Fost講演の不思議

1月19日のDiekema講演までにやっておきたかったことの1つに、
去年7月のシアトル子ども病院生命倫理カンファレンス
2日目14日のNorman Fost医師の講演を聴いておくことがあったので、

(カンファ第1日目13日のFost講演とパネルについては
 「子ども病院生命倫理カンファレンス」の書庫にあります。)

数日前に聞いてみようとして
初めて気がついたのですが、

とても不思議なことに
この2日間の他のプログラムは全てWebcastで見られるようになっている中で、

何故か、
ただ1つだけ、
2日目14日の午前9:30から45分間行われた
Fost講演だけはWebcastで見ることができません。

タイトルは
クリスチャン・サイエンスと子どもの医療」
(Christian Science and the Medical Care of Children)

クリスチャン・サイエンスについては何も知らないので、
ウィキぺディアの解説を読んでみましたが、
健康に関する問題を信仰と祈りで解釈しようというのがクリスチャン・サイエンス

例によって過激な発言をぶったということなのでしょうか。


    ―――      ―――

その後、
14日午前のスピーカーであるRoss, Fost, Parisが会場からまとめて質問を受ける
午前最後のパネル(30分間)を聞いてみたところ、

会場の「クリスチャン・サイエンティスト」2人から
立て続けにFostの講演に対する反論・批判が出ていました。

(こういうサイエンティストが同時に医師もやっているというのも、
 ものすごく不思議でよく理解できない……。
 特に2人目は祈りの持つ治癒力みたいなことを言っていたし。)

ただし反論と批判の口調や態度は丁寧で、あくまで質問形式。
いかにもFostの地位や権威をはばかっている様子ではあります。

どうやら、その後の会場からの指摘や質問も
Fostが講演の中で良く行われている(common)として提示した2つの事例について
一方的な議論でバランスを欠いているとか
例外的なもの、極端なケースではないか、
もっと日常的な診療場面のケースで議論するべきではないかといった
指摘に終始した様子。

やり取りの中でRossが
生命倫理の議論で「最善の利益」という言葉を使うと問題が混乱する、
「メディカルな最善の利益」と「ノン・メディカルな最善の利益」のバランスを
どう取るかというのが問題……
と応じたのですが、
その際に以下のようにジョークを装ってFostとの間に距離を置いたことが
とても印象的でした。

「それはとてもいい指摘ですよ。だって、
Normと私の意見が一致していますからね。(会場爆笑)
お断りしておきますが、
Fostと私の意見が一致するなんて、
まずないことなんですよ」

相当の問題発言があったのではないかと思われますが、
それにしても、Fost講演のみWebcastをはずすというのは
ちょっと尋常ではないような……。