ワトソン発言は実は広く共有されている?

アフリカ人は遺伝的に知的レベルが低いとの人種差別発言を謝罪し、
ワトソン博士は責任を取って公職を辞しましたが、

人種と知能の相関関係について、
むしろ科学者以外の間で先走った関連付けが広がっていることを懸念する論評が
11月11日のNew York Timesにありました。


世論の批判を浴びて研究資金を失いたくない科学者たちは、
むしろ、この問題に慎重な姿勢を保っている一方で、

肌の色の違い以外にも、特定の薬への感受性や遺伝病の有無の違いなど、
人種による差異を生じているDNA断片が少しずつ見つかったり、
今後見つかっていくと思われる昨今、

社会的に望ましい資質と望ましくない資質の遺伝子配列が解明された場合には……
といった前提そのものが曖昧な議論が科学者以外のブログなどで、まことしやかに行われつつあり、

例えばGene Expressionというブログにワトソン擁護の記事を書いた28歳のアーティストは、

遺伝情報の示すところによると、
黒人の子ども一人に達成度のギャップを埋めさせるためには
我々は2倍の時間を使わなければならない

と書き、

人間それぞれの固有の才能と限界に応じた教育と職業を考えるべきだ、と。

また、

the Half Sigmaというブログの著者である、40歳のソフトウエア開発者は、

人種間に遺伝子の違いが存在する以上、全ての人種は平等だというセオリーは
間違っていることが証明された

と主張。

それに対して、読者から以下のようなコメントも。

ここに書かれているのが事実だと信じるとして、私にどうしろと?

黒人は我々ほど頭が良くないから差別しましょうと呼びかけるのですか?

もっと頭のいい白人が雇えるのだからと自分の会社に黒人を雇わないことにでも?

ある集団が自分たちの集団よりも遺伝的に劣っていると
証明しようとするのは、やめてください。


NYTimesは、

IQと特定のDNA断片との関連が確認されたわけでもなく、
彼らがあげつらっている遺伝子情報以外に
高いIQに繋がる断片がアフリカ人に見つかってもいるというのに、
知能には、それ以外の何百、何千の断片が関わっているというのに、
そして、
それら全てが集まってもなお、
環境要因の方がはるかに大きな影響を及ぼすにも拘らず……

と。



あっちでもこっちでも、
強い者たちが新興テクノロジーを体のいい合理化に使って

力づくで弱い者をねじ伏せようと屁理屈をこね始めている……。

そういう気がしてならない。