2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2009年6月30日の補遺

(補遺に上げる記事は、タイトルとかリード部分を読んだだけというものが大半になります) 今度は抗不安薬 benzodiazepines(Xanax, Ativan, Valium, Klonopin)に、長期服用に伴う依存性と副作用の問題が浮上。2004年からの4年間で処方数が1000万件も増加し…

スイスで精神障害者の自殺幇助に「計画的殺人」との判断

C&Cの前身であるHemlock Societyの創設者 Derek Humphryのブログで 最近のスイスの報道から。 2001年の47歳男性の自殺幇助事件で最高裁が 74歳の医師 Peter Baumannを計画的殺人の罪で4年間の懲役刑に。 自殺希望の男性には精神疾患があったにも関わらず、 B…

大統領生命倫理評議会の「人間の尊厳と生命倫理」と「おくりびと」

去年3月に米国大統領生命倫理評議会がまとめた論考集「人間の尊厳と生命倫理」。 Human Dignity and Bioethics: Essays Commissioned by the President’s Council on Bioethics The President’s Council on Bioethics Washington, D.C. March 2008 とりあえ…

「尊厳は定義なしに使っても無益な概念」を、ぐるぐる考えてみる

Diekema & Fost成長抑制論文が 障害学や障害当事者らからの「尊厳を侵す」との批判を 「尊厳は定義なしに使っても無益な概念」だと一蹴していることが ずっと気持ちに引っかかっていて、ぐるぐる考えている。 ここ数日いろんな人から教えてもらったり助けて…

2009年6月28日の補遺

マイケル・ジャクソンの死因調査が、心臓発作当時マイケル・ジャクソンと一緒にいた医師に及んでいる。この科学とテクノ万歳文化の中で、金のある人がその金で個人的に医師を雇うと、どういうことが可能になるのか……? http://www.washingtonpost.com/wp-dyn…

Dignitas あちこち断られた末に、お引越し

8年間使ったアパートの一室の貸借契約が2007年の夏に切れて以来、 Dignitasは、周辺住民からの抵抗で、きちんと居場所を定めることができず、 転々としていたらしいのだけど、 やっとWitzbergという町に落ち着くことになったとか。 Witzbergの当局は渋い顔な…

「自殺幇助の選択肢があることが一種の緩和ケア」とC&C

米国WA州のBellinghamという地域で24日、 尊厳死法について議論するランチョン討議が開かれ、 オプト・アウトしている病院の幹部、 Whatcom郡医師会の会長 それからC&Cの理事が シンポを行った模様。 その中でC&Cの Arline Hickley氏が 「非常に難しい問題で…

森岡正博氏の「臓器移植法A案可決 先進国に見る荒涼」

昨日、参議院で臓器移植法改正審議が始まったというニュースの中で A案提出者の方が「各国と同じように移植ができるように」といわれるのを聞いて 前と同じように「じゃぁ、米国の医療で起こっている恐ろしい諸々を まず、きちんと報告したらどうなんですか…

2009年6月26日の補遺

映画 My Sister’s Keeper の NY Times レビュー。 an honest manipulation ……そういう表現をするのかぁ……。 http://movies.nytimes.com/2009/06/26/movies/26sister.html?th&emc=th ES細胞研究に卵子を提供してくれる女性に、NY州が金銭的な報酬を支払うこと…

見過ごしていたAshley論文の補遺

私の情報収集はインターネット上のメディア情報が中心になっているため、 何かの弾みに引っかかってこなければ、なかなか学術論文は目に付かないのですが、 どうやら、いろいろ書かれていたようです。 よかった、ちょっと安心した。 ブクマしておくだけでは…

「納棺夫日記」と吉村昭の最期

遅ればせながら「納棺夫日記」(文春文庫 増補改訂)を読んだ。 今考えているあれこれとの関連で、あちこち興味深かった。 「みぞれ」に当たる言葉が英語にはないという話で、 ……要するに英語圏では、みぞれのような雨でもなければ雪でもないといったあいまい…

MSの教育学者がヘリウム自殺、協力者を逮捕(英)

Cari Loderさん(48)はロンドン大学教育学部の元講師。 かつて数種類の薬を併用するとMSの治療になることを偶然に発見し、 自ら進んでその治験に参加した“パイオニア”。 そのLoderさんが6月8日にSurreyの自宅で ヘリウム自殺。 予めFinal Exitの指南書を…

2009年6月25日の補遺

Jodi Picoult原作の映画 My Sister’s Keeper でUSA Today のMovies の記事。キャメロン・ディアスが母親役を演じることに、本人はどうなのよ、という話が中心ではあるのだけれど、それにしても「癌の姉のために妹に臓器提供を強要する母親の役」以上に物語の…

Obama大統領の医療改革が目指すものはIHMEと同じ?

自分の国の医療制度だって詳細となるとさっぱり分からないのだから さらに複雑怪奇と見える米国の医療制度のことが、 私などに分かるはずもないのだけど、 Obama大統領が医療制度改革は公約に上げていたし、 就任演説の時に「科学の力を借りて医療改革を行う…

Obama大統領、在宅生活支援でスタンスを微調整?

