2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2013年1月30日の補遺

コロラド大学の「害を成さないようにプロジェクト」。Bernard Lownの名言「患者のためにはできる限り多くを。患者に対してはできる限り少なく」。:これは注目。驚くことに、というか不思議なことに、アシュリー事件の担当医のDiekema医師は以下にリンクした…

『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』メモ 5

自分自身のメモとしても、8~11章について、ごく簡単に。 第8章 竹之内裕文「『自然な死』という言説の解体―死すべき定めの意味をもとめて」 内容は、タイトルそのもので、 昨今、大流行の「自然な死」が 「過剰な延命治療」に対置させられて称揚される時に…

『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』メモ 4

『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』については、 第6章までを読んだところで以下の3つのエントリーを書きました。 『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』メモ 1(2013/1/17) 『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』メモ 2(2013/1/17) 『シリーズ…

英語メディアが麻生発言を「さっさと死ね」と翻訳(誤訳でしょうか?)

21日、麻生太郎副総理兼財務大臣は 社会保障制度改革国民会議で以下のように述べたと報じられた。 チューブの人間だって、私は遺書を書いて『そういう必要はない。さっさと死ぬから』と手渡しているが、そういうことができないと死にませんもんね、なかなか…

PASの「2人目の承認」断ったOR州の医師「うつ病患者を救えなかった」

OR州の医師が、モンタナ州の住民に向けて 自殺幇助は合法化しない方がよい、と訴える書簡。 その医師の体験の概要とは、 10年以上前からプライマリー・ケア医として診てきた患者(当時76歳)を 数年前にメラノーマと判断して専門医に紹介した。 夫婦ともにハ…

Rasouli事件の病院で新たな「無益な治療」訴訟:「救命できても自立生活は無理だから生命維持停止を」

カナダで脳卒中で意識不明となった男性Dennis Dayeさん(65)を巡って 無益な治療訴訟。 Dayeさんは先月10日、 大きな脳卒中を起こしてSunnybrook Health Science Centerに運ばれ、 脳の浮腫のために頭蓋骨の多くの部分を取り覗く手術を受けた。 主治医のF…

2013年1月25日の補遺

ルイジアナ州は2月1日から14年6月30日まで、メディケイドでのホスピスを認めないことに。Popeは「でもメディケイドの患者だって死ぬんだから、病院で死ねばホスピスより高くつくのに」と言うけど、この人の頭では、そこにPAS合法化はちらつかないのかな……? …

英国で知的障害者のための新聞 ”Easy News” 創刊

英国の障害者チャリティ、United Response から、 知的障害のある人にも政治や社会に関するニュースを届けようと、 易しい言葉を使い、写真や絵を多用した新聞 Easy News が創刊されている。 United Responseサイトの Easy News ページはこちら。 創刊201…

「近親者の自殺幇助には温情」文化が広がっている(米)

カリフォルニア州で 近親者による自殺幇助事件に実刑回避の温情判決が続いている。 ① 11年に86歳の退役軍人の男性Jack Koencyに ヨーグルトに致死量の麻薬Oxycontinを混ぜて手渡したとして、 自殺ほう助の罪に問われていたソーシャル・ワーカーElizabeth Bar…

アイルランドのFleming訴訟・高裁判決「自殺幇助規制緩和はパンドラの箱」

補遺で追いかけてきたように、 アイルランドのMS患者 Marie Fleming さん(59)が 自殺幇助の全面禁止は違憲であると主張し、 症状が悪化した際には夫に自殺幇助してもらいたいが、 その際に夫に犯罪者になるリスクを侵させることはできないとして 公訴局長D…

2013年1月21日の補遺

先月、CA州で妻の自殺をほう助したとして逮捕起訴されていた元消防士Geroge Taylor(86)に禁固2日+3年間の保護観察。 http://www.sfgate.com/news/article/Retired-firefighter-sentenced-in-assisted-suicide-4199860.php 11年に86歳の退役軍人の男性Ja…

ケベックの小児外科医「これほどの医療崩壊を放置してPAS合法化なんて、とんでもない」

16日の補遺で拾ったように、 カナダ、ケベック州政府が医師による自殺幇助の合法化の方向を打ち出したことで、 ケベック州での議論が再燃しているのだけれど、 どこの国の議論でも、賛否両論とも、 すでにあちこちで出尽くしたものばかりだと思っていたら、 …

『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』メモ 3: 第6章は「植物状態患者の意識状態」、当ブログのテーマそのものだった!!

第5章 細谷亮太「小児における終末期医療」 成人とは異なる小児の終末期医療について 欧米の小児の緩和ケアを手本に、チーム医療によるトータルケアの実践を日本にも導入し、 根付かせていこうと努力しておられる最先端の医師が概論的に紹介する、といった趣…

『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』メモ 2

第3章 田村恵子「終末期医療の現場における意思決定 ――患者および家族とのかかわりの中で」 内科病棟でのがんの患者さんとの関わりから 「病気って誰のものなのか」という疑問を持ち、ホスピスで働き始めた経歴を持つ 淀川キリスト教病院看護部ホスピスの主…

