トランスヒューマニズム

人間の欲望のオモチャにされたチンパンジーの物語・映画「プロジェクト・ニム」

7月8日に米国で封切りになったドキュメンタリー映画 “Project Nim”。 映画の予告映像は、こちらの日本語サイトで見ることができます。 このサイトの説明によると、 手話を駆使して人間と会話することで世界的に有名になった チンパンジーのニムの生涯をまと…

トランスヒューマニストの「永遠に生きる確率を劇的に向上させる8つのヒント」

前のエントリーのBBC記事 「英国人は科学者から出てくる癌予防アドバイスにいい加減ウンザリ」を読んで思い出したので、 先週、Ashley事件がらみの調べ物で見つけて (英語ブログでは、まだAshley事件をシコシコやっているもので) 「ぶわっ」と笑わせてもら…

世界トランスヒューマニスト協会の米国支部1つはシアトルに

久しぶりに世界トランスヒューマニスト協会の公式ページを覗いてウロウロしていたら、 確かに以前はあったはずの日本支部が、いつの間にやらなくなっていました。 まぁ、前から、一応支部があることになってはいても、 連絡先をクリックしても開かなかったり…

脳とコンピュータのインターフェース研究(UW)

今年の5月にもピッツバーグ大の研究で同じ話が出てきていましたが、 今度はワシントン大学の研究チーム。 サルの腕の神経の連絡を人為的にブロックしておいて、 脳とコンピューターを接続したら 脳の信号を読み取って麻痺しているはずの腕が動いた、 いや、…

「サルに法的権利を」活動団体GAP、本拠地はシアトル

前のエントリーチンパンジーに法的権利認めるを書いた時に覗いてみたサイト Great Ape Project(GAP) 大型類人猿に法的権利を認めようと活動する世界規模の組織のようで、 6月にスペイン議会がチンパンジーの法的権利を認めた決議については、 「スペイン…

チンパンジーに法的権利認める(スペイン)

法的強制力を持つものではありませんが、 サルに動物園での飼育は認めるものの サーカスやその他の芸をやらせてはならないという決議が スペインの議会で行われた、とのこと。 世界各地でチンパンジーを始めとする大型類人猿に法的権利を認めようとの 動きが…

オリンピック選手は人体改造実験マウスなのか?

北京オリンピックを機に、 ステロイド解禁論がまたぞろ出てきているようで、NYTimesにも。 Let the Games Be Doped By John Tierney The New York Times, August 11, 2008 解禁論者の主張は大体いつも同じなのですが、ここでもまた、 現在のドーピング検査は…

飲むだけで運動効果が得られる薬

まだマウスでの実験段階らしいのですが、 飲むだけで脂肪を燃焼して筋肉を発達させ、 運動機能がアップするという薬が開発されており、 なかなかいい結果を出しているのだそうで。 ‘Fitness pill’ being developed BBC, August 1, 2008 研究している人は、 …

治療法研究より老化防止で医療費削減を

元論文の情報がないのがちょっと不思議な記事なのですが、 University of Illinois at Chicago の Dr. Olshansky、 University of WashingtonのDr. George Martinをはじめ 米英の老年学などの研究者総勢12人が 先進国で医療費の高騰が社会問題となっている…

「サイボーグ患者宣言」

現代思想3月号に「サイボーグ患者宣言」と題して ロボット工学の世界的権威、筑波大学大学院の山海嘉之教授と 生命倫理学者で立命館大学大学院の松原洋子教授が対談しています。 山海教授が作ったロボット・スーツHAL(Hybrid Assistive Limb)は 国内はも…

ステロイドの副作用は過小に報告されている

ステロイド剤の誤用・濫用はもはやスポーツ界だけの問題ではなく、 広く社会に行き渡って、保健医療の問題となっているにも関わらず、 保健行政には副作用のデータがきちんと上がっていない、として、 薬物によってはスポーツでパフォーマンス向上の効果があ…

ある作家の違法ステロイド体験

これから書く小説のために 違法ステロイドの1サイクル16週間で肉体改造を試みたカナダの作家が Guardianの日曜版Observerに体験談を書いているのだけど、 これがまるで一遍の短編小説のような抜群の面白さだった。 具体的な事実を何も知らないまま「ステロイ…

「高齢者は不幸」もステレオタイプ

シカゴ大学の社会学の研究者が 1972年から2004年までの間に18歳から88歳までの28000人を調査したところ、 歳をとるほど自分の人生はだんだんと好いものに感じられるようになるという結果が出た。 (同じ人をずっとフォローしたのではなくて…

「デザイナー・ベイビー作ろうよ」と倫理学者

W・Postにこのエッセイを書いたのは Dartmouth大学の生命倫理学教授 Ronald M. Green。 Building Baby From the Genes Up The Washington Post, April 13, 2008 「赤ちゃん製作は遺伝子から」とでも訳したいタイトルの この文章の冒頭、Greenが引っぱってく…

「幼年期の終わり」はやっぱりTHチックだった

もともと小説でも映画でもSFというジャンルが苦手なので 読んだことがなかったし、正直なところアーサー・C・クラークという作家にも興味がなかったのですが、 新聞で追悼記事を読んでいるうちに THニストたちの夢の萌芽がこういうところにあるんだろうなと…

Kurtzweil「今より10億倍もベターな世の中に」

トランスヒューマニストのRay Kurtzweilが 13日のWashington Postで エネルギー問題も貧困も最新テクノロジーが解決し、 人の寿命は毎年1年ずつ延びていくというバラ色の未来図を またまた、お得意の「指数関数的速度」という言葉を頻発して描いてみせていま…

人工知能が人間をペットに?

