カナダ政府、1940―50年代に先住民の子どもたちに非倫理的な栄養実験

カナダ政府が1940年代から1950年代にかけて
インディアンの子どもたちに行った一連の非倫理的な栄養実験の詳細が明らかになっている。


アブストラクトは以下。

Between 1942 and 1952, some of Canada’s leading nutrition experts, in cooperation with various federal departments, conducted an unprecedented series of nutritional studies of Aboriginal communities and residential schools. The most ambitious and perhaps best known of these was the 1947–1948 James Bay Survey of the Attawapiskat and Rupert’s House Cree First Nations. Less well known were two separate long-term studies that went so far as to include controlled experiments conducted, apparently without the subjects’ informed consent or knowledge, on malnourished Aboriginal populations in Northern Manitoba and, later, in six Indian residential schools. This article explores these studies and experiments, in part to provide a narrative record of a largely unexamined episode of exploitation and neglect by the Canadian government. At the same time, it situates these studies within the context of broader federal policies governing the lives of Aboriginal peoples, a shifting Canadian consensus concerning the science of nutrition, and changing attitudes towards the ethics of biomedical experimentation on human beings during a period that encompassed, among other things, the establishment of the Nuremberg Code of experimental research ethics.


1942年から1952年の間に、カナダの一流栄養学者数人が各種連邦機関と協働しつつ、アボリジニの地域と寄宿学校において、それまでに前例のない一連の栄養研究を行った。その中で最も野心的で最も有名なのは、1947年から1948年にかけて行われたthe Attawapiskat and Rupert’s House Cree First Nations(クリ―・ファースト・ネイションは先住民の意。その他は??)のJames Bay 調査だった。その調査ほど知られてはいないが、2つのそれぞれ別個の長期研究もあった。

その中には、被験者のICもなければ被験者に知らせることもなしに、マニトバ北部のアボリジニの低栄養状態の人々に対して、後にはインディアンの寄宿学校6校で、栄養状態をコントロールする実験まで含まれていた。

本稿はこれらの研究と実験を調べ、そのほとんどが未調査のままとなっているカナダ政府による搾取とネグレクトについて、いくらかでもナラティブの記録を提供できればと意図するものである。同時に、これらの研究をアボリジニの人々の生活を統治する連邦政府の方針といった、さらに大きな文脈に位置付ける。その文脈とは、ことにニュールンベルグ綱領が成立した時期に、栄養科学に関するカナダ人のコンセンサスが変化し、バイオ医学の実験倫理に対する姿勢が変わってきたことである。


この論文を受け、Nature 誌が掲載した記事は以下。
Canada used hungry indigenous children to study malnutrition
Nature, July 23, 2013


BioEdgeの解説によれば、

実験目的で寄宿学校の子どもたちに基本的な栄養を欠いた食事を与え、
基本的な医療ケアも行わなかった、というもの。

ある実験では
マニトバ北部で低栄養状態が広がっていることが分かった後、
コントロール群を作るため175人の子どもたちに
意図的にビタミン・サプリを与えないままにした。

また別の実験では
州立の寄宿学校の子どもたち1000人に対して
牛乳を1日に必要な摂取量の半分以下しか与えないことによって
ビタミンCのサプリメントの効果を調べるための「ベースライン」を作った。

その後、6校の子どもたちに
歯科治療が差し控えられた。

上記のNatureの記事によれば、
先住民組織(the Assembly of First Nations)では
この一連の研究に関する全データの公開を求めており、

アボリジニー局は寄宿学校での虐待を調査する委員会に
900の文書を提出した、と言っている。





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