その他の疑問・疑惑

「会議で退屈したからAshleyは赤ん坊と同じ」とDiekema医師

去年新たに見つけた米国医師会新聞によるDiekema医師のインタビュー記事について、 会員でなくても読める冒頭の部分を元に D医師「施設内審査委員会が承認した」と大ボラのエントリーで書きました。 そのウソが重大であるだけに、この記事の内容はたいそう気…

“A療法”批判が出るとネット上で起こること

もう、特定の分野の研究者か、よほど強い関心を持っている人以外には 興味などなくしてしまっているとしか思えないAshley事件ですが、 それでも、まだ、たま~に、どこかのブログが取り上げることがあります。 その中に、何も分析も個人的な意見もなく、 こ…

ヘンだよ、Ashleyの胃ろう

ここ数日、ある人とAshleyの咀嚼・嚥下機能についてメールをやり取りしています。 コトの起こりは例の認知障害カンファでSingerが 「Ashleyには飲み込みすらできない」と発言したこと。 私はあまり意識にとめなかったのですが、父親のブログによると、 「Ash…

Ashleyケース、やはり支援不足とは無関係かも

2007年初頭の“Ashley療法”論争の時から 米国でAshleyのような重症児への介護支援がどの程度整備されているものか ずっと知りたいと思っていたのですが、 11月の末にWPに以下の記事があり、 ある程度の目安になるかと思われます。 Caught by a Change in Heal…

A事件でも「語られないこと」は見えないまま「ない」ことになった

前のエントリー「ない」研究は「ない」ことが見えないだけという科学のカラクリ?を書いているうちに、 頭に引っかかっていながら、どうしても言葉にできず、 ずうっと、もどかしかったAshley療法論争の問題点が ふっと言葉になったような気がする。 あの論…

”A療法”には「親が抱え込め」とのメッセージ

久々に、Ashley療法を取り上げたブログ記事が出てきました。 相変わらず、事実誤認に満ちているのですが、 いろいろな雑音が収まった中で読ませてもらうと、 その事実誤認からこそ、また様々なことが見えてくるようでもあり。 書いたのは「60歳になっても若…

A事件「未だ答えられていない10の疑問」

このところ、カナダAlberta 大学の教育心理学の教授 Dr. Sobseyが インターネット上でAshley事件の特に乳房芽の切除に関して 立て続けに疑惑を指摘していましたが、 今度は障害者への虐待をテーマにした同大学関係機関のブログで これまで書いてきたことを中…

自閉症キレート療法論争にDiekema医師

こんなところにDiekema医師が登場していると、教えて下さる方があったので。 自閉症児へのキレート療法の臨床試験を巡って米国で先週から論争が起きており、 その件についてScience誌に掲載の論文。 Stalled Trial for Autism Highlights Dilemma of Alterna…

イスラム女性の処女膜再生からAshley問題を

前のエントリーでとりあげたヨーロッパ在住のイスラム女性の処女膜再生術の話を その後あれこれ考えているのですが、 もしも何かの拍子に 処女膜を再生したのだという事実がバレてしまったら……? そういうことを考えると、やっぱり処女膜再生は彼女らの解放…

“溜め”からAshleyケースを考えてみた

もう去年の1月の“Ashley療法”論争など忘れ去られたかに見える今でも、 “Ashley療法”を取り上げるブログというのはたまにあって 「貧困――『すべり台社会』からの脱出」を読みながら、 介護負担と家族の“溜め”ということを考えていた先週も、 「おいおい……」と…

男児割礼論争にD医師

なにしろ私は世の中のたいていの問題についてモノを知らないので、 いまどきアメリカで男児に割礼を行うのは熱心なユダヤ教徒の家庭くらいなのだろうと 何の根拠もなく思い込んでいたために いまだに半数が割礼を受けているという以下の記事にはビックリした…

WA州保健局が懲罰も口にしていた?

最近まで見落としていた記事なのですが、 去年の5月にAshleyの子宮摘出の違法性が明らかとなった際の報道で、 ワシントン州保健局の病院ライセンスを担当する部局の責任者Steven Saxe氏が 病院や医師らに対して何らかの懲罰措置をとることになれば、 さらな…

“A療法”は水面下でいくらでも可能なのか

アリゾナ大学法学部の新聞2007年1月号の4ページ目、 法学関連ユース&コメント欄にAshleyケースが取り上げられています。 Ashley X: The Little Girl Who Will Never Grow Up というタイトル。 記事そのものはそれほど長いものでもなければ、 内容も事…

D医師「施設内審査委員会が承認した」と大ボラ

これまで見落としていた去年3月の資料を新たに発見したところ、 Diekema医師のとんでもない大ウソが出てきました。 これまでで最も悪質なウソの1つでしょう。 なにしろ、Ashleyのケースを検討・承認したのが病院倫理委員会ではなく 施設内審査委員会で承認し…

こども病院はなぜ沈黙しているのだろう

Diekema医師が1月にCalvin大学で講演を行った時から 解せないなぁ……とひっかかっているのですが、 シアトル子ども病院は去年5月のワシントン大学でのシンポ以降、 Ashleyのケースに関しては完全に沈黙しています。 去年の秋にGunther医師が自殺した際にも、 …

