2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2012年10月31日の補遺

過去20年間の米国での合法的自殺幇助に関する文献を調査した結果、自殺幇助が合法化されると、その他の自殺も増えていることが明らかに。著者は「自殺は感染する」。 http://www.onenewsnow.com/pro-life/2012/10/31/research-assisted-suicide-increases-ot…

「ケアの倫理からはじめる正義論 支えあう平等」を読んだ

「ケアの倫理からはじめる正義論 支えあう平等」 エヴァ・フェダー・キテイ 岡野八代 牟田和恵 (白澤社 2011) 2010年のキテイの「愛の労働 あるいは依存とケアの正義論」の出版と 同年11月の来日の後に出版されたもので、 来日時の京都同志社大学での講演…

2012年10月29日の補遺

豪の障害のある子どもを持つ母親が支援サービス充実を訴えている。:こういう記事でいつも思うのは、日本とのベースラインの違い。この母親が「足りない」と言っている状況というのは「町にレスパイト・センターが1つしかなくて、それも高齢者の介護者と一緒…

2012年10月28日の補遺

11月30日は英国の「介護者の権利の日」。 http://www.theambler.co.uk/2012/10/25/carers-rights-day/ カナダ Saskatchewan州の住民世論調査でマジョリティが自殺幇助合法化に賛成。 http://www.cbc.ca/news/canada/saskatchewan/story/2012/10/25/sk-doctor…

LCPの機会的適用でNHSが調査に

本来は丁寧な終末期のケアのパスであるはずのリヴァプール・ケア・パスウェイ(LCP)が 英国の医療現場で「さっさと脱水・死ぬまで鎮静」という 機会的な高齢者ケアのツールになり果てているという問題は、 当ブログでも以下のエントリーなどで折に触れて追…

木村晴美『ろう者が見る夢』と、人工内耳めぐる「リー・ラーソンの息子たち事件」 2

前のエントリーからの続きです。 『ろう者が見る夢』にも「インフォームド・コンセント」というタイトルで 人工内耳をめぐる親の選択に触れた章があって、 それによると、人工内耳装用者が増加していて、 あるろう学校の3歳児クラスでは、一人を除いて全員が…

木村晴美『ろう者が見る夢』と、人工内耳めぐる「リー・ラーソンの息子たち事件」 1

「ろう者が見る夢 続々 日本手話とろう文化」木村晴美 (生活書院 2012) 図書館で目についたので手に取ってめくってみたら 「あなたは夢の中で何語で話しているだろうか」で始まる文章が目について、 ろうの両親から生まれ育ったろう者の著者が 夢の中では…

「バイオ化する社会」書評を書きました

ずいぶん前に書いたので、 てっきりエントリーにしているものとばかり思い込んでいたら まだだったみたいなので、早速、以下に――。 「バイオ化する社会 『核時代』の生命と身体」 粥川準二 私が「バイオ化」という言葉を知ったのは、去年「現代思想」2月号…

2012年10月24日の補遺

シカゴで、子どもがまだ生きているうちから死亡宣告されてしまった親Sheena Lane and Pink Dorseyさんが病院を相手取って提訴。Thaddeus Popeは「心臓死後臓器提供DCDのケースではないが、心機能が自発的に戻ったということはDCDのプロトコルで心停止から摘…

ノーベル経済学賞の一人は「腎臓ペア交換」の考案者だった

16日の英フィナンシャル・タイムズ社説を翻訳掲載した 22日の日経記事で、 ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者2人のうちの一人、 アルビン・ロス氏について、以下のように書かれている。 何より有名なのは、ロス氏が腎臓交換の仕組みを設計した…

2012年10月23日の補遺

ドバイで、四肢マヒ患者Ghulam Mohammedさんに一方的「蘇生不要」DNR指定をし、その後、自分で生命維持装置を切って死ぬまで誰も手を出さないよう監督したオーストリア人の医師EugenAdelsmayrが、殺人罪で無期懲役刑を言い渡されている。ただし事件が起きた…

日本尊厳死協会理事長・岩尾氏の講演内容の不思議 2

前のエントリーの続きです。 岩尾氏の講演内容を掲載した記事では、 Ⅱ. スイスのExitやDignitasなどの自殺幇助機関について 以下のように書かれている。 ……スイスには看取りの家があり、外国から来た人の自殺も看取ってくれる。 その実態を視察してきた。看…

日本尊厳死協会理事長・岩尾氏の講演内容の不思議 1

「社会保険旬報」のNo.2509(2012.10.1)、No.2510(2010/10/11)に、 「尊厳死のあり方 ―― リビングウィルの法制化」と題して 医療経済フォーラム・ジャパン主催の第59回定例研修会(8月24日)で 日本尊厳死協会理事長の岩尾聰一郎氏が講演した内容が掲載され…

BBCによる英国での自殺幇助議論「この10年」

BBCが、スイスのDignitasで英国人が自殺するようになってからの10年間の 自殺幇助合法化問題をめぐる動きをとりまとめている。 Assisted suicide: 10 years of dying at Dignitas BBC, October 21, 2012 内容としては、これまで当ブログが追いかけてきた通…

“オピオイド鎮痛剤問題”の裏側(米)

昨日のエントリーで掘り出してきた過去の補遺の断片を見ていたら、 読みたいと思ってそのままになっていた去年12月のProPublicaの記事が とても気になってきたので、読んでみた。 これまで向精神薬や骨減少症や心臓ステントなどを巡って報じられてきたスキャ…

