現を論文中から2つ、ご紹介します。 まず1つは、「症例報告」の中、アシュリーが内分泌医の診察を受けた段階で、…

まだある論文の”不思議” その5

ハ席姑表の時期の不思議 アシュリーの手術は2004年7月のことでした。論文発表までに2年以上経過しています。論文発表時、ホルモン療法は開始から1年ちょっと。まだ継続中です。(追記:事実はこの段階で「2年とちょっと」だったようです。その後 こ…

まだある論文の”不思議” その4

の冤?ウンセラーであった医師が論文執筆者であることの不思議 このような医学論文で、倫理カウンセラーという立場でそのケースにかかわった医師が執筆するということが、どの程度当たり前のことなのか、私はまったく無知なので分かりません。が、倫理委員会…

まだある論文の”不思議” その3

親のアイディアが具体的な計画となった場面に居合わせたのがGunther 医師である事実を伏せていることの不思議。 両親のブログに書かれている事実関係を整理してみると、いわゆる“アシュリー療法”のアイディアが生まれ、それが具体的な計画となるまでの経緯は…

まだある論文の”不思議” その2

∨粗で、在宅化を進めようとする政府の障害児福祉施策から論を起こしながら、2度とその問題に戻っていかないことの不思議。 「イントロダクション」は、脱施設をうたう政府の障害児福祉施策と、それに対してアメリカ小児科学会障害児セクションが賛意を表し…

まだある論文の”不思議” その1

しばらく脱線してしまいましたが、話を2人の医師が書いた論文に戻します。 いまさら、何故まだ去年の論文の話なのかと思われるかもしれません。が、この論争の非常に際立った特徴の1つとして事実誤認の多さがあげられます。倫理委のメンバーが40人という…

同じ療法を希望する親の数が、医師によって違う?

Salon.com の2月9日付の記事を紹介したついでに、同じ様な医療処置を望んでいる親の数についての医師らの発言の不一致をここで指摘しておきたいと思います。 Salon.com の記事では、シアトル子ども病院のMcLaughlin医師が少なくとも3家族から要望が出てい…

倫理委員会についての主要記事要旨

前のエントリー( http://blogs.yahoo.co.jp/spitzibara/7325845.html)で紹介した2つの記事の要旨を以下に。 これらの記事を読むと、倫理委の「コンセンサス」がシンポで言われていたようにすっきりしたものでもなかったことが伺われます。 Salon.com (2…

倫理委のメンバーは実は18人とも

この先、論文の内容と、メディアでの医師らの発言に見られる、さらにいくつかの“不思議”を指摘したいと考えていますが、その前にここで、前のエントリーで書いた「アシュリーの親がブログで書いた倫理委のメンバーが40人というのは、彼らのカン違い」と考…

親のブログがなかったら隠蔽は成功していた?

去年の秋に発表された論文は「いかに分かりやすく誤解を招かないように書くか」という常識的な注意を払って書かれたものというよりは、わざわざ「いかに紛らわしく誤解を招くように書くか」という点に知恵を絞って書かれたもののようにも思えます。言い換え…

医師らの論文にはマヤカシがある その4

ゥ▲轡絅蝓爾侶錣鮓‘い靴仁冤?僂離瓮鵐弌爾砲弔い討録┐譴討い覆い里法⊃┐譴討△襪隼廚錣擦觜妙な誘導が仕組まれている。 この問題に重大な興味関心を持っている人の中には、この論文を実際に読まれた方もあるでしょう。多くの人が「あの論文には倫理委のメンバ…

医師らの論文にはマヤカシがある その3

せ匍榲出があたかもホルモン療法の副作用軽減のために必要だったかのように書かれている。 論文の中で子宮摘出が触れられているのは、ごくわずかです。 初出は「症例報告」という項目の後半。 両親と医師とが話し合った結果、 「エストロゲンの大量投与によ…

医師らの論文にはマヤカシがある その2

引き続き、論文のおかしな点について。 F?鴫蠅寮攴釮砲弔い討蓮一切触れられていない。 この点は既に多くの人が指摘しているところですが、論文は乳房芽については一切触れていません。倫理委員会の検討について書かれた一説でも、倫理委員会は「成長抑制と…

医師らの論文にはマヤカシがある その1

年明け早々のニュースから、この件の事実関係にこだわって、主に当事者の発言を1つ1つ突き合わせては確認するという作業を続けてきました。資料をつき合わせて細部を検証してみたら、多くの人が議論の前提として疑いもなく受け入れている事実関係そのもの…