ホルモン療法の発がん性

医療職と更年期の女性以外にはあまり知られていないかもしれませんが、 ホルモン補充療法には発がん性があるというのは周知の事実。 乳がんとの関連性を示す研究結果が発表された翌日には 米国でホルモン療法を受ける女性が半減したというニュースを読んだ記…

Daily Mailの報道姿勢の不思議

どうしても気になってならない、 Daily Mailの報道姿勢について。 去年10月以降のKatieケース関連Daily Mail記事は以下の4本ですが、 Why I want surgeons to remove my disabled daughter’s womb(07年10月7日) Why this mother should be allowed to h…

“A療法”擁護者の2つの系譜

これまで当ブログでは 去年1月から2月にかけての“Ashley療法”論争の際に メディアに登場して両親を擁護した人たちの発言を検討してきました。 現在までに「擁護に登場した奇怪な人々」の書庫にあるエントリーで とりあげた人物は10人。 この10人の人物像を…

医師らの懸念

2月9日付Salonの記事には、このたびの処置に批判的な立場の病院内の医師らの懸念として、「倫理委から外部の人が排除されたために、病院内の議論のニュアンスと複雑さが一般の人たちに伝わらない。そのために、他の障害児にそれだけ簡単に“アシュリー療法”…

他児への適用を巡る医師発言の変遷 2

1月にメディアの取材やインタビューに対して医師らが繰り返しているのは、おおむね 「自立歩行の可能性がなく重篤な知的障害も併せ持った重症児に対しては、 こうした医療介入を行っても悪いとは思えない」という主張のように思われます。 そのトーンは 「…

他児への適用を巡る医師発言の変遷 1

親への言及の多さの他にも、 もう1つ広く適用することに関連して 論文の中で医師が何度も言及している問題があります。 それはセーフガードの必要性です。 まず「症例報告」の中、 倫理委がrecognize したこととして、 以下のように書かれています。 この患…

Diekema医師のもう1つのウソと、そこから見えてくるもの

1月12日以降、医師らはそれまでの隠蔽もゴマカシもウソもどこへやら、あたかも両親の主張する乳房芽の切除のメリットに最初から賛同していたかのような発言を繰り返しています。 ネットに流出したこの事件に関する情報は膨大なものでした。それを読む人に…

論文内容と倫理委コンセンサスの矛盾

「医師の言うことを否定して見せる親」で述べたように、両親はブログで、これら一連の処置を行ったのは本人のQOLの維持向上のためであり、それ以外は付随的な問題に過ぎないと繰り返しています。いかなる状況であっても自分たちは家でアシュリーをケアし…

static encephalopathy について

Anne McDonald さんは、Seattle Post-Inteligencerに寄せた記事の中で、 自分はピーター・シンガーの友人であり、倫理と障害について議論したこともあると書いています。 にもかかわらず、シンガーがニューヨークタイムズに既に有名になった例の論評を書いた…

grow/growthの多義性と曖昧さ その2

さらに私が、この論争における growth または grow という言葉が意味するものの曖昧さから抱く、もう1つの疑問は、多くの人々が「アシュリーは生涯成長することもなく、赤ん坊のまま」という際のgrow について。 アシュリーの認知・知能の発達は生後3ヶ月…

grow/growth の多義性と曖昧さ その1

以下の4行は当初 「何が行われたのか」のエントリーの最後に括弧で付記していたものですが、その後、この点に関してエントリーを立てることとし、こちらに移しました。 論争の途中で気になったことの1つに、この件では「成長」、「発達」、「成熟」、「背…

医師にとっても透明人間だったアシュリー

ちょっと話が横道に逸れますが、アシュリーの知的レベルに対するDiekema医師の認識レベルを示唆する、非常に興味深い問答を1月11日のCNNのインタビューから、紹介します。 インタビューアーの質問 アシュリーに会って、彼女が家族とやり取りしているのを見て…

親と医師は言うことが違う ①知的レベル

医師らと両親の発言の食い違いの中で、私が重大だと思うものの1つはアシュリーの知的レベルに関する点です。 両親のブログにはアシュリーの知的レベルについて、「生後3ヶ月の時から認知と精神発達能力はずっと同じレベルにある」と書かれています。アシュ…

WPASの調査報告書 要注意点

WPASの報告書を読んで、誤解を招くのではないかと非常に気になった箇所がありましたので、注記しておきます。 誤解を招きそうな紛らわしい書き方があるのは、「Ⅲ事実」の「B.アシュリーの両親は“アシュリー療法”に関して子ども病院倫理委員会に意見と勧告を…

同じ療法を希望する親の数が、医師によって違う?

Salon.com の2月9日付の記事を紹介したついでに、同じ様な医療処置を望んでいる親の数についての医師らの発言の不一致をここで指摘しておきたいと思います。 Salon.com の記事では、シアトル子ども病院のMcLaughlin医師が少なくとも3家族から要望が出てい…