2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

オンブズマン報告書を読んでみた:知的障害者に対する医療ネグレクト

前のエントリーで紹介した 英国の知的障害者に対する医療ネグレクトをめぐるオンブズマンの報告書のうち Part 1 overview and summary investigation reports のみを とりあえず読んでみました。 報告書本文はこちら ↓ http://www.ombudsman.org.uk/improvin…

「医療における障害への偏見が死につながった」オンブズマンが改善を勧告(英)

【13年5月8日追記】 リンク切れになっているものが多いですが、 医療オンブズマンの報告書はこちら ↓ http://www.ombudsman.org.uk/improving-public-service/reports-and-consultations/reports/health/six-lives-the-provision-of-public-services-to-peop…

また1人FEN関与の自殺が判明(米)

Maxine Porisさん、64歳。 今年1月(2月か?)にFENの支援を受け自殺。 繊維筋痛症、骨粗しょう症、変形性の関節の病気、acid reflux(酸の反射?)を わずらっていたものの、ターミナルな状態だったわけではありません。 こちらのAP通信の記事は、 14…

ナーシングホームで男が銃を乱射、8人が死亡(米)

事件が起きたのはN.Carolina州 Carhageという小さな町。 Pinelake Health and Rehab というナーシングホームで (120床。リハビリ、ナーシングケア、ホスピス、アルツハイマーユニット。 1999年創設のPeak ResourcesというNC州の会社が経営するホームの1つ…

視力低下を苦に88歳が自殺、ここでもFEN関与

Florida州Sarasotaの88歳の男性 Max Lomさんは、いたって健康ながら、 最近視力が低下して新聞を読むにも苦労することに抑うつ状態となっていた。 去年5月に薬を大量に飲んで自殺を図ったが失敗。 その後 the Final Exit Networkとやり取りをするようにな…

BBCラジオ看板キャスターが「自殺幇助合法化せよ」と新刊書

BBCラジオの看板番組Todayを担当する大物キャスター John Humphrys氏が 新刊書The Welcom Visitor: Living Well, Dying Well(4月2日刊行)で 自殺幇助の合法化を訴えているとか。 出版を前に3月29日に TimesにはHumphrys氏へのインタビュー記事、 The …

ICなしの外傷患者臨床実験、死亡者増で中止に

米国 the National Heart, Lung and Blood Instituteがスポンサーとなった研究で 外傷のためや出血性ショックで意識がなかったり、はっきりしないために インフォームド・コンセントが与えられない患者に 救急車の中で通常の濃度よりも高い生理的食塩水を与…

葬式

身近な子どもが、また1人亡くなった。 とても重度ではあるけれど元気な子だったのに……と 知らせを聞いて絶句する。 電話で知らせてくれた人と、 いつもこういう時に繰り返す儀式のように 「○○さんちのAちゃんの時には、こうだったよね」 「そういえば△△さん…

Biederman医師らに連邦検察局から召喚状

抗精神病薬の不適切なマーケティングでメディケイドの給付金を詐取したとして 製薬会社が訴えられている件で、 連邦政府の検察がHarvard大学の研究者3人に 研究内容についての情報をはじめ 3人に関わる訴訟で提出された一切の書類を提供するよう召喚状を出し…

安楽死・尊厳死法制化を阻止する会 シンポジウム

安楽死・尊厳死法制化を阻止する会がシンポジウムを開催するとのこと。 誰もが願う〈生きたい〉思いを大切に 厚労省が昨年終末期医療について、アンケートやヒヤリング懇談会を開催し、尊厳死協会からは「植物状態」を念頭においた法制化の意見が出されてい…

「3歳以下の、てんかんの手術は安全かつ有効」とカナダの研究者

イヤ~な話が出てきた。 3歳以下の乳幼児のてんかん発作に外科手術が安全かつ有効だと、 Epilepsia(てんかん)というジャーナルに発表された論文で カナダ、British Columbia子ども病院と、British Columbia大学の医師らが。 1987年から2005年までの間に カ…

「栄養はなくても茶は生活必需品」という視点

数日前に読んだ、 「現代の貧困 ――ワーキングプア/ホームレス/生活保護」(岩田正美 ちくま新書)で、 イギリスの貧困学者ピーター・タウンゼントの言葉が紹介されており、 それが貧困問題に関して書かれたものでありながら、 「人間の生活とか生は合理だけで…

重症児のコスメティックな手術(Wilfond論文) 3

このエントリーは、以下の続きです。 Wilfond医師が「重症児へのコスメティックな手術も親の決定権で」 重症児のコスメティックな手術(Wilfond論文)2 知識がないため、どう考えていいのか分からないところもあって、 できれば専門家の方に教えていただき…

重症児のコスメティックな手術(Wilfond論文) 2

Wilfond医師が「重症児へのコスメティックな手術も親の決定権で」というエントリーで取り上げた シアトル子ども病院のWilfond医師の以下の論文について、 何度かに分けて考えてみたいことが沢山あるので、 上記リンクのエントリーをシリーズ1と考え、 この…

英国医師の3分の2は自殺幇助に反対

Palliative Medicine 誌に 英国の医師に終末期医療について質問した Queen Mary UniversityのClive Seale教授の調査結果が2つ報告されていて、 まず、 現場の医師が終末期の患者の命を縮めるために薬を与えることはほとんどなく、 あったとしても、せいぜい1…

