子ども病院生命倫理カンファレンス

Kansas Children’s Mercy病院生命倫理センターのディベイト・シリーズ

カンザスのChildren’s Mercy 病院の生命倫理センターが、 小児生命倫理ディベイトをシリーズで。 ここは、私が大好きなJohn Lantos医師がいるところ。 登場人物の顔ぶれも、当ブログでおなじみのLainie Friedman Rossや Annie Janvier, Robert D. Truog, Tha…

シアトルこども病院生命倫理カンファ 明日から

2月に以下のエントリーで予告したカンファが いよいよ現地時間の明日、明後日の2日間、開催されます。 今年のシアトルこども病院生命倫理カンファは、貧困層の子どもと知的・精神障害児の医療切り捨てを議論(2011/2/9) 以下に見つけたのは、いわば、その告知…

今年のシアトルこども病院生命倫理カンファは、貧困層の子どもと知的・精神障害児の医療切り捨てを議論

シアトルこども病院は05年から毎年7月に 小児生命倫理カンファレンスを開催しています。 今年は7月22、23日で、第7回のテーマは Who’s Responsible for the Children? Exploring the Boundaries of Clinical Ethics and Public Policy 子どもたちの医療はだ…

「Kevorkianだってすんなり起訴されなかったんだから医師は安全。障害新生児に“無益な治療”はするな」と説くFost

シアトルこども病院トルーマン・カッツ生命倫理センターの 今年の生命倫理カンファ。 テーマは周産期の倫理問題です。 別の表現をすると、障害新生児への“無益な治療”。 先日、第一日目のJohn Lantos講演を聞き、 その一部についてエントリーにまとめました…

米小児科学会の女性器切除に関する指針撤回:Diekema医師の大チョンボ

今年5月22日の補遺でこの話題を拾った際、 私は、以下のように書きました。 米国小児科学会が女性器切除をある程度許容するガイドラインを出したことで、批判を浴びている。 当該委員会の委員長はDiekema医師。 現場の医師としては、親に言ってこられた際に…

シアトル子ども病院の来年の生命倫理カンファは周産期の「無益な治療」がテーマ

シアトル子ども病院のサイトに 来年7月の第6回生命倫理カンファの予告が出されています。 テーマは Tiny Babies, Large Questions:Ethical Issues in Prenatal and Neonatal Care 小さなベイビー、大きな問題:周産期ケアの倫理問題 サイトはこちら。 htt…

子ども病院倫理カンファ(遺伝子診断)に関する記事

シアトル子ども病院生命倫理カンファレンスの取材に先駆けて 子どもの遺伝子診断についてブログで親の意見を募集し、その中で Diekema医師のコメントを引用していた地元の新聞記者が 取材後の記事を書いています。 Genetic testing of kids could pose a dil…

ワクチンと自閉症 (自閉症関連重要事項年表)

6日(日)の朝日新聞にあった「アメリカの毒を食らう人たち」の書評に、 自閉症の原因はワクチンだと断定している箇所があり、 「え? それって、実証されていないんでは……?」と、びっくりして 思わず眉にツバをつけた。 このところ書こう、書きたいと思い…

今年の子ども病院カンファは遺伝子診断

今年のシアトル子ども病院の生命倫理カンファレンスが7月25、26の両日に決まったようです。 テーマは「未来を予測する:子どもの遺伝子診断と家族」。 Predicting Our Future: Genetic Testing in Children and Their Families July 25, 26, 2008 At Be…

乙武クンは安楽死の対象?

シアトル子ども病院生命倫理カンファの2日目 7月14日午前のパネルの冒頭、 John J. Parisが「白黒つけにくい灰色のケース」として紹介したのは 以下のような事例でした。 生まれた子どもに四肢が欠けていた。 医師が神経異常を疑ってMRI検査を行ったところ、…

親による治療拒否(2つめのRoss講演)

去年のシアトル子ども病院生命倫理カンファで 2回講演を行っているのはNorman Fost と Lainie Freidman Ross。 第1日目7月13日午後の分科会での講演では 子どもへの臓器提供者としての親と、 その場合のリスクの考え方について 数多くの問題を提起して…

Fost講演の不思議

1月19日のDiekema講演までにやっておきたかったことの1つに、 去年7月のシアトル子ども病院生命倫理カンファレンス 2日目14日のNorman Fost医師の講演を聴いておくことがあったので、 (カンファ第1日目13日のFost講演とパネルについては 「子ども…

親と医師の意見の対立(Riley Rogers 事件)

シアトル子ども病院生命倫理カンファのDiekema医師のプレゼンにて 親と医師の意見が対立した例として挙げられた3つの事件の1つ。 当のシアトル子ども病院で2006年6月に起こったケースです。 この事件についてDiekema医師の説明は 腎臓病の赤ちゃんに…

親と医師の意見の対立(Mueller事件)

