科学とテクノのネオリベラリズム

大きな声が出なくなるよう自閉症児に手術、ウィスコンシン大で

迷ったのだけど、 やっぱりこの話題はこちらのブログに書くべきか、と。 ただ、これまでのような詳細情報ではなく、 Spitzibara自身のメモのようなものになります。 米国ウィスコンシン大学が、家族の要望を受け、 14歳の自閉症スペクトラム障害の男児Kade H…

「自己責任」へと転嫁されていく、科学とテクノのネオリベラリズムの「自己決定」

9月の頭に報道されたところによると、 2012年、米国の富全体の5分の1が わずか1%のスーパーリッチに占められていた、といいます。 新記録更新とのこと。 http://www.usatoday.com/story/money/business/2013/09/10/pay-gap-richest-poorest/2793343/ そん…

「199の国で禁じても200番目にとってビジネス・チャンス」の世界の救いのなさについて

8月末にこのブログを休止してからずっと 頭の中にぐるぐると転がり続けている言葉がありました。 スタンフォード大の法・生命科学センターのHank Greely氏が 最新の着床前全ゲノム読解診断検査について言った、次の言葉です。 世界にはざっと200の国があり…

どんどん進化し「ビジネス・チャンス」を広げていく出生前・着床前遺伝子診断技術

5月にフィラデルフィアで誕生した Connor Levy君については 以下のエントリーで紹介しましたが、 全ゲノム読解で病気チェックした赤ちゃん誕生(米)(2013/7/11) その続報のような形で書かれたWPの記事があり、 こうした次世代シーケンシング(NGS)による着…

佐々木千津子さんから山田嘉則氏のintegrityとセンシティビティへ

昨日、佐々木千津子さんの訃報を聞き、 その直後に久々にこのブログにコメントが入ったと思ったら それがなんと佐々木千津子さんのことを書いたエントリーだったという、 どこをどう押しても単なる偶然とは思えない不思議な出来事があって、 佐々木千津子さ…

Savulescuによる「道徳エンハンスメント」論

Savulescuによる「道徳ピルのすすめ」プレゼンのビデオが BioEdgeのエントリーにあったので、 ざっと聞いてみた。 聞き取りには自信がないので かいつまんで概要のみ。 最初にSavlescuが自問自答してみせるのが 「地球温暖化を起こすのは? 二酸化炭素」 「9…

「平成25年長崎平和宣言」に賛同します

ニュースでほんの一部を聞いて、ちょっと気になっていた 9日の長崎市長の平和宣言の全文が長崎市のHPに公開されていることを知り、 読みにいって、改めて強い感銘を受けた。 http://www.city.nagasaki.lg.jp/peace/japanese/appeal/ 長崎市は この平和宣言へ…

抗マラリア薬に重症の神経症状の副作用、ブラックボックス警告へ

副作用としてあまりにもひどい神経症状が出る マラリア予防薬、mefloquine hydrochloride (商品名Lariam)に やっとのことでブラックボックス警告がつけられたが、 すでにあまりに多くの兵士や平和維持部隊、ボランティアや留学生や旅行者が 生涯続く可能性す…

Peter Singer「効果的利他主義のすすめ」:5000ドルの途上国支援すれば腎臓1個提供するに相当

8月2日のエントリーをアップした際に effective altruism (効果的利他主義)という用語が気になったので、 検索してみたところ、 ピーター・シンガーがこの effective altruism を唱えていると知り、 同時に今年3月にシンガーがeffective altruismについ…

カナダ政府、1940―50年代に先住民の子どもたちに非倫理的な栄養実験

カナダ政府が1940年代から1950年代にかけて インディアンの子どもたちに行った一連の非倫理的な栄養実験の詳細が明らかになっている。 Social History誌に発表された論文はこちら ↓ Administering Colonial Science: Nutrition Research and Human Biomedic…

現金&性的贈賄スキャンダルで、グラクソが答えなければならない8つの疑問

中国でのオペレーションにおいて 仲介者と旅行会社を通じて医師らに現金と性的賄賂を贈り違法行為を行ったとして グラクソ幹部4人が逮捕された、以下の事件について 医師や官僚への贈賄でグラクソ幹部から逮捕者(中国)(2013/7/12) 英国本社のCEO、Andrew …

医師や官僚への贈賄でグラクソ幹部から逮捕者(中国)

日本ではドル箱降圧剤、バルサルタンの論文不正を巡って 昨日、京都府立医科大がデータ操作を認める調査報告を出し、 今朝の新聞一面を飾っていましたが、 製薬会社の社員(中には株式を保有している社員も)が 自社の薬の効果や安全性を調べる臨床実験の報…

胚の細胞周期にかかる時間に特許とった大学とバイオ企業に非難ごうごう(米)

直前エントリーで紹介した記事を読んだ時に、 一緒に目についた5月の記事。 スタンフォード大学とバイオテク企業 Auxogynが IVFに使用されているヒト胚の細胞周期の最初の3段階にかかる時間のデータに 特許を申請し、米国特許局がこれを認めたことから、 新…

生きている兆候を知りつつ鎮静して、あわや臓器摘出:Burns事件

これまで重症意識障害からの“回復事例”についてはいろいろ拾ってきたし、 その中には“回復”というよりも“誤診”じゃないかと思われるような事例もあり、 また恐ろしいことに臓器提供が決まった後で“回復”したケースまであって 考えさせられてきたのですが、 …

HPVワクチン論文の利益相反 (後)

前のエントリーの続きです。 ④ 今年2013年には既に41論文が出ており、 そのうち17論文がHPVワクチンの効果と安全性を謳うもので、 効果を疑問視しているものは2論文(打出先生がアブストラクトから推測)。 HPVワクチンへの不安は根拠のない作り話…