障害者(児)歯科

今はずいぶん変わっているのかもしれないし、 変わっていてほしいと思いますが、 ウチの娘が小さかった頃は障害のある子どもを見てもらえる歯科が少なく、 大学から定期的に若い医師が送られてくる障害者センターの歯科ですら 医師の意識は本当にお粗末で 親…

「英国政府のデータベース4分の1は人権侵害」と報告書

このところ問題になっている英国政府の国民データベースですが、 The Joseph Rowntree Reform Trust という組織が出した報告書で 英国政府が現在整備したり、または進めている国民の各種データベースのうち、 4分の1は黒人、一人親家庭、子どもたち社会的弱…

米国の自殺幇助:合法化はOR, WA, MT, 検討中がHI, NH, NMの各州

2月末のFEN幹部の逮捕について米国医師会新聞が取り上げており、 事件そのものについて目新しい内容はないのですが、 一度確認しておきたかった周辺情報があったので、メモとして。 ・ 米国で現在、医師による自殺幇助を合法化しているのは オレゴン、ワシン…

Wilfond医師が「重症児へのコスメティックな手術も親の決定権で」

Benjamin Wilfond 医師と言えば、 シアトル子ども病院Trueman Katz 生命倫理センターのディレクターで ”Ashley療法”論争にもメディアやネットにちょっと怪しげな立場で登場、 去年のワシントン大学の成長抑制シンポにも登場していたし、 その後の成長抑制ワ…

Not Dead Yet、S・Drake氏のFEN批判

米国のNot Dead Yet は「まだ死んでいない」という名前の 障害者の人権活動団体。 Kevorkian医師がターミナルではない障害女性への自殺幇助で無罪になったことを機に1996年に設立され、 その後一貫して自殺幇助の合法化に対して抵抗運動をしています。 サイ…

Biederman医師、治験前にJ&J社に結果を約束

当ブログで去年あらまし追いかけていたBiederman医師のスキャンダル続報。 (これまでのエントリーは文末にリンク) 著名児童精神科医Biederman医師には 製薬会社からの金銭授受を「利益の衝突」として適正に申告していなかった疑いと、 製薬会社の利益にな…

学習障害の権威、患者への性的虐待疑惑で医業停止に同意

去年の8月に学習障害の権威に患者への性的虐待疑惑のエントリーで取り上げたニュースの続報。 もうここ数年診療は行っていないとのことですが、 患者多数から性的虐待をめぐる訴訟を起こされている学習障害の権威Melvin D. Levin医師が North Carolina州の…

「重い障害負って何年も生きるくらいなら私は片道切符でスイスへ行く」と英労働党議員

海外への自殺幇助ツーリズム容認方向への 前保健相の法改正動議と、自由投票をめぐって にわかに議論が沸騰している英国議会。 労働党の70歳の議員 Ann Cryer氏が 重病や重い障害を負うことになったら自分は片道切符でスイスへ行く、と発言。 既に子どもた…

「ターミナルな患者を自殺のため海外へ連れて行くのは合法に」と英国前保健相

あれもこれも盛り込んであるのに自殺幇助の合法化が漏れているのがナンセンスだと Tom Shakespeareが批判していたthe Coroners and Justice 法案に 前保健相のPatricia Hewitt氏が自殺幇助に関する法改正を提案。 ブラウン首相自身は以前から表明しているよ…

9ヶ月乳児への無益な治療停止の権利、高等法院が病院に認める(英)

男児は生後9ヶ月で、珍しい代謝障害がある。 脳に損傷を受けており、呼吸困難のため人工呼吸器を使用。 名前はOTとのみ。 OTを治療している病院を運営するNHSトラストは (どこのトラストかは法律上の理由から明らかにされていません) OTには回復の見込み…

オレゴンの自殺幇助ほぼ全員がホスピス・ケアを受けていた、という怪

なんとも妙な話が出てきている。 去年Oregon州で尊厳死法にのっとって幇助自殺を遂げた人が60人というのは 以前にも報道されていましたが、 このたび、死の自己決定権のアドボカシー団体 Compassion & Choiceがプレスリリースで その60人のうち1人を除…

Ashley事件リンク集 6:Gunther医師の自殺

ニュース記事 Oct. 10, 2007 http://seattlepi.nwsource.com/local/335019_gunther11.html?source=rss (SP-I, the title says his death is “ruled a suicide”) http://seattletimes.nwsource.com/html/localnews/2003940574_webgunther10m.html (Seattle Ti…

FEN創設者GoodwinのAP通信インタビュー

違法な自殺幇助が問題となっているThe Final Exit Networkの創設者で 今回Georgia州の男性のヘリウムによる自殺幇助容疑で逮捕され保釈中のTed Goodwinが 17日にAP通信のインタビューを受けています。 Goodwinは逮捕されるまでFENの会長でした。 余命が数…

ルクセンブルクが安楽死を合法化

去年12月に 議会が通した安楽死法案に大公が署名を拒否してニュースになっていたルクセンブルクで その後、議会が憲法改正によって大公から拒否権を奪い、 火曜日16日に安楽死法案を成立させた、とのこと。 安楽死はリビング・ウィルまたは事前意思指示…

子ども病院はWPASとの合意を覆していた? (A事件)

久々にAshley事件について新発見。 WPASの調査報告書のシアトル子ども病院との合意内容を読んで ずっと頭に引っかかっていることの1つに、 発達障害児への成長抑制は裁判所の命令なしに行わないとの項目の中に、 「病院はWPASと協議した上で2007年9月…