2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

2011年11月30日の補遺

「重い障害をもつということ」の高谷清氏、広島大学のペスタロッチ―教育賞を受賞。今日、授賞式。 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201110210152.html 【関連エントリー】 高谷清著「重い障害を生きるということ」メモ 1(2011/11/22) 高谷清著「重い障…

Savulescuが「現代医学では“最善の利益”と“道徳的地位”が指標。医師が勝手な中絶拒否するな」

The Medical Journal of AustraliaでJulian Savulescuが 医師のconscientious objection(良心的医療拒否:個人的思想信条による医療拒否)は 「危険な道徳的相対主義」であり、現代医学には無用、と主張。 それに対して、アデレイドの小児科医 Brian Conway…

2011年11月29日の補遺

「いのちのバトン」。要介護者の医療情報や家族情報を筒に入れ、冷蔵庫に入れておく。緊急時に備えた「いのちのバトン」。:週末に出張先で初めて知った。じわじわと普及しているらしい。 http://www.fukushiokayama.or.jp/kasaoka/inotibaton/setumei.htm …

「知事にガツンと言うたった」高校生の法螺ツイートに知事室が反応、校長が謝罪文を迫る

政治家がわざわざスタッフを置いて 毎日、インターネット上に流れる情報の中から 自分に関するものをチェックしている……って、ご存知でした? 米国カンザス州のBrownback知事の「コミュニケーション担当」スタッフ、 Sherrinene Jones-Sonagさんは毎日ツイッ…

2011年11月25日の補遺

一人でも多くの人に読んでもらいたくて、7月11日の補遺で紹介した認知症の人と家族の会顧問、三宅貴夫医師の連載「認知症の妻の介護で見えたこと」(「介護保険情報」2010年4月から2011年3月)がまとめて読めるようになったみたい。この連載は毎月ほんとうに…

平等と人権コミッションから「劣悪な在宅介護が高齢者の人権と尊厳を侵している」と制度改革を求める報告書(英)

平等と人権コミッションは今年すでに 施設での高齢者ケアのお粗末について指摘したらしいのだけど、 今度は1200人の高齢者と友人、家族に在宅ケア体験について調査するなどしたところ、 半数は現在の在宅ケアに満足していると答えたものの、 地方自治体から…

ガーダシルは「子宮頸がんだけじゃなく性器イボも予防」と英国政府がサーバリクスから乗り換え

日本でも当初のサーバリクスにガーダシルが追加され、 いつのまにか「子宮頸がんワクチン」→「子宮頸がん予防ワクチン」と 名称を進化させていくHPVワクチンですが、 英国では「性器イボ予防ワクチン」なる別名もゲット? 余りにもエゲツナイ売り込み戦略が…

2011年11月24日の補遺

メルクがリュウマチの治療薬Vioxxについて、心臓へのリスク情報を隠すなどした違法なマーケティングをめぐり、有罪を認めて3億2100万ドルの罰金の支払いに合意。その他、連邦政府に4億2600万ドル、メディケアに2億200万ドル。:これ、8月に以下のエントリー…

「丁寧なドナー・ケア」は医療職の抵抗感をなくしてDCDをさらに推進するため?

前のエントリーでとりあげた論文について Anesthesia & Analgesiaの同じ号に掲載された論説。 Donation After Cardiac Death and the Anesthesiologist Anesthesia-analogesia, May 2010, Volume 110, Number 5 まず、米国のみならず国際的にも DCDが推奨…

「DCDで生命維持停止直後に脳波が変動」するから「丁寧なドナー・ケアのために麻酔を」という米国医療の“倫理”

何度も取り上げているDCD(心臓死後臓器提供・ここでは特に「人為的」なもの)関連で ある方から、以下の症例報告の論文をいただきました。掲載は去年5月、麻酔学の専門誌。 Processed Electroencephalogram During Donation After Cardiac Death Anesth Ana…

2011年11月22日の補遺

今日のエントリーで高谷医師の「重い障害を生きるということ」と拙著「アシュリー事件」とを不遜ながら並べて書いたことに内心たいそう忸怩たるものを感じていたら、「ホンの本好きマンガ好き」というブログが、この2冊を続けてエントリーで紹介してくださっ…