『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』メモ 1

昨年末にこちらのエントリーで紹介した『シリーズ生命倫理学 第4巻 終末期医療』を これはすごい本だ……と唸りつつ読んでいる。 各章ごとに内容が濃く、メモしておきたいことが少なくないので、 まだ4章までだけど、この辺で一度エントリーに。 第1章 安藤泰…

2013年1月16日の補遺

NJ州のCouncil on Developmental Disabilitiesのサイトに、Norman Reim氏による“Growth Attenuation and People with Developmental Disabilities”と題した論考。同カウンシルの機関紙People & Familiesにも、同じ趣旨の投稿。成長抑制や手術(つまり”アシュ…

乳がん発症リスクの高い女性50万人に予防薬を(英国)

NICE(国立医療技術評価機構)が現在作成中の改定ガイドラインにより、 英国NHSにおける乳がん戦略は予防重視にシフトし、 家族歴や遺伝子情報から乳がん発症リスクが高・中等度とされる女性に対して NHSで予防薬の投与が行われるよう提言されることに。 現在…

2013年1月15日の補遺

コネチカット州議会に自殺幇助合法化法案提出。 http://www.branfordseven.com/news/state/article_44485116-5a7d-11e2-8151-001a4bcf6878.html 上記の法案提出を受け、Peter Wolfgang氏のコメンタリー。ここ、ちょっと気になる情報だけど、ソースが明記され…

ベルギーで、ろう者の双子(45歳)に安楽死

昨年12月14日に、 ベルギー、Jetteのブリュッセル大学病院で致死薬の注射により安楽死したのは Antwerp地域出身の45歳の双子の兄弟。 2人は生まれつきのろう者で これまでアパートで一緒に暮らし、靴職人として働いてきたが、 近いうちに視力まで失うことに…

フランスのアニメ映画「スーイサイド・ショップ」

昨年、カナダなどいくつかの映画祭で上映されたという フランスのアニメ作品“Suicide Shop”が Thaddeus Popeの無益な治療ブログで紹介されている。 (英語のトレーラーあり) In a grey and brown Paris of oppressive concrete towers and rain-soaked stre…

ドイツの複数の移植センターで待機リスト操作スキャンダル、信頼失いドナーが激減

昨年、臓器不足解消に向けて 16歳以上の全員にドナーになる意思確認をするよう制度改正が行われたばかりのドイツで 国内47か所の全移植センターに医療委員会の調査が入る深刻な事態となっている。 現在のところまでに明らかになっているのは 少なくとも4つの…

2013年1月10日の補遺

【久々にAshley療法関連】:アシュリー療法関連の文献はちょっと食傷気味なので、もう敢えて探そうという気にもならないのだけれど、たまたま目にしたので記録。 男女児2人それぞれの親から成長抑制の要望を受けた病院の医師らによる、「倫理的に疑問のある…

「行動する親」という呪縛

生活書院のHPで毎月初めにアップされているWeb連載 福井公子さんの「障害のある子の親である私たち――その解き放ちのために」の 4回目、「勇気」「運動会」「ケイタイ」「虐待」の4編を読んだ。 http://www.seikatsushoin.com/web/fukui04.html 特に1編めの…

E・エマニュエルによる終末期医療改革の4提言

生命倫理学者で腫瘍科専門医のエゼキエル・エマニュエルについては、 2009年に以下のような断片的な発言を拾ってきており、 その中で医師による自殺幇助に反対のスタンスの人だと知った程度だったのですが、 「障害者は健常者の8掛け、6掛け」と生存年数割引…

2013年1月4日の補遺

インドのバス・集団レイプ事件で、護身のために銃を持つ女性が増えている。 http://www.guardian.co.uk/world/2013/jan/01/indian-bus-rape-delhi-rush-guns 同事件の日本語の記事はこちら。実際の犯行内容はあまりに陰惨で、露骨に書いていない記事が多いで…

ファーマゲドン: オピオイド鎮痛剤問題のさらなる裏側

オピオイド鎮痛剤の過剰処方の問題については、 以下の記事を始め、いろいろと拾ってきていますが、 “オピオイド鎮痛剤問題”の裏側(米)(2012/10/20) 続報といってもよい記事が大晦日のWPにありました。 Rising painkiller addiction shows damage from dru…

「肥満の人にGPがエクササイズを処方、テクノで見張り、サボったら福祉給付は差し止め」提言(英)

この4月に地域住民のウェルビーイングと保健衛生の責任が NHSから地方自治体に移されることを受け、 保守系のWestminsterの自治体 と、 地方自治体情報ユニットというシンクタンクが A Dose of Localism: the Role of Councils in Public Healthという報告…

「看取りケア・パス機会的適用が問題に(英)・MA州住民投票で自殺幇助合法化ならず(米)」書きました

看取りケア・パス機会的適用が問題に(英国) 日本でも用いられている看取りケアのクリティカル・パス、リバプール・ケア・パスウェイ(LCP)が、英国で大問題になっている。LCPは死にゆく患者の苦しみを極力少なくするべく、エビデンスに基づいて看取りの前…

元旦に、今年の自分に贈りたい言葉

新年あけまして、おめでとうございます。 2013年の元旦に、 今年の自分自身に向けて贈っておきたい言葉を、 年末に読んだ『環状島=トラウマの地政学』(宮地尚子)から――。 一方で、市民の教育レベルが全体的にあがり(どんな教育かにももちろんよるが)、…