現在、米国の障害者向け公的保健制度メディケイドでは 基本的には在宅ケアが認められず、 重度の人はナーシングホーム入所しか選択肢がない。 そこで記事冒頭に紹介されているMSの女性のように 19年間会計士として働きながらアパート暮らしをしてきたような…

2009年6月24日の補遺

肥満の女性がバリアトリック減量手術を受けると、がん予防効果がある。男性には効果なし。……だからって、奨励するんすか、手術? http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8113148.stm 義肢(腕)だから商品イメージに合わないと倉庫勤務にまわされた、と女性が勤…

「死の幇助」とは本来ホスピスケアのことだった?

前のエントリーをアップした直後に見つけた記事が 同じくDignitasでの幇助自殺者の病気リストの記事に関して、 「自殺幇助」が「死の幇助」に言い換えられていることに注意、と指摘していたので。 Daily Telegraph紙の宗教欄の編集長 George Pitcherという人…

「自殺幇助」なんと今度は「幇助死」に化けたぞ

月曜日にこれまでにDignitasで自殺した英国人114人の病名リストで紹介した Guardianの記事を読んだ時に、 英国の尊厳死アドボケイト Dignity in DyingのSarah Wootton氏からの 「自殺幇助」は認められないが「死の幇助(assisted dying)」は規制して認める…

NC州に優生手術の歴史を認める記念碑

NC州では、 エセ科学と州当局が主導したプログラムによって 優生委員会の了承の元に、20世紀中に7600人以上が不妊手術を強制された。 プログラムは1929年から1970年まで続き、 NC以外にも31の州で優生法が成立した。 多くの州が40年代にはだんだんと行わなく…

2009年6月22日の補遺

米国ではプライマリー・ケアのドクターが不足しているらしくて、それが医療改革の足を引っ張っている、と。専門医になって富裕層を相手におショーバイするのが一番ラクでいい生活できるから? 何年も前に高齢者医療の専門医がいないから、総合病院で高齢者に…

これまでにDignitasで自殺した英国人114人の病名リスト

2002年の最初の1例めからこれまでにDignitasで幇助を受けて自殺した英国人 115人のうち直近の1人を除く114人分の病気の情報を Guardianが入手。 病気や障害は22種類で、 114人の英国人のうち36人は様々な形態の癌。 27人が運動神経の病気。 17人がMS。 しか…

ピコー「私の中のあなた」、キャメロン・ディアス主演で映画化

兄弟への臓器提供のために人工授精によって生まれてくる子ども いわゆる「救済者兄弟」をテーマにしたジョディ・ピコーの小説 My Sister’s Keeper(邦訳タイトル「私の中のあなた」)が キャメロン・ディアス主演で映画化され、 この金曜日に米国で封切りとの…

「大切な人が脳卒中を起こしたら介護者として心得ておきたい15の知恵」(米)

先月、米国心臓協会脳卒中部門の介護者支援のエントリーで書いたように、 5月は米国の脳卒中啓発月間(スタートは1984年)でした。 National Stroke Association (NSA)のサイトを見ると、 今年の啓発の柱は3本で、「予防」「早期発見」「脳卒中サバイ…

「金持ちはゼニ出そうよ。慈善って楽しいよ」とBill Gates

別に子どもに何も残すなとは言わないから、 億万長者たちは資産の大半を慈善に寄付するべきだよね。 ゼニは一番持っている人から、一番持っていない人に流れなければならないと思うんだ。 それに、慈善って、やってみたら分かるけど、楽しいよ。 自分も楽し…

ゲイツ財団の慈善ネオリベ医療グローバリズム賛歌

前のエントリーで紹介したIHMEの研究に関連して なんとも面白いものを見つけた。 Gates’ funding surge reorders the world of global health By Robert Fortner Crosscut, June 18, 2009 著者のRobert Fortnerという人物は元マイクロソフトの社員で こちら…

ゲイツ財団の私的研究機関が途上国への医療支援の財布を管理しようとしている?

当ブログがゲイツ財団の私的研究機関だと捉えているWashington大学のIHMEが 例によってGlobal Health Network のパートナーである Lancetに発表した 新たな研究によると、 民間からの史上初めての援助資金の増大を受けて 開発途上国への保健医療の援助資金の…

2009年6月19日の補遺

これはちょっと面白い視点。自分で意思決定をする能力をなくした患者の終末期医療では担当医師が治療差し控えの決定をしていることが多いが、医師は案外法律に暗いので、自分がやっていることが本当に合法なのか、知っていなかったりする。で、医師にきちん…

臓器移植をめぐって世界で起こっていること(再掲)

以下、4月21日のエントリーの再掲に、 最後に1つ最近のエントリーへのリンクを追加しました。 ----- 夕方のニュースで日本の脳死・臓器移植法改正の問題が取り上げられていたのを機に、 当ブログ開設からの2年間に取り上げた臓器移植関連の海外ニュ…

心臓病の子の父に「うちの子の心臓をあげる」と約束してヒーローになった父、呼吸器をはずしても生きる我が子に困惑(再掲)

これもまた、脳死・臓器移植法改正 A案可決で、 どうしても再掲したくなった、ついこの4月のカナダの事件。 以下、4月13日のエントリーの再掲になります。 ------- 2人の父親、特に片方が 病院の前で定期的に記者会見を行うがごときメディアへの…

心臓を停止から75秒で摘出・移植しているDenver子ども病院(再掲)

脳死・臓器移植法改正で、A案があっさりと可決された衝撃の中で テレビで中山議員の「これで日本の移植医療が海外と同じレベルになる」という発言を聞き、 どうしてもこの記事を再掲したくなった。 以下、去年10月14日のエントリーの再掲になります。 我…