2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

2011年6月27日の補遺

すぐに読めないのだけど、これはカナダのAnnie Farlow 事件(親が知らない間にDNR指定にされていた)を取り上げて「無益な治療」論の「無益」概念のあいまいさと滑り坂懸念について書かれており、必ず読みたい記事なので、とりあえず拾っておく。 http://www…

ゲイツ財団肝いり“HIV感染予防ゼリー”は「新たなタスキギ実験」?

USAIDSの資金で(ということはゲイツ財団の肝いりで) 南アフリカで進められているHIV感染予防ジェルの臨床実験 CAPRISA 004 が その素晴らしい予防効果で、Drug Information Association(DIA)から表彰された、 とのニュースが20日にあった。 女性が膣に塗布…

2011年6月23日の補遺

Tom Kochというカナダの生命倫理学者を人に教えてもらった。論文一覧。タイトルを見ているだけでファンになりそうだ……と思ったけど、ここから読めるものもいくつかあって、2008年のLatimer事件についての書簡を読んで、ファンになること確定。「重症児だから…

エントリーにしたばかりのDiekema「害原則」に新ヴァージョン登場

つい昨日のエントリーに登場したばかりのDiekemaの「害原則」ですが、 なんと、出たばかりの the Journal of Clinical Ethics誌の夏号に、 Diekemaが最新ヴァージョンの「最善の利益論より害原則」論文を発表しているとか。 これまた今朝のエントリーでとり…

NJ州、テキサス式“無益な治療法”は採らず

NJ州の“無益な治療”訴訟、Betancourt事件については Betancourt氏自身が亡くなった後にも 病院の上訴によって裁判が継続されており、 近く上級裁判所の判断が出るというところまで、 以下のエントリーで拾いました。 NJ州の「無益な治療」訴訟:Betancourt事…

失業中・無保険でも医療受けたいと、1ドルだけ“銀行強盗”

ノース・カロライナ州のJames Verone は、 17年間コカコーラの配達員として働いた後に失業し、無保険になったが、 膝やら関節炎やら足の怪我やら胸の出来物がどんどん痛くなって来たため、 6月9日、銀行に行くと、窓口の行員にメモを渡した。 「これは銀行強…

Alicia Ouelletteの新刊「生命倫理と障害:障害者に配慮ある生命倫理を目指して」

前の4つのエントリーで読んできた論文の著者、 Alicia Quellette がこうした論文による考察をさらに進めて、 生命倫理学と障害者コミュニティの歩み寄りを模索・提言する著書を上梓しています。 Bioethics and Disability: Toward a Disability-Conscious Bi…

Ouellette論文(09) 4: 「所有しデザインする親」から「子の権利を信託された親」へ

(前のエントリーから続く) 昨今は日本で大人気のMichael Sandel教授も この論文でとりあげられた養女の目の整形手術について論じているらしく Ouelletteもサンデルを援用していますが、 子ども自身のニーズとは無関係に、親自身の目的によって 子どもの身…

Ouellette論文(09) 3: 法の「非服従原則」

(前のエントリーから続く) Ouelletteによると、 法における「非服従の原則」とは、 ある人の自己決定の権利は 他者の生命や身体を自分の目的に服従させる権利までを含むものではない、ということ。 クルーザン判決においても 意思決定能力の有無を問わず患…

Ouellette論文(09) 2: Diekemaの「害原則」

(前のエントリーから続く) なお、当ブログ内には Quellette とする記述がなお多く残っておりますが、 これらは Ouellette の間違いの訂正がいまだ追いついていないものです。 この論文でとりあげられる4つのケースのうち、 最後のAshleyケースについてはと…

Ouellette論文(09)「子どもの身体に及ぶ親の権限を造り替える」 1: 概要

Alicia Ouelletteという人は、Ashley事件で08年に あのDiekema医師に反論の隙を与えない、実に見事な批判論文を書いた法学者です。 (Quelletteとしているエントリーが他にも沢山ありますが、Ouelletteの間違いです) また、去年4月28日にMaryland大学法学部…

2011年6月21日の補遺

5月21日に、英国の脳性マヒ者のアドボケイトScopeから、障害者差別の実態調査報告書が出ていた。かなり深刻な内容みたい。 http://www.comres.co.uk/scopendppsurvey15may11.aspx 米国PA州で、91歳の女性が尊厳死を望んでいる。家族の手を借りるとかろうじて…

ホリエモン収監から「医療施策」不在の「医療産業施策」時代を考えた

昨日、ホリエモンが、かつてのあのマネーゲーム犯罪で 出頭して収監されるというのでメディアやら“支援者”やら、ただの野次馬やらで 大騒ぎになっている様子をお昼のワイドショーで見ていたら、 今まで、以下のエントリーなどで考えてきた グローバル金融ひ…

姉への移植のために生まれた妹が、今テレビに出てくることの意味とは?(米)

いただきもの情報で、 日本語記事 「姉への移植のために生まれた妹、論争から20年後に米テレビ番組で心境語る。」 上記のビデオのある英文記事。 http://today.msnbc.msn.com/id/43265160 当時のTIME記事。英文。 http://www.time.com/time/magazine/article…

「孤宿の人」は、原発やA事件、慈善グローバル金融ネオリベ資本主義についての小説だった

……と、妙なエントリー・タイトルになってしまいましたが、 宮部みゆきの「孤宿の人」は、江戸時代の四国の架空の小藩を舞台にした時代小説です。 Amazonにある出版社からの紹介には、以下のように書かれています。 讃岐国、丸海藩――。この地に幕府の罪人・加…

