2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「メモリー・キーパーの娘」に思うこと

生まれてきたダウン症児を死産だということにした医師と家族の物語 「メモリー・キーパーの娘」について紹介した前のエントリーに追記しようと書き始めたのですが、 長くなったので別エントリーを立てることにしました。 「メモリー・キーパーの娘]」につい…

「メモリー・キーパーの娘」

もうとっくに翻訳が出ているのだとばかり思っていたら 今朝の新聞に「いよいよ刊行」と広告が出ていたので、 ずっと前から一度触れたいと思いつつ そのままになっていたこの本を思い出して。 ひょんなことから妻の出産の際に自分で子どもを取り上げることに…

人工知能が人間をペットに?

2030年、2050年という将来には 自らをアップグレードしていく力を備えたスーパー・スマートな人工知能が世界を支配し、 知能の低い有機人間はペット扱いされているのだろうか。 そんな議論が、 世界中からトランスヒューマニストらが集まって開かれ…

10代アベックが障害女性を面白半分で暴行

こちらも「どうせ障害者だから」という若者らの声が聞こえてくるような陰惨な事件。 オハイオで16歳と17歳のアベックが 障害のある女性(18)の家に忍び込んで車を盗もうとしたものの 女性の母親がその車で出かけてしまったものだから 腹いせと面白半…

Navarro事件で検察が移植医の有罪を主張

臓器欲しくて障害者の死、早める?というエントリーで紹介した カリフォルニアのRuben Navarro事件(2006年冬)で、 昨日予備審理が始まり、 検察側が移植医の有罪を主張した模様です。 Transplant Surgeon Charged in Patient’s Death The New York Tim…

不妊手術に関する小児科学会指針

Diekema医師がCalvin大のTVインタビューにおいて、 「子宮摘出については米国小児科学会の指針などがあるので、 Ashleyの子宮摘出について倫理委は検討しやすかった」と述べたことについて、 WPASの調査報告書を読み返していたら、 ちょうど該当する脚注が目…

国民DNAデータベースめぐり論争再燃

6週間で5人の売春婦を殺した連続殺人犯が 5年前に窃盗で捕まった際に採取されたDNAのデータによって判明・逮捕、 21日に有罪となったことによって 国民DNAデータベースを賞賛する声が相次ぎ、 それに伴って対象が全国民に拡大される懸念の声も出て、 こ…

もし倫理委が医薬品だったら認可されないだろう

……とタイトル通りの名言を吐いたのは the University of Texas Medical Branch’s Institute for Medical HumanitiesのHoward Brody医師。 アメリカ医師会新聞電子版の今年1月28日付け記事 Willing, but waiting: Hospital ethics committees の中での発言…

プロザック実は効かないんだと

アメリカとカナダの研究者が FDAから未公開の情報も含めて治験に関するデータを全て入手して 詳細に検証した結果、 プロザックをはじめとする4種の抗ウツ剤の効果は 実はプラシーボと違っていなかった……という 驚くべき研究結果が報告されたとのこと。 ……じ…

Calvin大TVでのDiekemaインタビュー

2月17日に放送された Calvin大学の番組Inner CampusでのDiekema医師のインタビューが 以下のサイトからMedia Player で聞けるようになりました。 http://www.calvin.edu/innercompass/episode_descriptions/ 聴き取り能力があやふやな上に音声が小さいこ…

Ashley論文を書こうとしている学生さんのブログ

ごく最近、英語の(つまり国語)の授業で ブログを立ち上げてエッセイを書けという課題が出たもので (ネットを利用したこういう課題の出し方というのは面白いですね。) 仕方がないからブログを立ち上げて そのエッセイのたたき台の文章をアップし、 (この…

死体の展覧会

人間の死体にいろんなポーズを取らせて展示する催しが人気で、 それを業務にしている会社までちゃんと存在する……なんて ウソだと思いますよね。ふつう。 でも、これ、れっきとした事実のようで。 Cadaver exhibit making stop in Cincinnati under investiga…

ヘッドセットに脳派読んでもらってゲームする?

Emotivというアメリカ/オーストラリアの神経工学の会社が 脳波から読んだ思考や感情によってゲームにコマンドを送ることができる ヘッドセットを開発したのだとか。 原理としては脳波検査とほぼ同じみたいですが、 頭にべたべたゼリーを塗って電極をあちこち…

THニズムとラエリアンムーブメント

ほんの遊び半分に某SNSで検索してみたら 「トランスヒューマニズム」というコミュニティがちゃんとあるのに驚いて、 とりあえず覗いてみたところ THニズムについての解釈が ご本家世界THニズム協会とかなりズレているのはご愛嬌としても いや、たまげました…

思いがけないところにFostの名前

Washington University in St. Louisのサイトに 面白いプロジェクトが紹介されています。 自身が癌にかかったことがある倫理学者と 癌にかかった配偶者を介護したことがある倫理学者7人とで、 そうした個人的な経験を通して これまでの倫理学の様々な議論に…

