「ターミナルな患者を自殺のため海外へ連れて行くのは合法に」と英国前保健相

あれもこれも盛り込んであるのに自殺幇助の合法化が漏れているのがナンセンスだと
Tom Shakespeareが批判していたthe Coroners and Justice 法案
前保健相のPatricia Hewitt氏が自殺幇助に関する法改正を提案。

ブラウン首相自身は以前から表明しているように自殺幇助の合法化には反対、
しかし、この改正案については議員個々の自由投票とする、と。

既に100人の議員が支持を表明。

だたし、自殺幇助に関する法律改正といっても、
ここでは去年から論議を呼んでいるMS患者Debbie Purdyさんの訴えに沿ったもので、
Oregonでのような医師による自殺幇助を合法化しようという話ではありません。

海外へ行って医師の幇助を受けて自殺したいと望むターミナルな病状の人が
自力で海外へ行くことはできないので家族や友人がその手助けをした場合に、
現在の英国の法律では自殺幇助とみなされて罪に問われる可能性があるため、

将来、スイスのDignitasで医師による幇助を受けて自殺したいと望んでいるPurdyさんは
その時に夫が自分をスイスに連れて行くことで帰国時に罪に問われないように
裁判所に対して法律の明確化を求めたのでした。

それに対して最高裁
法律を変えることは裁判所の仕事ではなく政治の仕事だと突っぱねたものの、
そういう人が罪に問われたとしても裁判所は罰則を科さないとする方向性を
暗に打ち出した、という展開となっています。

(詳細は以下の関連エントリーに)

しかしHewitt前保健相は
長期的にはセーフガードを整備した上で英国内で
意思決定能力のある成人がターミナルな病状で苦しんでいる場合には
幇助自殺が選択できるように法改正をするべきだ、とも述べており、

国内での自殺幇助合法化議論はますます加速するものと思われます。


Hewitt wants suicide law change
The Reuters, March 20, 2009




【3月24日追記】
Hewitt前保健相の改正案は下院の時間切れで審議されずに終わったようです。


【Purdy ケース関連エントリー