子の権利・親の権利

気付き

去年のちょうど今ごろ、 ミュウは久しぶりに「今度こそダメかと思ったぁぁ」エピソードを更新した。 ディズニー・オン・アイスに行くことにしていたのだけれど、 酸素マスクにサチュレーション・モニター装着ではどうにもならない。 園に入所している方の中…

親が知的障害のある子どもに強制国際結婚 介護のため金のため兄弟のため

英国で、知的障害のある子どもが国際結婚をさせられるケースが相次いで Mencapその他のチャリティが問題にしている。 例えば33歳の息子にパキスタン人の妻を見つけたという50代の母親は 「私も歳をとってきたし、 24時間介護が必要な息子のケアはたいへんに…

ツイッターをやめました

「施設解体」がしきりに言われている頃だったと記憶している。 ある男性と話をしている時に、 「施設解体のみが善だ」といった話の流れに違和感を覚えたので、 「でも、個々の親にとっては、自分たち親子が暮らしている地域に 現に今すぐ自分たち親子が利用…

「施設」と「敵対する存在としての親」を巡る惑乱ツイート 2

後段は昨日2月28日。 たまたま私がフォローしている方からリツイートされてきた、 知的障害者の地域生活の支援をしておられる方のツイートに 以下のような一節があり、これが頭に噛みついてしまった。 施設入所を希望している保護者から彼の地域生活を守…

「施設」と「敵対する存在としての親」を巡る惑乱ツイート 1

ここしばらく、 たまたま身近で交わした会話やその他あれこれから、 ミュウを施設へ入れてしまった親としての自責を巡って ツイッターで過剰反応をしているので、 あまり感心した内容でもないのだけど、 今後もうちょっと冷静になって生産的に考えられる日の…

ACからEva Kittayそして「障害児の介護者でもある親」における問題の連環

信田さよ子著「愛しすぎる家族が壊れるとき」を読み、 A事件が提起する親子の関係性や介護の問題を改めて考えた。 まず、アダルトチルドレン(AC)という概念については 私は上記のような問題を考える際にとても有益だと感じつつも、 日本ではあまりにネガテ…

日本の成年後見人制度は国連障害者人権条約に抵触

ずっと、ちゃんと知りたいと思いつつ、 そのままになっていたことが 「発達障害白書 2011年版」(日本発達障害福祉連盟編)の 法政大学の佐藤彰一氏の「『障害者権利条約』と日本の成年後見制度」という文章で 分かりやすく解説されていた。 日本の成年…

宿題やらず試験も受けず「うっせーばばあ」と言える子どもの幸せを考えてみた

前のエントリー「幼児化する親、幼児化していく社会」の続きとして――。 近所のマンションの2階が塾になっていて、 その辺りを通りかかると、時に小学生くらいの子どもたちが マンションの出入り口からわらわらと吐き出されてきて 居並んだ車列の中から親の車…

幼児化する親、幼児化していく社会

NYTの記事 「学生さん、ようこそ大学へ。でも親御さんはとっととお帰りを」 今の時期、米国の大学は新入生を迎える。 昔の親は、寮に子どもと荷物を降ろしたら、さっさと引き上げたものだったのに、 今では、子どもを送ってきた親たちが、いつまでも居座って…

山本有三の堕胎罪批判から考えたこと

前のエントリーの最後にリンクした森岡正博氏の文章から連想したので。 「家族計画」への道 近代日本の生殖を巡る政治 荻野美穂 岩波書店 2008 を読んでいたら、 映画監督との短い関係で妊娠した子どもを中絶し、 1935年に産婆と一緒に堕胎罪に問われた女優…

知的障害のある女性(少女?)を妊娠させたのは実の父……とDNA(豪)

48歳のキャンベラ在住の男性が 知的障害のある実の娘を妊娠させたとして 近親相姦の罪で起訴された。 娘の生理が2カ月飛んだことから母親が不審に思って 妊娠検査キットで調べ、産婦人科へ連れて行くと妊娠17週だった。 人口中絶が行われ 親族から採取したDN…

救済者兄弟について:これまでのエントリーのまとめ

欧米のいくつかの国では、体外受精と遺伝子診断技術を使って 病気の子どものドナーとなる弟や妹を作ることが既に合法化されており、 このように兄や姉のドナーとして作られるデザイナー・ベビーは 英語では savior sibling 「救済者兄弟」と呼ばれています。…

親の立場から、障害学や障害者運動の人たちにお願いしてみたいこと

Ashley事件を知った時から、事件や周辺の諸々を追いかけながら考え続けているのだけど 複雑だったり微妙だったりして、なかなか言葉にならなくて、 これまで思い切って書く勇気が持てずにきたことがあります。 今でもまだ、誤解を受けずに伝わるように書ける…

「やらせるの大変だからウチの子だけは宿題なしに」と訴訟で勝利した弁護士

カナダのSherril&Tom Milley夫妻は(なぜかこの記事は妻が先になっています) 第1子の時に夜毎の宿題バトルに疲れ果てたものだから、 第2子と第3子では、こんな思いはもう沢山だと考え、 夫婦共に弁護士である利点を生かして 「ウチの子たちだけは宿題を…

祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた夫婦に、年30日ずつ6回分割の懲役刑

これまでに以下の2つのエントリーで取り上げてきた事件で 両親である Neumann夫妻は8月に第2級の過失致死罪で起訴されていましたが、 今後6年間に毎年30日ずつの収監と10年間の保護観察が言い渡されたようです。 祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた夫…