米国の“鎮痛剤問題”

昨日のニューヨーク・タイムズに “鎮痛剤問題”への取り組みの一環で 製薬会社と薬局や医師との間を取り結ぶ卸業者への 規制が強化されている、という話題があったので、↓ http://www.nytimes.com/2012/10/18/business/to-fight-prescription-painkiller-abus…

美しい文章 4: 藤沢周平 「大はし夕立ち少女」

日は変わりなく照っていたが、いつの間にか光が白っぽく変わり地上の物の影がうすくなっているのにさよは気づいた。河岸の道に出たときに、不意に強い風がうしろから吹きつけてきた。さよは身体をあおられて風呂敷包みを落としそうになり、あわてて包みを胸…

あるヤング・ケアラーの語り

10月は、オーストラリアの介護者週間。 いつからだったか記憶にないほど幼い頃から 精神障害のある母親の介護を担ってきたヤングケアラーの語りが紹介されている。 Shayley Willsonさん。 年齢が記事には明記されていないけれど、 内容から推測すると、現在1…

2012年10月15日の補遺

MA州の住民投票が近づき、自殺幇助合法化議論が過熱している。結構、反対論も目につくのだけれど、やっぱりもう流れは決まっているのだろうなぁ……と思ってしまうところが空しい。 http://www.salemnews.com/opinion/x1684126269/Column-Vote-no-on-Question-…

2012年10月11日の補遺

15日に東大の研究会で、アシュリー事件がフェミニスト現象学の視点から論じられる模様。 http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2012/10/the_8th_meeting_of_the_study_g_2/ Taylorさんの死でまたぞろ過熱しそうなカナダの自殺幇助合法化議論で、自殺幇助より…

2012年10月9日の補遺

無益な治療ブログのThaddeus Popeが「英国のRasouli事件」だと言っていたMr. Lの無益な治療訴訟で、イスラム教徒の教えに反すると抵抗する家族の訴えを裁判所が却下して、「意味のある生の延命にならないなら」治療は中止すべきだと医師サイドの言い分を認め…

化学薬品業界が政府の発がん物質報告書の予算カット狙い、ロビー活動

ホルムアルデヒドといえば、宮部みゆきの「名もなき毒」を思い出すけれど、 よく考えてみたら、2010年に以下のエントリーを書いているんだった ↓ 大統領がんパネルが「化学物質はやっぱりヤバい」(米)(2010/5/10) 今回のNYTの記事も上記と同じくNicholas K…

「驚きの介護民俗学」を読んだ

とても評価の高い本で、 確かに感動も味わいもないわけではないのだけれど、 ずっと、喉に引っかかった小骨のような違和感があった。 それは、著者が介護現場でどういう働き方をしているのかが 最後まできっちり掴めないことと関係しているような気がする。 …

自殺幇助、つきそった近親者にPTSD

家族や親友の幇助自殺につきそった人には PTSDが高率で見られたり、喪の悲しみが困難なもの(complicated)になっている、との 興味深い調査結果が報告されている。 Death by request in Switzerland: Posttraumatic stress disorder and complicated grief a…

自殺幇助の権利勝ち取ったばかりのALS患者Taylorさん、感染症で急死(加)

以下のエントリーの続報。 カナダBC州最高裁からPAS禁止に違憲判決(2012/6/18) 医師による自殺幇助の合法化を求めて集団訴訟を起こし、 6月にカナダのBC州最高裁から特例的に医師による自殺幇助を受ける権利を認められていた ALS患者のGloria Taylorさん(6…

ベルギーの「安楽死後臓器提供」9例に

ベルギーで2005年から2009年にかけて「安楽死後臓器提供」が4例行われたことについては これまでに以下のエントリーで取り上げてきました ↓ ベルギーで2年前にロックトインの女性、「安楽死後臓器提供」(2010/5/9) ベルギーの医師らが「安楽死後臓器提供…

2012年10月5日の補遺

生活書院のHPに、重い自閉症で知的障害のある37歳男性の母親、福井公子さんによるWeb連載「障害のある子の親である私たち――その解き放ちのために」がスタート。:なかなか言葉にならない微妙なところを、ていねいに語ってくださっていて、ずしりと響きます。…

Kansas Children’s Mercy病院生命倫理センターのディベイト・シリーズ

カンザスのChildren’s Mercy 病院の生命倫理センターが、 小児生命倫理ディベイトをシリーズで。 ここは、私が大好きなJohn Lantos医師がいるところ。 登場人物の顔ぶれも、当ブログでおなじみのLainie Friedman Rossや Annie Janvier, Robert D. Truog, Tha…

自分の安眠のため入所高齢者に向精神薬飲ませた看護師に3年の実刑判決

8月22日の補遺で取り上げた以下の事件で、 被告のMirela Aionaeiに懲役3年の実刑判決。 英国でナーシング・ホームの介護者がシフトの際に(自分が)安眠できるよう、認知症の人6人に抗不眠薬、抗ウツ薬、向精神薬を飲ませて徘徊を防止していた、という事件。…

2012年10月2日の補遺

【お断り】 昨日からご訪問くださる方が増えているので、 初めて来てくださる方に――。 補遺の記事はタイトルやリード部分だけにざっと目を通して、 気になった記事をあくまでもメモ的に拾っておこうとするものです。 私の取りまとめは必ずしも正確とは限りま…