D医師、今度はCalvin大でテレビ出演

Diekema医師の母校Calvin大学は Inner Campusという名前のインタビューTV番組を持っており、 毎週日曜日の午後1時からPBS局のWGVU-TVで放送されているのだそうで。 それでこの2月17日の日曜日のインタビューが 誰あろう、あのDiekema医師だったとか。 以…

カナダの「無益な治療」ケース裁判官の言

前のエントリーでとりあげたGolubchuk氏の「不毛な治療」ケースで きちんとした裁判で判断が下されるまで生命維持装置をはずしてはならないと 禁止命令を出した裁判官がその理由を述べた言葉が目に付きました。 この禁止命令によってGolubchuk氏には 「本人…

84歳患者巡る無益な治療論争、裁判へ(カナダ)

カナダで84歳の男性を巡って、 生命維持装置をはずすと主張する医師らと 生命維持装置をはずすのは宗教上の信条に反すると拒否する家族とが対立し、 去年の秋から論争になっていたらしいのですが、 このたび裁判所の判断を待つまで維持されることになった…

中学の成績が一生データベースに?

明日イギリスで発表されるらしいのですが、 すべての子どもが14歳になると一人ひとりに番号が振られ 14歳時点の個人情報と試験結果、停学や退学処分などが その番号でデータベースに記録されて 進学や就職に際して大学や企業がオンラインでアクセスでき…

障害者とテクノロジー会議にTHニスト? 2

今年のツアーの案内は見失ってしまったので、 こちらはユーディットが去年アクセシビリティ関連のMLに流した去年のツアー案内文の一節。 障害をお持ちの方にも、英語力に自信のない方にも、友人として以上の特別な 配慮はいたしません。事前に開設するMLで友…

障害者とテクノロジー会議にTHニスト? 1

California State University of Northridgeの障害センターの主催で 毎年3月に障害者とテクノロジー会議なるものが開催されているということを つい最近知って、 なるほど障害者支援技術の最先端ってどんなんだろう……と、 ちょっと興味を持ったものだから、…

シアトルは第2のシリコンバレーへと

Microsoftの本拠地がSeattleだというのは知っていましたが、 Amazonもそうだというのはこの記事を読むまで知りませんでした。 その Microsoft と Amazon の周辺に ここ12年ばかりの間に関連のベンチャー企業がどんどん生まれたり進出しており、 Microsoft…

従業員をパソコンで監視・管理する世界へ

ワイヤレス・センサーを使って 従業員の心拍数、体温、動き、顔の表情、血圧などを常時監視し それらのデーターが管理職のコンピューターに送られることによって、 従業員一人ひとりの生産性がモニターできる。 コンピューターは個々人の体重、年齢、健康状…

ミュウさんの動物識別能力

例えばタテヨコにいろんな動物の絵がずらっと並んだ絵本のページを開いて、 ミュウさんに「犬はどれ?」と聞いてみるとします。 すると、 彼女の指はかなりウロウロした後で 犬または猫あたりを差すこともたまにはあるけど、 キリンやらクマの上を彷徨い続け…

ミネソタの豚解体工場で奇病発生

ミネソタの豚肉加工工場で奇病が発生した模様。 1300人の工場職員のうち12人に手足の痛み、しびれ、脱力が起こり、 多くの場合、不快を感じる程度で不自由が起こるほどではないが 中には歩行困難をきたした人も。 時間と共に軽快はするが完治した人はいない…

Ashley事件・市場テロ・射水事件 2

射水市民病院の呼吸器外し事件では 事実からかけ離れた“物語”が作られ それが時代の空気とニーズによって利用されていったのではないか……との 前のエントリーでの考察をAshley事件に転じてみると、 医師らとAshley父とメディアとが共同で作りあげた“物語”は …

Ashley事件・市場テロ・射水事件 1

前に 「尊厳死」に尊厳はあるか─ある呼吸器外し事件から」(岩波新書 中島みち著) を読んだ時に、 2006年3月に報道された射水市民病院の医師による呼吸器外し事件でも メディアの報道とそれを受ける側の意識とが事実と全く違う物語を一人歩きさせていった、…

薬が病気を広げる社会

これまた少し前の記事になりますが、 製薬会社が薬を作ったり宣伝することで 医師によっては存在そのものを疑う病気が社会的認知を受け、 プロザックのように「薬が病気を作っている」状況があるのではないか…… とNYTimesが疑問視しています。 Drug Approved…

英国ハイブリッド胚にGOサイン

ちょっと前のニュースですが、 英国でずいぶん前から論争になっていた動物と人間のハイブリッド胚の問題で いよいよGOサインが出たとのこと。 日本でいうと政府のパブリック・オピニオンの募集とかヒアリングとか、 そういう国民からの意見聴取を 英国ではど…

Henderson記事に思うこと

Helen HendersonのAshley記事について触れたついでに、 その中で紹介されている興味深い論点について。 私が気に入っているのは サウス・カロライナの市民権(civil rights平等権?)弁護士の指摘。 親に決定権があるべきです。が、問題はどこにリミットを設…