2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

英国の看護師8割が自殺幇助合法化に反対

Nurses.co.uk という看護師向け求人情報サイトで行われた最近の調査で 英国の看護師で自殺幇助の合法化に賛成する人は2割に留まり、 他の8割は現在の法律のまま、自殺幇助は違法とするのがよいと答えた、と。 ただし対象者の内訳や設問の仕方など、 調査の…

Singerが障害当事者の活動家に追悼エッセイ

クリスマス・イブにNY Timesに。 タイトルは「にもかかわらず幸福」。 重度身体障害のある弁護士で何冊かの著書もある障害者運動の活動家、 今年6月に亡くなったHarriet McBryde Johnsonさんとの交流について書いたもの。 2001年にCharleston大学でSing…

なぜ「自立支援法」の議論に「市民権」が出てきたのだろう?

21日の朝日新聞で読んだ時にも、ちょっと気にはなったのだけど、 このところPeter Singerの 知的障害者には尊厳も人権を認める必要はないと聞こえるプレゼンを巡って、 「権利」ということについて考えさせられていて、 昨日のエントリーを書く際には ”知…

「障害児については親に決定権を」とSinger講演(YouTube 4:34)

前に触れた、9月の認知障害カンファでのSinger講演。 YouTube のビデオはこちら。 この部分の内容をざっと以下に。 親には子どもの扱いに関する発言権がある。 例えば、子どもにダウン症など手術が必要な障害があると分かった時に、 それでもその子が欲しい…

病院に「無益な治療」を拒否する権利、少なくとも3州で(米)

有料の本文が読めないのはもちろんアブストラクトすら出ていないので、 論文の詳細は全くわからないのですが、 この論文を拾ってきたアラートが2行ほど 読ませてくれた部分によると、 米国で現在、 家族の意思に反しても病院に「無益な治療」を拒むことを認…

「虐待から救わなかった」と300人が行政を訴える準備

「こんな判決を下して、他の人にも同じような訴訟を起こせと お墨付きを与えたことになりますよ」と 自治体側の弁護士が裁判官に毒づいた……という英国高等法院の判決は 去年のちょうど今頃のニュースで見ていました。 赤ん坊の頃から14歳まで両親の手ひど…

“師長の王国”

うちの娘は重い障害のために幼児期には、それはもう言語道断なほどの虚弱児で、 3日と続けて万全な体調が続くということがない子でした。 昼間の病院通いはもちろん、 夜中の救急に駆け込んでそのまま入院になったことも数知れず。 成人してやっと元気にな…

有吉先生の卵焼き

このところ、Ashleyがらみで胃ろうが頭から離れない。 胃ろうと重症児や高齢者のケアのことを考えていたら、 大好きな有吉病院のこと、大好きな有吉先生のことを書きたくなった。 ……といっても私は有吉病院に行ったことはない。 何度か仕事で有吉病院の有吉…

What Sorts のSinger 批判第2弾

今ちょっと余裕がないのと、 なんだかアカデミックな哲学議論なので たぶん余裕があってもついていけない気もして、 内容をまとめて紹介することが今のところできませんが、 英語で読むだけの興味のある向きもあるかもしれないし、 後々のための自分自身のメ…

ヘンだよ、Ashleyの胃ろう

ここ数日、ある人とAshleyの咀嚼・嚥下機能についてメールをやり取りしています。 コトの起こりは例の認知障害カンファでSingerが 「Ashleyには飲み込みすらできない」と発言したこと。 私はあまり意識にとめなかったのですが、父親のブログによると、 「Ash…

Navarro事件の移植医に無罪:いよいよ「死亡提供ルール」撤廃へ?

2006年2月に米国カリフォルニア州で起きた事件。 心身に障害のある25歳の男性 Ruben Navarro氏が 暮らしていたナーシングホームから病院に送られ呼吸器をつける事態となったのですが 脳死と判定されたわけでもないのに医師が母親から臓器提供への同意を…

ノーベル賞選考過程にHPVワクチン特許持つアストラゼネカ関与の疑惑

今年のノーベル医学賞受賞者の1人は 子宮がんの原因となるヒトパピローマ・ウイルス(HPV)を発見したDr. Harald zur Hausenですが、 HPVワクチンを製造販売している製薬会社 Astra Zenecaが この選考過程に不当に関与した疑いが出て、 スウェーデン検察局…

知的障害者における「尊厳」と「最善の利益」の違い議論

17日のエントリー認知障害カンファめぐり論評シリーズがスタート:初回はSinger批判で紹介した What Sorts of People のSinger発言に関する記事に いくつか長文のコメントが寄せられて、興味深い議論が行われています。 細部の理解がいまひとつで完全に理解…

米国初顔面移植「これまでで一番広範囲」と胸を張る

Cleveland Clinicが発表したところによると、 顔を損傷した女性の顔に死亡したドナーから顔面の80%を移植したとのこと。 顔面移植ではこれまでフランスで2例と中国で1例が実施されており、 米国では初。 そうなると、当たり前のことながら 「ウチは80…

シアトル子ども病院が「成長抑制」について1月にまたもシンポ

まったく、もう呆れ果ててモノも言えない気分なのだけれど、 1月にシアトル子ども病院がまたもや「成長抑制」に関するシンポを行うのだとか。 タイトルと病院の当該サイトへのリンク。 Evaluating Growth Attenuation in Children with Profound Disabilitie…

