2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

2010年3月31日の補遺

カナダ医師会雑誌CMAJのエディトリアルが、「安楽死」という用語をやめようと提言。肯定論、否定論の双方がお互いに自分のサイドに都合のよい解釈で、それぞれ別の意味で使い、議論が混乱している、と。 http://www.medicalnewstoday.com/articles/183925.ph…

米国小児科学会が「子どもの突然の死にも親が臓器提供を忘れぬよう働きかけを」

3月29日にオンラインで刊行された学会誌 Pediatrics の4月号で 米国小児科学会は臓器提供・移植に関する新たな方針 Pediatric Organ Donation and Transplantation を出した。 子どもの死は突然、思いがけない形で起こることがあるために、 家族が臓器提供に…

Terri Shiavoさんの命日に寄せて

5年前の今日、2005年3月31日に、Theresa Marie Schindler Schiavoは死んだ。 5年を経た今、多くの人がなお、アメリカはなぜ あんなことを許してしまったのか、理解しようとして、できないでいる。 障害があり、夫と安楽死セクトが満足するほどQOLが高くない…

2010年3月30日の補遺

シンガポールでも安楽死の合法化を、との声が上がっている。法学者から、というのは新しい。記事のタイトルが、あまりにもミもフタもない“まんま”の真実だけに、ぎくりとさせられる。Killing the Dying 死にゆく人を殺すこと。 http://theonlinecitizen.com/…

流れが決まったら学者さんは口をつぐむ……ものだとしたら?

Ashley事件を追いかける過程で、 いろんな人の反応を見て感じてはいたことだけど、 最初に、この疑問をはっきり意識したのは、去年1月に 日本で「クローン肉の安全宣言」が出された時のことだったと思う。 まずは「クローン肉たべろ」という人に3世代食べ続…

救済者兄弟について:これまでのエントリーのまとめ

欧米のいくつかの国では、体外受精と遺伝子診断技術を使って 病気の子どものドナーとなる弟や妹を作ることが既に合法化されており、 このように兄や姉のドナーとして作られるデザイナー・ベビーは 英語では savior sibling 「救済者兄弟」と呼ばれています。…

2010年3月27日の補遺

「グレイズ・アナトミー」のシーズン6、エピソード18に、自殺幇助を求める患者が登場するらしい。私はこの作品は見たことがないので、読んでもイマイチよく分からないけど、タイトルは「自殺は無痛」とのこと。 http://downloadgreysanatomy.sequd.com/gr…

ウツ病女性の“闇の商業安楽死”でNZ警察が米国人女性を起訴

2007年8月にAudrey Wallisさんの自殺幇助の容疑で NZ警察は米国North Carilina在住の米国人女性(48)を起訴。 NZでは自殺幇助は英国と同じく、最高、懲役14年の犯罪。 ただし、このケースは米国とNZ間の引き渡し協定に当てはまらないため、 女性がNZに入国…

2010年3月26日の補遺

ロンドンのVictoria駅構内で、学校の制服を着た15,6歳の男子生徒たち10から15人の間で怒鳴り合いの諍いがあった。その翌日、15歳の少年が同駅構内で刺され、病院に運ばれたが死亡。この事件で20人が逮捕された。目撃者の証言によると、襲ったのは同じ制服姿…

OR州の尊厳死法は「陰謀と操作」と、医師団体から批判

去年1年間のOregon州における医師による自殺幇助の統計については OR州の「尊厳死」:97%にC&Cが関与、たった20人の医師がせっせと処方のエントリーで紹介しましたが、 そうした状況に対して、 自殺幇助に批判的な医師の団体Compassionate Careから Oregon…

英国の自殺幇助ガイドライン後、初の判断は不起訴

公訴局長DPPのガイドラインが最終的に出されて以来、初めての 自殺幇助事件の判断が出ています。 去年7月14日のエントリーで紹介した 英国の著名指揮者夫妻がDignitasでそろって自殺という事件で、 夫妻がDignitasを訪れた際に泊まるスイスのホテルを予約し …

2010年3月25日の補遺

【自殺幇助関連】 NZで、20歳の女性Margaret Pageさんが死にたいと望み、絶飲食を続けているそうだ。死の自己決定権のアドボケイトDignity NZの理事が書いたこの記事では、しかし、不思議なことに、その理由が何も述べられていない。記事の主要部分は、7割方…

「知的障害の原因となる遺伝子を突き止める検査ができた」とジェネティック企業

Ambry Genetics社は、 次世代型の遺伝子シークエンシング技術と、 従来型の複数の検査を組み合わせることによって 知的障害と脆弱X症候群と呼ばれる精神発達遅滞の原因を突き止めることができる The Ambry X-Linked Mental Retardation SuperPANEL という一…

Dr.Death をヒーローに祭り上げ、シャイボさんをヘイトスピーチで笑いものにするハリウッド

【4月26日追記】 以下の映画You Don't Know Jackは、ハリウッド映画ではなく 米国のケーブルテレビ局HBOがオリジナル作品として作成したものでした。 4月24日に最初の放送がありました。 今日書いたエントリーがこちら。 ------- (ここから、当初エ…

2010年3月23日の補遺

日曜日のNHKスペシャル「暗闇の世界」に対する、川口有美子さんの感想。:ALSについては、死の自己決定権の議論で何度も登場する病気でもあり、ある程度の知識はあったけど、それはただの頭の中の知識だったから、現実のALSの患者さんの姿をディテールごと克…

知的障害・貧困を理由にした強制的不妊手術は過去の話ではない

ここしばらくの間に、複数の方から タイと日本での障害者への強制的不妊手術関連の情報を教えていただいたので、 前に当ブログで取り上げた 90年代のペルーで「家族計画」の名のもとに行われた強制的不妊手術なども含めて、 まとめてみました。 ① タイ Inclu…

Debbie Purdyさんが本を出版

いずれ、出るだろうとは思っていましたが、 近親者の自殺幇助に関する法の明確化を求めて訴訟を起こし、 今回のDPPのガイドラインが作られるきっかけを作り、 また同時にアグレッシブに発言し続けている英国自殺幇助合法化キャンペーンの“顔” Debbie Purdyさ…

人類は2040年に滅亡、でもグローバル福祉国家は通産相兼務の厚生相がご活躍だから大丈夫?

