各国政府がワクチンだけで財布を閉じるなど「許されてはならない」……とGuardianがゲイツ財団の代弁
Guardianのグローバル・ヘルス・ブログが
すばやい反応を見せています。
すばやい反応を見せています。
Guardianと言えば、去年9月に
ゲイツ財団とのパートナーシップ(すなわち資金提供)により
Global Developmentという新たなセクションが設けられており、
(詳細は文末リンクの「ゲイツ財団のメディア・コントロール」のエントリーに)
ゲイツ財団とのパートナーシップ(すなわち資金提供)により
Global Developmentという新たなセクションが設けられており、
(詳細は文末リンクの「ゲイツ財団のメディア・コントロール」のエントリーに)
それだけに、その口調がなんともタカビーなことに、ふむ……と。
なにしろリード部分から、いきなり
「ロンドンのGAVIへの資金集めカンファが大勝利だったからといって、
資金を提供した人たちが自分はもう貢献したぞとばかりに
自分の財布の上に胡坐をかいていることなど許されてはならない(must not be allowed)。
「ロンドンのGAVIへの資金集めカンファが大勝利だったからといって、
資金を提供した人たちが自分はもう貢献したぞとばかりに
自分の財布の上に胡坐をかいていることなど許されてはならない(must not be allowed)。
グローバル・ヘルスの他の領域では
今なお資金が大幅に不足しているのだから」
今なお資金が大幅に不足しているのだから」
「エイズのない世界はその気にさえなれば可能なのだ。
ゲイツ財団が多額の資金をつぎ込んでいるワクチンがなくとも、
治療法がなくたって、感染拡大は止められる。
予防と生活習慣の改善、教育と、そして薬がもっとあれば可能だ。
……(中略)……
そのために今、必要なのは何か? カネだ。
それが身も蓋もない真実なのである」
ゲイツ財団が多額の資金をつぎ込んでいるワクチンがなくとも、
治療法がなくたって、感染拡大は止められる。
予防と生活習慣の改善、教育と、そして薬がもっとあれば可能だ。
……(中略)……
そのために今、必要なのは何か? カネだ。
それが身も蓋もない真実なのである」
ふむ……。そうなのですよ。問題はカネなのですよ。
ワクチンそのものよりも、途上国の子どもたちよりも、実は。
ワクチンそのものよりも、途上国の子どもたちよりも、実は。
だから、この記事の著者は
「仮に、いくらかの懸念があるとしても……(略)……
それによって13日のカンファでの430億ドル達成の勝利感を曇らせてはならない」と。
「仮に、いくらかの懸念があるとしても……(略)……
それによって13日のカンファでの430億ドル達成の勝利感を曇らせてはならない」と。
そこの部分で挙げられていることを原文忠実に書いてみると、
・最も貧しい子どもたちや最も必要度の高い子どもたちがいて
医療制度が機能せずワクチン接種プログラムがない国々には
GAVIはワクチンを届けることができないと思われる……としても
(「可能性」possibilityではなく「蓋然性」likelihood)
・インドのジェネリック企業に比べると効率的ではあるけれど、
(それらの企業のワクチンの値段を考えると)あまりにも多くのカネが
多国籍製薬企業に落ちていく……との懸念はあるにせよ
・しかし一方で、グラクソ・スミス・クラインがロタ・ウイルス・ワクチンを大幅に値下げし、
メルクもHPVワクチンの値下げを発表したことで、うまくいけば値下げのトレンドが出てくるだろう。
医療制度が機能せずワクチン接種プログラムがない国々には
GAVIはワクチンを届けることができないと思われる……としても
(「可能性」possibilityではなく「蓋然性」likelihood)
・インドのジェネリック企業に比べると効率的ではあるけれど、
(それらの企業のワクチンの値段を考えると)あまりにも多くのカネが
多国籍製薬企業に落ちていく……との懸念はあるにせよ
・しかし一方で、グラクソ・スミス・クラインがロタ・ウイルス・ワクチンを大幅に値下げし、
メルクもHPVワクチンの値下げを発表したことで、うまくいけば値下げのトレンドが出てくるだろう。
それにしても、これって厚顔……? と感じてしまうのは、
この最初のところって、
「医療制度が崩壊した国に届けても実際には子どもたちに接種されない」という批判を否定せず、
