ドイツの複数の移植センターで待機リスト操作スキャンダル、信頼失いドナーが激減

昨年、臓器不足解消に向けて
16歳以上の全員にドナーになる意思確認をするよう制度改正が行われたばかりのドイツで
国内47か所の全移植センターに医療委員会の調査が入る深刻な事態となっている。

現在のところまでに明らかになっているのは
少なくとも4つの権威ある大学病院で
待機リスト順位を上げてEurotransplantから臓器を獲得する目的で
患者データの不正操作が組織的に行われていた、という事実。

例えば患者の血液に尿を混ぜたり、
別の患者の血液サンプルを使ったり、
人工透析データを改ざんしたりして、
容体が実際以上に悪化しているように見せていた。

また、調査が入ると外科医らは、
患者の透析記録が書かれたカルテを隠すなどして
医療委員会の調査を妨害。

これまでに判明しているのは少なくとも103ケースだが
これから調査が進むとさらにたくさん出てくるだろうと医療委員会は言っている。

4病院の上級医師や移植医は調査の間、停職に。

それらのケースで贈収賄が絡んでいるかは今のところ不明だが、

他にも背景として
多くの移植センターがある一方で移植臓器は世界的に不足しており、医師らには
成功事例を作り、資金獲得のため病院の評価を上げるプレッシャーがかかっていた、とも。

4病院の1つの医師は、
肝臓を一つ移植するごとにボーナスを受け取れるよう契約内容に盛り込んでいたといわれ、
こうした報酬システムには、医療関係者の間から以前より批判が出ていたところ。

当初は散発的な事例だと思われていた不正が、
国内の移植センターに広がる組織的な不正スキャンダルの様相を呈してきたことで
臓器移植に対するドイツ国民の信頼が失われ、ドナー希望者が激減しているという。

死後提供は20%から40%減少したとのこと。

Mass donor organ fraud shakes Germany
The Guardian, January 9, 2013