“A療法”は地下にもぐって実施されているとDiekema

18日(日本時間19日未明)のDiekema講演に向けて
彼の出身地であるGrand Rapidsの地元紙が取材を行い、
“枕の天使”の医師、問題の医療を語る」という記事を打ちました。
この記事によると、このたびの講演に招いたCalvin大学は
Diekema医師の出身大学とのこと。

“Pillow Angel” doctor speaks on controversial care
The Grand Rapids PRESS January 14, 2008

この取材の中でDiekema医師は

障害者団体からの嫌がらせや悪意がすさまじいので、
“Ashley療法”は地下にもぐってしまったし、

シアトル子ども病院でもGunther医師が去年亡くなって以後は
彼がどんなに大変な目にあったかを見てきた同僚は
誰も後を継ごうとはしないが、

Ashley療法のメリットを理解できる医療倫理学者はいるはずだから、
その後同じような療法を行った病院が1つや2つはあると確信している、

と、とんでもないことを語り、
さらに

でも、そういう病院の医療について耳にすることはありませんよ。
 みんな、表に出すようなバカなことはしませんからね。
そのために、この療法を追跡・研究・検証するということは不可能になってしまい、
それが残念です。
目新しくて物議をかもすことに乗り出す際には、そういう研究が大事なのですけどね。

しかし、この記事にも書いてあるように、
ワシントン州とCalvin大学のあるミシガン州を含め
障害者の不妊手術には裁判所の同意が必要な州もあるのですから、
Diekema医師が言うように水面下で医師と親とでこっそり行っていたとしたら、
それは違法行為になる可能性があるのですが?

こんな大変なことを口にする以上、
その後”Ashley療法”が行われた事実を掴んでいるのか、
それとも、本当に憶測だけでこんなことを軽率に口にする人なのか。


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その他、この記事の中で目に付いた点は、

・“Ashley療法”への批判が一部の障害者団体からのみ出たように書かれていること。

・いまなお彼は倫理委員会の決定が正しかったと思うと語っていること。

【追記】この部分に続いて
「最終的にAshleyには我々が考えた通りに利益があった」と語っていますが、
具体的に現在のAshleyの状態については何も語られていません。

・2006年秋の論文を「このケースの成長抑制の部分について報告したもの」と微妙に表現を修正していること。

これは Archives of Pediatrics and Adolescence Medicineの誌上で
乳房芽の切除を隠蔽しているとの指摘を受けた著者らが、それに対して
「この論文は成長抑制についてのみ報告したもの」だと反論したことを受けた修正でしょう。
もちろん当ブログで指摘しているように、
論文が書かれたいきさつが特異なものであるという前提に立って読めば、
乳房芽切除も子宮摘出の本当の目的についても隠蔽の意図があったとしか思えませんが。
(詳細は「論文のマヤカシと不思議」の書庫に。)

・今後もDiekema医師は“Ashley療法”について執筆も講演も続けるとのこと。

・地元の医師らはこの問題について賛否を明らかにすることを避けている、と。
(ということは、少なくとも賛成ではないということでしょう。
 案外、医師らの間では”Ashley療法”の舞台裏もウワサくらいは流れているのかも。)