2030年、2050年という将来には 自らをアップグレードしていく力を備えたスーパー・スマートな人工知能が世界を支配し、 知能の低い有機人間はペット扱いされているのだろうか。 そんな議論が、 世界中からトランスヒューマニストらが集まって開かれ…

プロザック実は効かないんだと

アメリカとカナダの研究者が FDAから未公開の情報も含めて治験に関するデータを全て入手して 詳細に検証した結果、 プロザックをはじめとする4種の抗ウツ剤の効果は 実はプラシーボと違っていなかった……という 驚くべき研究結果が報告されたとのこと。 ……じ…

ヘッドセットに脳派読んでもらってゲームする?

Emotivというアメリカ/オーストラリアの神経工学の会社が 脳波から読んだ思考や感情によってゲームにコマンドを送ることができる ヘッドセットを開発したのだとか。 原理としては脳波検査とほぼ同じみたいですが、 頭にべたべたゼリーを塗って電極をあちこち…

THニズムとラエリアンムーブメント

ほんの遊び半分に某SNSで検索してみたら 「トランスヒューマニズム」というコミュニティがちゃんとあるのに驚いて、 とりあえず覗いてみたところ THニズムについての解釈が ご本家世界THニズム協会とかなりズレているのはご愛嬌としても いや、たまげました…

障害者とテクノロジー会議にTHニスト? 2

今年のツアーの案内は見失ってしまったので、 こちらはユーディットが去年アクセシビリティ関連のMLに流した去年のツアー案内文の一節。 障害をお持ちの方にも、英語力に自信のない方にも、友人として以上の特別な 配慮はいたしません。事前に開設するMLで友…

障害者とテクノロジー会議にTHニスト? 1

California State University of Northridgeの障害センターの主催で 毎年3月に障害者とテクノロジー会議なるものが開催されているということを つい最近知って、 なるほど障害者支援技術の最先端ってどんなんだろう……と、 ちょっと興味を持ったものだから、…

「不老革命」とLeon・Kass そして「葉っぱのフレディ」

文藝春秋2月号の対談「不老革命」で思い出したのは、 つい先日読んだ本の一節。 若さを持続させることを望む人々は、たいてい子どもに敵意を抱く。 子どもたちは後からやってきて、自分たちの場所にとってかわってしまうからだ。…… ……かつて私たちの種を蒔…

日本版「不老革命」

今朝、新聞を見て思わず「わ、ついに出た」と口をついたのは、 「文藝春秋」2月号の特集タイトルが目に飛び込んできたから。 「不老革命 アンチ・エイジングの衝撃」 キャッチは 「寿命はどこまで伸びるか? 知の巨人たちが論じ尽くす」 立花隆、茂木健一郎…

クローン肉、本当に食べるって?

米国FDAは今年中にクローン肉とクローン牛乳の販売を認める方針だとのこと。 Producers Favor Tracking Cloned Animals Washington post (AP), December 20,2007 クローン動物は科学的には自然に生まれた動物となんら変わらないから大丈夫、 とFDAは言って…

Watsonの遺伝子16%黒人由来だと

……というタイトル通りの内容の記事が 12月10日に Independentに。 Revealed: scientist who sparked racism row has black genes ヨーロッパ系の人の大半はアフリカ系の遺伝子が1%以下というのが通例らしく、 今年の初めにJames Watson博士が自らイン…

Watson発言で人種間のIQ差論争再燃?

アフリカ人はヨーロッパ人よりも知的レベルが低いとする James Watsonの人種差別発言騒動はもう終わったと思っていたら、 「いや、確かにWatson発言には科学的裏づけがある」という声が出たり それに対する反論がネットでは続いているらしく、 なんのことは…

サイボーグ社会の”市民権”

Hughesはその著書 “Citizen Cyborg”において、 近未来の民主的サイボーグ社会は、 生命のタイプ別に与えられる権利を規定するとしています。 彼の分類では生命のタイプは4つ。 まず、最も上のランク。 ①完全な市民権(自己決定、投票と契約を結ぶ権利)を与…

he と she の新たな文法?

前のエントリーでJames Hughesの著書(の目次)について書いた際に、 ごく一部を読んでいて、とても不可思議な文法に気づいたのですが、 意識してか無意識にか、Hughesがチンパンジーを受ける人称代名詞は she なのです。 別に特定のチンパンジーが話題にな…

Hughesの「サイボーグ市民」

今年の前半のいつだったかにNaamの「超人類へ!」を読んだ後で、 Ashley事件で大活躍をしたJames Hughesの”Citizen Cyborg”という本を買い、 何度も読もう、読もうと努力はしているのですが、 Introductionの先へと、これが、どうにも進めない。 Hughesは2…