Kurtzweil「今より10億倍もベターな世の中に」

トランスヒューマニストのRay Kurtzweilが
13日のWashington Postで
エネルギー問題も貧困も最新テクノロジーが解決し、
人の寿命は毎年1年ずつ延びていくというバラ色の未来図を
またまた、お得意の「指数関数的速度」という言葉を頻発して描いてみせています。

Making the World A Billion Times Better
By Ray Kurtzweil
WP, April 13, 2008

彼はIT技術のおかげでアジアの貧困は半減したと書いているのですが、

彼が言っているのは中国とインドのことなのかもしれないけど、
国全体が経済成長を遂げているとしても、
国内の格差はほとんど人命軽視の次元ほどに広がっているのんじゃないのかいな。

世界中を嵐のように席巻しつつあるグローバリズムによって
アジアやアフリカの貧しい国はどんどんと
さらなる貧困へと追い詰められているのではなかったのかいな。
(さすがにKurtzweilもアフリカの貧困に触れてはいませんが。)

もう1つ「え?」と思ったのは、記事の最後でKurtzweilが
「コンピューター・サイエンティストであり発明家」と紹介されていること。
今まで発明家とか未来学者だとか紹介されるのは見たけど、
彼が「科学者」だったとは知らなかった……。


この記事を読んで思い出したのですが
そういえばWPには年明け前後に次のような記事がありました。




前者は
ヨーロッパや日本が人口減と高齢化に悩む中で
米国だけは順調に人口が回復し始めているんだぞ、と
その大きな要因を
働く女性への育児支援施策の充実と国民の宗教心の厚さに勝手にこじつけて
得意そうに胸を張る……といった趣の記事なのですが、
(実は子沢山文化の移民の流入が主因との声も)

その一方で首都の子どもの3分の1は貧困に苦しんでいるという
後者の記事が懸念しているような現実もある。

そういえばブッシュ大統領が無保険の子どもたちへの医療保障予算をカットした
という話も去年あったと記憶しているのですが、

米国の子どもたちがまともに医療を受けられていないという問題は
頻繁に耳にするところでもあり、

Kurtzweilが言うほど問題は単純ではないのでは?