2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧
このエントリーは、 もともと2007年11月29日に書いたものでしたが、 当時は、自分がたちまち個人的な興味だけでやっていることが、 その後、より大きな問題意識へとつながっていくことも、まして 本を書いて提起したいほど大きな問題を孕んでいくことなど、 …
いわゆる“Ashley療法”を強く擁護した Wisconsin大学のNorman Fost医師について、 当初は彼がAshley論文の著者であるDiekema医師の恩師であることから、 「助っ人を頼まれたか、または自ら助っ人を買って出たのだろう」と簡単に考えていたのですが、 その後、…
“リベラルな生命倫理学者”どころか“過激派”と呼びたいNorman Fostの またぞろコワイ発言が、お膝元Milwaukeeの地方紙に。 Child health study stirs compensation question Journal Sentinel (JSOnline 11月25日) 子どもの肥満や喘息に影響する環境要…
思ったのですよ。 京都大学の山中教授チームが万能細胞を作った、 米Wisconsin大学のThomson教授チームもまもなく同様の成果を発表する、 と聞いたときに。 「あ、あのFostのいる大学だ」と。 でも、まさか直接Thomson教授とつながりがあったとまでは、 想像…
11月17日のNYTimesに 個人の遺伝子情報を提供するサービスが アメリカで始まりつつある(少なくとも3社)とのニュースがあり、 My Genome, Myself : Seeking Clues in DNA By Amy Harmon 自分のDNA情報をゲットするのに必要なのは 1000ドルと唾液サ…
以前のエントリーで紹介したEmilio Gonzales事件に関する文章の中で、 FRIDAは 生命を尊重する立場(pro-life)と障害女性問題運動家とは 表面的には同じ主張をしているように見えるが、 実際には全く異なった立場に立脚して問題を眺めているのだ、 というこ…
以前、以下のエントリー 遺伝子治療で死者 遺伝子治療で死者 続報 で、遺伝子治療の治験で死者が出たケースを取り上げましたが、 NIH(国立衛生研究所)の調査報告が来週12月3日に出るのに先駆けて、 FDAがこの研究の再開を許可したとのニュースが。 Gene…
”Ashley療法”について当初から抗議行動を続け、 アメリカ医師会とも交渉している FRIDA(Feminist Response In Disability Activism)が Ashley事件についてこれまでの動きをまとめた記事を 11月25日付でHPにアップしています。 Ashley X and the American…
米国医師会ジャーナル(JAMA. 2007; 298(18):2164-2170)に 医療プライバシー法は疫学研究の邪魔だ、とする論文が掲載されています。 著者は次期疫学学会会長のDr.Roberta B. Ness (Pittsburgh大学Graduate school of Public Health)。 疫学専門医へのアン…
あまり論理的な考えとはいえないのですが、 ずうっと前から漠然と考えているのは、 医学・医療の中には 「バブリーな医学・医療」と「スローな医学・医療」とがあるのではないか、と。 「治す医学」と「支える医学」と言い替えてもいいのかも知れず。 もちろ…
恥をさらすようですが、 なにしろ無知なので、 生命倫理学者というのは、 「急速に進歩・発展する科学の暴走に歯止めをかけ、 人の命や尊厳がおろそかにされないための仕組みを 検討・考案してくれる人たち」 のことなのだと、 つまり「命を守るための倫理学…
Hughesはその著書 “Citizen Cyborg”において、 近未来の民主的サイボーグ社会は、 生命のタイプ別に与えられる権利を規定するとしています。 彼の分類では生命のタイプは4つ。 まず、最も上のランク。 ①完全な市民権(自己決定、投票と契約を結ぶ権利)を与…
アフリカ人は遺伝的に知的レベルが低いとの人種差別発言を謝罪し、 ワトソン博士は責任を取って公職を辞しましたが、 人種と知能の相関関係について、 むしろ科学者以外の間で先走った関連付けが広がっていることを懸念する論評が 11月11日のNew York Ti…
国際的な非難にも拘らず日本が大規模な捕鯨操業に乗り出したというニュースが 以下のように、ここ最近あちこちで目につくのですが、 http://news.yahoo.com/s/ap/japan_hunting_humpbacks http://canberra.yourguide.com.au/news/local/general/howard-steps…
前のエントリーでJames Hughesの著書(の目次)について書いた際に、 ごく一部を読んでいて、とても不可思議な文法に気づいたのですが、 意識してか無意識にか、Hughesがチンパンジーを受ける人称代名詞は she なのです。 別に特定のチンパンジーが話題にな…