2011年6月18日の補遺

【英国の「介護者週間」関連】 老舗介護者支援チャリティの支援を受けた人の体験談。 http://www.dgstandard.co.uk/dumfries-news/local-news-dumfries/local-news-dumfriesshire/2011/06/17/family-speak-of-support-they-recieve-from-princess-royal-trus…

美しい文章 1 :井上ひさし「手鎖心中」

唐突ですが、 人の世の行く末にちっとも希望が持てないような話題ばかりを拾う自分のブログに 書いている本人がちょっと食傷気味になってきたので、 たまには理屈抜きに「美しいもの」を拾って、 ブログの空気の入れ替えでも……と。 ま、spitzibara本人の口直…

2011年6月17日の補遺

ここ数日のエントリーで取り上げているように、ゲイツ財団のワクチン・キャンペーンに対する批判が出ている件で、財団の御用新聞Seattle Timesの読者欄に「財団の善意を批判すべきではない」というタイトルで、「みんな、一体どうしちゃったんですか? 確か…

日本も13日のカンファでGAVIに8億3000万円を約束

英語のニュースには日本のことが具体的に出てこないし、 日本語のニュースではすぐには目につかなかったために うっかりしていましたが、以下の方のブログが 日本がこのカンファで8億3000万円を確約するとのニュースを拾われていました。 【日本政府】子ども…

各国政府がワクチンだけで財布を閉じるなど「許されてはならない」……とGuardianがゲイツ財団の代弁

昨日14日のエントリーで紹介したCBSの記事を意識してのことなのか、 それともこうした批判は前々から出るところでは出ていたのか、 Guardianのグローバル・ヘルス・ブログが すばやい反応を見せています。 Guardianと言えば、去年9月に ゲイツ財団とのパート…

2011年6月16日の補遺

Guardianが社会欄で介護者問題を取り上げている。拾い損ねたみたいだけど、この他にもG紙の関連記事はあったと思う。:英国の介護者週間もメジャーになったなぁ……と、ちょっと感慨がある。私は07年に初めて英国のCarers Weekについて知って簡単に調べてみた…

やっと出た、ワクチンのため世界中からかき集められる資金に疑問の声

6月13日にロンドンで行われたGAVIのワクチン・カンファについては 多くのニュースが流れており、当ブログでも補遺で何度も拾ってきました。 これまでの流れを補遺から抜き出してみると(ソースはそれぞれの補遺にリンクしてあります)、 5月30日の補遺 緊縮…

2011年6月15日の補遺

英国の介護者週間関連。 http://www.yorkshireeveningpost.co.uk/news/yep-letters/celebrating_the_vital_role_of_carers_1_3476566 米国でも老親の介護で仕事を辞めた人は退職手当をもらい損ねるリスクがある、との指摘。:これは日本でも年金受給資格に関…

“プロザック時代”の終焉からグローバル慈善ネオリベ資本主義を考える

英国で、ウツ病や統合失調症の新薬の開発研究から ビッグファーマが相次いで資金を引き揚げ始めて、 研究者がパニックしている。 グラクソの幹部は去年、同社のSeroxatを含め、 これらの薬の副作用で子どもに自殺念慮が起きるとされる問題は 別に撤退の要因…

2011年6月14日の補遺

まずは、英国の介護者週間関連から 介護者週間アイルランドでも。 http://www.rte.ie/news/2011/0613/carers.html アイルランドではアル中のため若年介護者が71000人。 http://www.irishhealth.com/article.html?id=19326 若年介護者は年齢よりも早く大人に…

英国女性が娘に子宮提供を決断、OK出ればスウェーデンで移植手術

英国ノッティンガムに住む女性 Eva Ottossonさん(56)が 先天性の障害のために子宮を持たない娘Saraさん(25)に 子宮を臓器提供することを決めた。 もっとも医師らに許可が下りるかどうかはこれから。 許可が下りれば手術は娘の住むスウェーデンの病院で行…

日本のケアラー実態調査

去年のケアラー連盟の創設については 以下の2つのエントリーで紹介してきました。 介護者の権利を守るための「ケアラーズ連盟」、6月7日に発足へ(2010/5/18)(その後、名称変更) 「ケアラー連盟結成宣言」(2010/7/6) そのケアラー連盟が、NPO法人介護者サポ…

2011年6月13日の補遺

ここ数日ずっとそうであるように、英国メディアは、今日月曜日にBBCが放送するホテル王の自殺場面の話題で持ちきり。プレゼンターのPratchettは、昨日、自身も自殺を考えていると報道があったけど、今日のこちらのニュースによると既にDignitasで自殺するた…

自殺幇助のすべり坂エビデンス

Kevorkian医師の死を機に 米国メディアでは自殺幇助合法化議論が再燃している中、 キリスト教医師協会(学会?)の幹部の一人 Jonathan Imbodyという人が ヨーロッパと米国で合法化した国で起こっている以下の「すべり坂」現象を指摘し、 合法化論者に、再考…

2011年6月12日の補遺

日本語ニュース。中国でiPodほしさにブローカーにたぶらかされて腎臓を売った17歳の少年。 http://slashdot.jp/apple/article.pl?sid=11/06/08/000236 英国の介護者週間恒例の介護者実態調査で、介護者の75%は介護負担から健康を害しており、そのうち76%は…