意思決定ができにくい患者の医療決定について、もうちょっと

昨日のエントリーで、 自分で意思表示・決定できにくい患者の医療における決定がどうなっているのか、 疑問と懸念をあれこれ書いた。 夕方、ちょうど届いたばかりの「介護保険情報」9月号をめくっていたら、 「認知症なんでもサイト」の運営者で 認知症の人…

「一身専属事項の臓器提供に成年後見人は権限なし」から疑問あれこれ

昨日、重症障害ある娘に健康保険証兼ドナーカードって……?のエントリーで 成年後見人には権限がないらしいという話を曖昧な伝聞として書いたのですが、 この点について確認しました。 やはり、 臓器提供は一身専属事項に当たるので 成年後見人には権限があり…

Picoult作品のモデル、NH州のロングフル・バース訴訟

前のエントリーで取り上げた Jodi Picoultの作中新聞記事で言及されていた 2006年のNew Hampshire州でのロングフル・バース訴訟最高裁判決について、 以下の記事を見つけたので、読んでみました。 Picoult作品のモデル(少なくともそのひとつ)と思われます…

ロングフル・バース訴訟がテーマ、Picoultの近刊を読む

2月にこちらのエントリーで紹介した ロングフル・バース訴訟をテーマにしたJodi Picoultの新刊 Handle with Careを読みました。 (このリンクもPBですが、さらに安くなったPBが9月に出るみたいです。ちょっと悔しい……) 2月に引用した作家自身のサイトの梗…

13歳の息子の抗がん剤治療を拒否し母親が息子を連れて逃亡

Daniel Hauser君はミネソタ州在住の13歳。 ホジキンリンパ腫という癌を患っている。 一度、抗がん剤治療を受けて癌が縮小したと思っていたが、 また大きくなっていることが判明。 医師は抗がん剤と放射線で治療できると説いたが、本人はもうイヤだと拒否。…

祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた母親の裁判始まる:Fostがコメント

1月の事件祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた夫婦、裁判への続報。 11歳の娘 Kara Neumannの糖尿病が悪化しているにもかかわらず祈りによって治そうと 医師に診せずに死なせてしまった母親の裁判の準備が14日に始まった。 事件が起きたのはWisconsin州。 Fait…

アベコベ

まだ未整理で、あまり論理的に語れないし、 国ごとの違いを区別していないといわれればその通りなのだけれど、 Ashley事件からの2年余り、 ネットで英米の障害児・者をめぐる医療関連ニュースをかじってきて、 最近とても強く感じている違和感があって、 な…

日本語の「無理心中」を英語にするとmurder-suicide

カナダに Alex Schadenberg という人が代表を務めている Euthanasia Prevention Coalition (安楽死防止連盟)という組織があるのを最近知って、 そのブログを時々のぞいてみたりしているのですが、 そこの記事で ずっと頭に引っかかっていながら調べようと…

「生殖の慈悲」と「親の決定権」THニストバージョン

Anne Cowin という女性トランスヒューマニストが2006年に自分のブログで Peter Singerやトランスヒューマニストらの優生思想を批判する文章を書いています。 その要旨の前半はざっと以下のような感じ。 トランスヒューマニストの哲学の中には あらゆる可能性…

祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた夫婦、裁判へ

Wisconsin州で去年3月に起きた事件。 若年性糖尿病のKara Neumanさん(11)が 歩くこともしゃべることも出来ないほど弱っていたにもかかわらず 病気を治すことができるのは信仰の力だけだと信じる両親は病院へ連れて行くことをせず、 見かねた叔母からがシェ…

「虐待から救わなかった」と300人が行政を訴える準備

「こんな判決を下して、他の人にも同じような訴訟を起こせと お墨付きを与えたことになりますよ」と 自治体側の弁護士が裁判官に毒づいた……という英国高等法院の判決は 去年のちょうど今頃のニュースで見ていました。 赤ん坊の頃から14歳まで両親の手ひど…

米国の親によるワクチン拒否、裁判所介入へ

去年の事件ですが、 Maryland州 Prince George 郡では子どもにワクチンを受けさせない親が増えて とうとう2300人もが登校禁止処分となり、 中高生を中心に1月以上も登校していない子どもまで。 そこで裁判所が2300人の子どもの親を法廷に呼び出して 既に接種…

ワクチン博士の「自閉症の父親であるということ」

前のエントリーで紹介した自閉症関連重要事項年表は 実はこちらの長い記事のオマケとしてくっついていたものでした。 Fathering Autism A Scientist Wrestles With the Realities of His Daughter’s Illness The Washington Post, July 1, 2008 タイトルは「…

Va州の中絶法、控訴連邦裁判所が覆す

英国議会で妊娠中絶のタイムリミットは下げないとの判断が行われたのと同じ日、 米国でもヴァージニア州の中絶法を巡る控訴連邦裁判所の判断が出ています。 去年の春からの法律上の論争のようなのですが、 アメリカの中絶を巡る法律については背景知識がない…

「親は自閉症の隠れた犠牲者」

表題の通りのタイトルを見た瞬間から心が波立って、取り上げたいと思いながら、 しっかり考える時間が欲しい気がして棚上げしていたSeattle Post-Intelligencerの記事。 まだ「しっかり考え」られてなどいないのですが、 前のエントリーで取り上げた日本の空…