HPVワクチン論文の利益相反 (前)

週末、こちらのシンポジウムへ行ってきました ↓ http://homepage1.nifty.com/hkr/simin/index.htm <テーマⅠ 「子宮頸癌ワクチン」導入の裏側>の前半は 金沢大学付属病院講師で産婦人科医の打出喜義先生の講演。 講演のパワポはこちら。 http://homepage1.n…

臨床実験データ全公開を求める動き、研究者らから (後)

(前のエントリーからの続きです) Dr. Jeffersonは問題のカイザー研究に関わった研究者の追跡を試みるが、 もともと当初の実験データは見ておらずロッシュの分析に基づいた研究だったとか、 研究ファイルをなくしたという話しか出てこなかった。 Jefferson…

臨床実験データ全公開を求める動き、研究者らから (前)

一番最近では6月28日の NEJMの前・現編集長による医学研究腐敗の指摘から、日本の「iPS臨床承認」を考えてみたなど、 製薬会社の資金と影響力によって医療のエビデンスがゆがめられている問題については、 いくつもエントリーにしてきましたが、 29日のNYTに…

NEJMの前・現編集長による医学研究腐敗の指摘から、日本の「iPS臨床承認」を考えてみた

最近、気になっている本の一つがこれ。 『ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』 マーシャ・エンジェル著 栗原千絵子、斉尾武郎訳 篠原出版新社 2005 著者は、New England Journal of Medicineの前編集長。 アマゾンのこの本のページに 京都大学医学部付属病院…

乳がん“予防薬”を50万人の女性に5年間飲ませよう、と英NICE

今年1月の以下のエントリーを書いた時点では 作成中だったNICEのガイドラインが発表となり、 1月に報道された通り、乳がんのリスクが高い女性に 2種類の予防薬を5年間、NHSはオファーするように、と。 乳がん発症リスクの高い女性50万人に予防薬を(英国)(2…

アベノミクス財源のため社会保障を大幅カット

メルマガ 『やまのい和則の「軽老の国」から「敬老の国へ」』 第1704号(2013/6/24)より 報道によれば、政府は来年度の社会保障予算の高齢化による 自然増分を抑制する方針を8月に発表するとのこと。 自然増は年1兆円。 これを抑制するには、医療、年金、…

新生児へのロタ・ウイルス・ワクチンの治験、ガーナで

メイヨー・クリニック他の研究により、 ガーナの新生児でロタ・ウイルス・ワクチンに60%の効果があることが分かった、 というニュースが出てきているのだけれど、 現在、ロタ・ウィルス・ワクチンの接種は生後2カ月からとされていて、 先進国では2度の摂取…

MGH、重症脳損傷患者への同意なき臨床実験に参加か

マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究チームが 救急搬送されてくる重症の頭部外傷患者に対する同意なき臨床実験に 参加を検討していることを巡って論争になっている。 頭部外傷で脳損傷のある患者は受傷後数時間以内に 脳浮腫や蘇生の変化などの二次的損傷…

あまりに非人道的な「不妊手術キャンプ」を人権団体が提訴(インド)

BioEdgeが3月に続いて、またも インドの「不妊手術キャンプ」の劣悪さを取り上げている。 今回は、人権団体が提訴した、という新情報。 Indian women victimized in sterilization camps BioEdge, June 15, 2013 インドの不妊手術キャンプについては、 いっ…

今年、英米の学校が禁止したヘンなもの

WPで教育問題について書いているValerie Straussという記者さん、 辛辣だけど視点が面白いなー……と、前から思っていたんだけど、 今回の記事のタイトルは 「今年、学校が禁止したヘンなもの、8ケ」 1. フリルのついたソックス 英国の小学校で、やたらと長…

2歳児に向精神薬を3種類も処方したレベッカ事件の医師は、日本に帰って診療

レベッカ事件とは、 双極性障害で抗精神病薬を処方される2―5歳児が倍増(2010/1/16) 2歳で双極性障害診断され3種類もの薬を処方されたRebeccaちゃん死亡事件・続報(2010/2/22) 米国マサチューセッツ州(かのBiederman医師のおひざ元)で起きたこの事件で 2歳…

オレゴンの農場に「あってはならないはずの遺伝子組み換え小麦」

30日に、気になるニュースに遭遇。 米西部の農場で無認可の遺伝子組み換え小麦 読売新聞 5月30日 これ、目立たないニュースですが、 実はものすごく深刻な事態を知らせていると思う。 ただ、今しばし英語で詳細を調べてみる余裕がないし、 日本の新聞記事は…

ユタ州、囚人からの臓器提供を合法化

3月28日、知事が法案に署名し、 ユタ州は死刑囚を含め、収監中に死亡した場合に囚人に臓器提供を認める 米国で最初の州となった。 既に同州では247人の囚人がドナー登録。 法案の提出者、下院議員(共和党)のSteve Eliasonは 2010年に臓器提供を望んだ殺人…

ドナー精子で14歳の養女に妊娠・出産を強要した母親(英)

プライバシーの点から名前や児童福祉管轄の自治体は明らかにされていないのだけれど、 海外から3人の赤ちゃんを養子にして育ててきた女性が、 4人目の赤ん坊を養子にしようとしてかなわなかった時に、 自身は健康上の理由から不妊術を受けていて産むことがで…

「早期認知症スクリーニングの定期化は害の方が大きい」と専門医

East Anglia大学の認知症スクリーニングの専門家から、 今後、認知症患者の急増が見込まれることから 症状が出ていない内から認知症のスクリーニングを実施しようとの声が 英国でも上がっているが、 定期化すると、 未だ治療方法も見つかっていない中で無用…