以下の本を読んだ。 定常型社会 新しい「豊かさ」の構想 広井良典、岩波新書 私なりの、著者に申し訳ないほど、がさつな言葉でいえば、 成長とか前のめりの前進とか能力だけを価値とするガツガツ文化からの脱却が提案され、 持続可能な福祉国家としての定常…

2010年3月17日の補遺

近くどこぞで国際会議を開くGAVIが、「ドナー」にその会議に来いよと呼びかけている、というニュースを読んで、「途上国にワクチンを……と活動するゲイツ財団、WHO、UNICEFや世界銀行やシアトルこども病院の面々が、なんで臓器を欲しがるんだろう、もしやして…

Angela事件の判決文は、Ashley論文(06)と同じ戦略で書かれている 2

(前のエントリーの続きです) ・ 文章の構成上の工夫に、事実を隠ぺいするマヤカシが仕込まれている。 隠ぺいまたは情報操作が試みられているのは主として以下の点。 ① けいれん発作は薬でコントロールされており、重い生理によって誘発されることは「可能…

Angela事件の判決文は、Ashley論文(06)と同じ戦略で書かれている 1

Angela事件の判決文については3月11日にこちらのエントリー2つで 問題点を主に5点、指摘しました。 その冒頭で私が『絶句……』と書いたのは、 あの判決文の異様さ、「普通でなさ」に、 “Ashley療法”論争の当初、06年の主治医論文を読んで感じた「普通でなさ」…

「脳死でなくても心停止から2分で摘出準備開始」のDCDを、ERで試験的に解禁(米)

脳死でなくても、心臓の停止から、わずかな時間だけを待って臓器を摘出する 心臓死後臓器提供 donation after cardiac death (DCD)と呼ばれるプロトコルが 米国の医療現場でじわじわと広がっていることについて、 当ブログでは 障害者だからといって治療より…

2010年3月15日の補遺

前から補遺では何度も追いかけているように(エントリーにまとめられるほどの詳細までは把握していませんが)、70年代からアイルランドのカトリックの聖職者らによる児童虐待が教会幹部や警察までがグルになって隠ぺいされてきたことが明らかになり、大問題…

車いす男性に10代の子ども2人が鉄パイプで殴る蹴る(豪)

9日の夜、Sydneyの駅にいた車いす使用のカナダ人男性(35)が 10代の男の子2人に襲われた。 2人は、男性に近づいて、最初は言葉で脅していたが、 男性が彼らから逃れようとエレベーターに乗ると、追いかけてきて顔面を殴り、 男性がその勢いで後ろに倒れて車…

2010年3月12日の補遺

アップしたつもりで、アップしていなかったことに気付いたので、遅ればせながら。 一番最初の、英国の前保健相Hewitt氏の発言に、 自殺幇助だけでなく慈悲殺まで含まれていることが気になる。 【自殺幇助関連】 英国の前保健相のHewitt氏が、自殺幇助と慈悲…

障害のある子どもの子育て、介護一般、支援について、これまで書いてきたこと

3月12日のエントリーで 「どんなに重い障害のある子どもでも、一定の年齢になったら親元から独立して、 それぞれにふさわしい支援を受けながら、それぞれの形で自立して暮らしていける社会」と、 「そのような社会に向けて、 子どもも親もステップを踏んで自…

Isaiah君、死去:セカンドオピニオンで両親が延命継続を断念

病院が主張する呼吸器取り外しに抵抗して両親が訴訟を起こしていた カナダの重症障害新生児Isaiah君のケース。 3月11日、両親はIsaiah君の状態について中立のセカンドオピニオンに関して 裁判所のヒアリングに出席することになっていたようなのですが、 キャ…

重症児の子宮摘出承認でダウン症協会前会長・上院議員が検察に行動を求める(豪)

Angelaちゃんの子宮摘出が認められたことをうけ、 Queenslandの全ダウン症候群協会会長でリベラル派の州議会上院議、Sue Boyce氏が 検察に対して行動を求めた。 今回の家庭裁判所の決定を「21世紀に理解不能」 「障害のない11歳の少女から子宮が摘出されたら…

親の立場から、障害学や障害者運動の人たちにお願いしてみたいこと

Ashley事件を知った時から、事件や周辺の諸々を追いかけながら考え続けているのだけど 複雑だったり微妙だったりして、なかなか言葉にならなくて、 これまで思い切って書く勇気が持てずにきたことがあります。 今でもまだ、誤解を受けずに伝わるように書ける…

OR州の「尊厳死」:97%にC&Cが関与、たった20人の医師がせっせと処方

施行されてから12年のOregonの尊厳死法について 3つの重大な問題が統計を引いて指摘されています。 ① 精神科の診察が必要な人がそのままスル―状態で自殺させられている。 2009年に同法で幇助自殺した人が59人だったことは こちらのエントリーで紹介しまし…