「まぁ、そうなるでしょうね」と、しゃらりと認めているわけですよね。
「医療制度が崩壊した国に届けても実際には子どもたちに接種されない」という批判を否定せず、
「まぁ、そうなるでしょうね」と、しゃらりと認めているわけですよね。
世界中から400億ドルも集めておいて――。
そして、「なんでビッグ・ファーマを儲けさせているんだ?」という批判に対しては
「だってインドのジェネリック企業では、さくさく仕事が進まないじゃん?」と言い訳し、
「それに、ビッグ・ファーマだって値下げの努力は見せているわけだから、さ」と
ここでは問題のすり替え。
「だってインドのジェネリック企業では、さくさく仕事が進まないじゃん?」と言い訳し、
「それに、ビッグ・ファーマだって値下げの努力は見せているわけだから、さ」と
ここでは問題のすり替え。
カンファの直前にビッグ・ファーマから値下げの発表が相次いだのは、
なるほど、こういう批判を意識して、かわすためのシナリオだったというわけなのですね。
なるほど、こういう批判を意識して、かわすためのシナリオだったというわけなのですね。
それともう1つ興味深いのは、
ふむ、途上国にはメルク社のHPVワクチンを持っていくわけかぁ……。
ふむ、途上国にはメルク社のHPVワクチンを持っていくわけかぁ……。
そういうことを考えながら読み返してみると、
このGuardianのグローバル・ヘルス・ブログの記事は、もしかしたら
早くも「ワクチンの10年」の次は「エイズの10年」だよって、
さりげなく指差してメッセージを送る意図で書かれたものなのか……?
このGuardianのグローバル・ヘルス・ブログの記事は、もしかしたら
早くも「ワクチンの10年」の次は「エイズの10年」だよって、
さりげなく指差してメッセージを送る意図で書かれたものなのか……?
この記事のタイトルにあるように、
今回ロンドンで約束された400億ドルで
世界中の子どもたちにワクチンを届ける十分なカネができた以上、
「途上国の子どもにワクチンを」のメッセージの集金力は game over なわけですね。
今回ロンドンで約束された400億ドルで
世界中の子どもたちにワクチンを届ける十分なカネができた以上、
「途上国の子どもにワクチンを」のメッセージの集金力は game over なわけですね。
かくして
ビッグ・ファーマがワクチンを売りさばくための資金だけはめでたく集まったのだから
それらのワクチンが医療制度の崩壊した途上国で盗まれようが倉庫で眠って終わろうが、
株主さんにとっては実はどうでもいいことなのだろうし。
(じゃぁ、どこが「子どもたちの命を救うために」なの?)
ビッグ・ファーマがワクチンを売りさばくための資金だけはめでたく集まったのだから
それらのワクチンが医療制度の崩壊した途上国で盗まれようが倉庫で眠って終わろうが、
株主さんにとっては実はどうでもいいことなのだろうし。
(じゃぁ、どこが「子どもたちの命を救うために」なの?)
「途上国にワクチンを」で形成されるマーケットはこれで安泰。
後は、そのマーケット自体が消費し尽くされるのを待つばかり。
後は、そのマーケット自体が消費し尽くされるのを待つばかり。
この記事の最後のセンテンスが、これまた実に象徴的で、えぐい。
資金を提供する各国政府が『もうお終いgame over』と言うことは
許されてはならない(must not be allowed)」
許されてはならない(must not be allowed)」
All shall have vaccines – and now how about some more Aaids drugs too?
Sarah Boseley’s Global Health Blog,
Guardian, June 15, 2011
Sarah Boseley’s Global Health Blog,
Guardian, June 15, 2011
【関連エントリー】
ゲイツ財団のメディア・コントロール(2010/10/21)
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やっと出た、ワクチンに世界中からかき集められる資金への疑問の声(2011/6/16)
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その他「ゲイツ財団とUW・IHME」の書庫に多数。