今年の前半のいつだったかにNaamの「超人類へ!」を読んだ後で、 Ashley事件で大活躍をしたJames Hughesの”Citizen Cyborg”という本を買い、 何度も読もう、読もうと努力はしているのですが、 Introductionの先へと、これが、どうにも進めない。 Hughesは2…
ADHD児へのリタリン使用について、英国で疑問が投げかけられています。 現在日本で起こっているリタリン問題の背景には、 複雑な事情があるように思われ、 詳しいことを知らない私には安易なコメントはできないので、 そうした調査結果を取り上げたBB…
アメリカ政府は本気でトランスヒューマニストと同じ方向を向いているのだなぁ、 と、思わせられる資料を以下に。 CONVERGING TECHNOLOGIES FOR IMPROVING HUMAN PERFORMANCE June 2002 National Science Foundation Department of Commerce 全米科学基金と米…
おそらく、 Internet ExploreやOutlookの開発者の頭が悪いはずはないのでしょうが、 Ramez Naamの著書を読むと、正直、 この人の知的能力は特定の分野だけに限定されたものなのかなぁ…… と、ちょっと首を傾げたくなってくるのも事実。 でも、だからといって…
以前のエントリーでRamez Naamの描く、 「みんなで頭が良くなって長生きすしようねっ」的ユートピア近未来像を紹介しましたが、 世界トランスヒューマニスト協会のサイトの感触では、 Naamは彼らのサークル内で、小粒だけど“若手ホープ”という感じの人。 そ…
サルのクローン胚からES細胞ができた、とのニュースを受け、 トランスヒューマニズム系のブログpracticalethicsに以下の2本のエントリーが。 まず11月14日にはDominic Wilkinsonによる Clone human embryos not monkey embryos サルのクローン胚では…
トランスヒューマニストたちの言うことの中から、 彼らの人間観というものに目を向けると、 あまりにも索漠とした感じがするのですが、 そのパサパサ・冷え冷えした感じの中から立ち上がってくる感想が2つあって、 まず、その1つは、 彼らの人間観の中には…
トランスヒューマニストたちが思い描く理想の未来像が、 どれほど他愛ないかという話を。 Internet Explorer とOutlookの開発者の一人で Ashleyの父親ともマイクロソフトつながりのある Ramez Naamというトランスヒューマニストの著書から。 実際に老化を遅…
サルのクローン胚からES細胞、米チームが霊長類で初成功(読売新聞) という、タイトル通りのニュースが15日に。 Washington Postには、この件を巡って以下の2本。 Monkey Embryos Cloned for Stem Cells Monkey Clones Unlikely to Bring New Care (…
とうとう日本でも病院による患者遺棄が起こってしまいました。 アメリカの患者遺棄(patient dumping)については、 ちょっとだけメディアの報道をチェックしたことがあるのですが、 認知症のあるホームレスの患者をオムツに病院着のまま、荒廃地域に“捨てる…
障害者は社会の負担になるから、 重症障害児を産む確率が高い人は自粛するのが 社会の成員たるものの「神聖な義務」だと主張した、 渡部昇一氏の「神聖な義務」に関する北村論文を読みながら思い出したこと。 シアトル子ども病院生命倫理カンファレンスで、 …
昨日 「そろそろご老体」などと無礼なことを書いた渡部昇一先生について、 ご指摘下さる方があったので、amazonを覗いてみたら、 今年だけでも3冊もの本を上梓しておられ、現役でばりばり活躍しておられました。 1980年に先生が「神聖な義務」を書かれ…
日本でも1980年に渡部昇一氏がエッセイ「神聖な義務」の中で、 障害者・病者が生まれるのは社会の負担だから、 「劣悪遺伝子」を受け継いだ人は子どもを産むべきではない、 と主張し、論争になっていました。 同エッセイで具体的に例として挙げられた病…
Katie Thorpeのケースを受けて、 イギリスの障害のある芸術家グループが 「私と私の子宮(Me and My Womb)」というドキュメンタリー映画を準備中。 なるべく多様な障害像や年齢の女性を取り上げて、 Katieのケースが提示する問題をいろんな角度から検討し、 …
以前のエントリーで紹介した、 選択しないことを選択してダウン症の子どもを産んだ夫婦のドキュメンタリー“Choosing Naia”に、 アメリカではお腹の子どもがダウン症だと知った夫婦の9割が妊娠中絶を選んでいる と書かれていたように記憶しているのですが、 …