認知障害カンファレンス巡り論評シリーズがスタート:初回はSinger批判

9月にニューヨークで認知障害関連の大きなカンファレンスが開かれました。 テーマは「認知障害:道徳哲学へのチャレンジ」 Cognitive Disability: A Challenge to Moral Philosophy Ashley論文を掲載したジャーナルで Gunther & Diekema論文に批判的な論説を…

魚の煮付け定食

昔からの友人と海の見えるドライブインへ食事に行った。 「魚の煮付け定食」を頼んで、しゃべっていたら、 家族連れがやってきて友人の背後の席につくのが見えた。 向こう側の窓際にこちらを向いて娘、その隣に母親が腰掛けて 父親は手前の席に母親と向かい…

スイスの“自殺ツーリズム”批判

10日に英国TVがスイスDignitasクリニックでの米国人の自殺場面を放送したことを受けて、 スイス国内の医学雑誌 the Revue Medical Suisse の編集長Dr. KieferがDignitasを批判。 Dignitasの繁盛でスイスは“自殺ツーリズム”の中心になっている。 その活動は医…

不満分子を地方警察が精神病院に収容して“治療”(中国)

The Baijing News が報じたものをNYTimesが取り上げているのですが、 中国で地方自治体の頭越しに中央政府に陳情を行うような不満分子や その他、行政にとってトラブルメーカーとなるような住民が 地方警察によって精神病院に入れられ、 ベッドに拘束されて…

ゲイツ財団の資金で開発期待されるマラリア・ワクチン

昨日のエントリーで 子どものワクチン接種率を上げるための 開発途上国へのインセンティブ支払いにおける不正に関する調査結果について紹介し、 当ブログが兼ねて注目してきたワシントン大学のIHMEは ゲイツ財団の保健医療関連資金の取り締まり機関なのかと …

バチカンが21年ぶりの生命倫理ガイドライン

ガイドラインのタイトルは「人の尊厳」 The Dignity of the Person 。 32ページ。 体外受精も 人間のクローニングも 胎児の着床前遺伝子検査も 胚性幹細胞研究も 胚の凍結も 反対。 子どもを妊娠するのは結婚した夫婦の性行為によってのみ行われるべき、と。…

「貧困国はワクチン接種した子どもの数を水増ししている」とIHME論文

Washington大学がGates財団からの多額の資金提供を受けて作った研究機関IHMEが Lancet誌に発表した論文によると、 発展途上国がこれまでGAVI(ワクチン予防接種世界同盟)に申告してきた 接種済みの子どもたちの数は大幅に水増しされたものであり、 実際はこ…

英TVにDignitasでの自殺映像、Brown 首相「合法化は支持しない」

10日に息子をDignitasで自殺させた両親、不問にのエントリーで 当日、英国のTVが2006年にDignitasで自殺した人の映像を放送することを紹介しましたが、 その放送に先立って、Brown 首相は自殺幇助の合法化は支持しないと表明。 「病気の人や障害のある人…

「私だけが鬼みたいな母なのだとばかり……」

20年前の母子入園でのこと。 何の用でどこへ行こうとしていたのかは覚えていないのだけど その日、私は同じ入園仲間のお母さんと2人で母子棟を出て 本館のエレベーターに乗っていた。 母子棟を出てしばらくしてから、 ここにたどり着くまでの日々がいかに…

「介護者の権利章典」訳を改定しました

2年半くらい前から「介護保険情報」(社会保険研究所)という雑誌に 「世界の介護と医療の情報を読む」というタイトル通りの内容の 小さな連載を書かせてもらっています。 私がAshley事件と出会ったのも、 その出会いをきっかけにブログを始めたり生命倫理…

生活保護に5年の上限を設定しようという話があるとか

以下、長野英子さんから某MLに流れた情報を転載。 そんな話が進んでいるなんて全然知らなかった……。 ------ 生活保護問題対策全国会議・東京集会 えっ!? 日本でも生活保護が5年で打ち切りに? ~アメリカ・「福祉改革」の悲劇に学べ!~ 生活保護は、…

児童虐待で現場スタッフからの告発ホットライン設立へ(英)

Baby P事件の余波がなかなか収まらない英国で 学校と自治体を監督する監査官(教育水準監査院との訳も)Ofstedが 事件の起きた自治体Haringeyを高く評価する報告書を出していたことへの批判を受け、 来年から、児童虐待に対する地方行政の対応の不備について…

「歴史や地理よりITと金銭管理を教えよう」と英国教育改革構想

教育改革に向けて コンサルテーション(日本のパブリックコメントに当たる)を続けている英国政府は 中間報告で21世紀に向けた新たなカリキュラムの骨格を発表。 小学校の学習領域を以下の6つに分けるというもの。 英語、コミュニケーションと言語の理解 数…

息子をDignitasで自殺させた両親、不問に(英)

10月にDignitasの自殺幇助で英国警察が捜査へのエントリーで紹介した話題の続報です。 ラグビーの練習中の事故で胸から下がマヒした23歳の息子Daniel Jamesをスイスに連れて行き、 今年9月にDignitasクリニックの幇助によって自殺させた両親について 英国の…

「ベーシック・インカム」をちょろっとだけ舐めてみた

最近、なにやら目にすることが多いので 「ベーシック・インカム」って一体なんなんだろうと気になって、 とりあえず、この本を読んでみました。 「ベーシック・インカム – 基本所得のある社会へ」 ゲッツ・W・ヴェルナー著 渡辺一男訳 これを読んだだけで、…