Diekema医師がシアトル子ども病院生命倫理カンファでのプレゼンで挙げた 3つの事例の1、アイダホのMueller事件(2002年)について。 プレゼンにおけるDiekema医師の説明は、 赤ん坊の発熱とミルクの飲みが悪いことを訴えて母親がERに連れてきた。 診察…

「最善の利益」否定するDiekema医師 (後)

(前)で紹介したように Diekema医師は考察3で「最善の利益」基準を否定するのですが、 それに続く考察4において、 医療における意思決定では 「最善の利益」よりも「害境界」や「害原則」を用いる方がよいと提案します。 「いかに利益になるか」という点…

「最善の利益」否定するDiekema医師 (前)

今年7月のシアトル子ども病院生命倫理カンファレンス 最後のプログラム、Diekeme医師のプレゼンテーション 「子どもの医療を巡る争議において(立場や意見の)相違を理解すること」。 Diekema医師はまず、 当ブログでも紹介したAbraham Cherrixの抗がん剤拒…

Diekema医師のプレゼンについて

7月のシアトル子ども病院生命倫理カンファレンス2日目最後のプレゼンは、 Ashley論文の執筆者の1人であるDiekema医師。 演題は「子どもの医療を巡る争議において(立場や意見の)相違を理解すること」 Understanding Differences in Conflicts Surroundin…

兄弟間の臓器移植 Pentz講演

”アシュリー療法”論争には無関係な人なのですが、行きがかり上ちょっと興味があったので、ついでに生命倫理カンファレンス13日午後の分科会から、Rebecca D. Pentz のプレゼン「兄弟の健康への手段として子どもを利用すること」を。 PentzはEmory大学Winsh…

親からの生体移植 Ross講演

シアトル子ども病院の生命倫理カンファレンス第1日目午後の分科会から、Lainie Freidman Ross のプレゼンを。タイトルは、 子どもへの臓器提供者としての親 誰がリスクの許容範囲を決めるのか? そこで用いる基準は? Rossのプレゼンは、問題提起を行って会…

Fostのゴーマン全開 13日午前のパネル

パネルに登場するのは、この日午前中に講演したFost 、Paris、Wilfond、Magnusの4人。 会場からの質問とコメントに4人が応えるという形で進みます。 最初の質問は、 「医師の良心的な決断に反する命令を裁判所が出した例があるか」というもの。 即座にPari…

障害児の臓器移植 Magnus講演 2

Magnusは講演の中でルシール・パッカード子ども病院(LPCH)での事例を3つ紹介します。 ケース1 10歳。Alagille Syndrome。神経発達障害(NDD)は重度。四肢マヒ。肝機能障害のほかにも臓器に問題がある。母親は知識のある人で、子の命を延ばすためにもQOL…

障害児の臓器移植 Magnus講演 1

シアトル子ども病院トルーマン・カッツ生命倫理センター主催の生命倫理カンファレンス第1日目午前の最後の講演。 タイトルは、「発達に遅れのある子どもを臓器移植の候補者リストに載せるべきか?」 David Magnusはスタンフォード大学の小児科準教授、スタ…

裁判官は安月給だから無責任? Paris講演

7月のシアトル子ども病院の生命倫理カンファレンスについては、“アシュリー療法”論争に関連した人の発言のみ、ちょっと覗いてみようと思っていたのですが、気まぐれに聞いてみたら、裁判所に対する医療界の不信・敵意の根深さを思わせる内容だったので、1…

ゴンザレス事件の裏話

シアトル子ども病院での生命倫理カンファレンスでは、何人かが講演をした後で、まとめてパネルで会場からの質問に答えるという形式がとられています。最初のパネルを聴こうとしているのですが、聞き取り能力にも問題があって、ちょっと苦労しています。ただ…

生命倫理カンファレンス Wilfond講演

Fostの講演のあとでWilfondの講演を聴いてみると、2人の講演内容は、”アシュリー療法“を巡っての、あのScientific American.comのメール討論のそれぞれのスタンスを「無益な治療の停止」という問題に一般化したものとも言えそうです。(メール討論の詳細につ…

生命倫理カンファレンス(Fost講演 2)

Norman Fostの講演 Parental Request for “Futile” Treatmentの趣旨を簡単に。 まずこの問題の典型と思われるケースを紹介。 ①Baby K : 無脳症で生まれ、母親の望みで病院は2年間人工呼吸器に繋いだ。 ②エミリオ・ゴンザレス :テキサス。レイ病。1歳半の…

生命倫理カンファレンス(Fost 講演 1)

7月13,14日の2日間にわたって行われた シアトル子ども病院トルーマン・カッツ小児生命倫理センターでの生命倫理カンファレンス。 第1日目の最初の講演者は、このブログでも何度かに分けて取り上げてきたNorman Fost医師。 (詳しくは「擁護に登場した…

子ども病院の生命倫理カンファレンス 2007

7月13、14の両日、シアトル子ども病院トルーマン・カッツ小児生命倫理センターが小児生命倫理カンファレンス”Current Controversies: Navigating Conflicts When Parents and Providers Disagree About Medical Care”を開催したようです。 カンファレン…