高谷清著「重い障害を生きるということ」メモ 3

前のエントリーからの続きです。 一つだけ、もしかしたら アシュリーやミュウが重症身障害児・者の幅広いグラデーションの中では むしろ「軽い」方に類するから、という面はあるかもしれないのだけれど、 重症障害児・者の「意識」について書かれていること…

高谷清著「重い障害を生きるということ」メモ 2

前のエントリーからの続きです。 この本を読みながら重い障害のある子どもをもつ身として非常に強く感じるのは 「こんな医師もいたんだぁ……」という率直な驚き。この感想はミュウの父親も全く同じだという。 著者は若い頃に全障研に参加し、「医療に対する怨…

高谷清著「重い障害を生きるということ」 メモ  1

「重い障害を生きるということ」 高谷清著 岩波新書 高谷氏は京大付属病院、大津赤十字病院などを経て 1984~1997年、重心施設、第一びわこ学園園長を務めた医師。 現在も同学園の非常勤医師。 当ブログで高谷氏について書いたエントリーはこちら ↓ …

2011年11月21日の補遺

自殺幇助合法化に向かってまっしぐら……とすら思えるカナダで、Calgary Heraldが「殺される権利なんかない」と勇気ある社説を書いている。:カナダのメディアだって、まだすべてが「あちら側」にとりこまれてしまったわけではない。拍手。 http://www.calgary…

利益が全くない心肺蘇生を親が諦めないケースでの倫理委の検討過程

前のエントリーの続きです。 ② Katherineのケース ケースの概要は以下。 妊娠32週目の出産。1680グラム。 早産による呼吸障害で 生後4日目まで人工呼吸器、その後4日間鼻チューブ。 その後も夜間無呼吸症候群。腸ろうによる栄養摂取。 生後25日目に腹腔内出…

トリソミー13の新生児に心臓手術を認めた倫理委の検討過程 2

前のエントリーの続きです。 Daniel君のケースでの心臓手術について検討された利益は、 ① 延命。 ② 長らえた命を生きる間に本人が感じる喜び ③ VSDで死ぬと苦しい死になるので、その軽減になる。 ④ 親にとって息子が生きることは喜び ⑤ 2人の子どもにとって…

トリソミー13の新生児に心臓手術を認めた倫理委の検討過程 1

17日の補遺で拾ったMedical Futility Blogの記事で紹介されていた NICUでの“無益な治療”判断において倫理委の役割を提唱する論文。 The role of a pediatric ethics committee in the newborn intensive care unit M.R. Mercurio, Department of Pediatric…

2011年11月19日の補遺

自殺幇助合法化をめぐる住民投票に向け、署名活動が進むマサチューセッツ州で、ショッピング・モールなどで「ターミナルな人への思いやりを」などと曖昧な文言での署名活動が行われているらしい。 http://www.thebostonpilot.com/article.asp?ID=14014 NY大…

今週のミュウ 1

"今日は個別活動(スタッフと1対1で好きなように過ごせる時間)でした。 最初、売店に行くのはどうする? と尋ねると、「行く~~!」という返事だったので、散歩がてら売店へ行きました。 雑誌売り場の前で眺めていると、TV雑誌(表紙がキムタク)に目が止…

英国の介護者支援チャリティが介護に関する意識調査

英国の介護者支援チャリティの老舗 The Princess Royal Trust for Carersの調査で 2059人に介護について意識調査を行ったところ、 自分が病気で不自由になった時に 入浴と食事のケアを友人に頼もうと考える人は26%。 一番頼みにくいのはトイレの介助で、 下…

2011年11月17日の補遺

英国での一方的なDNR指定についてはこのところあれこれと情報を拾っているところだけど、米国でも、親が蘇生を希望したにもかかわらず病院の倫理委の判断によって新生児にDNR指定がされた事例が報告されている。 http://medicalfutility.blogspot.com/2011/1…

米国初のヒト胚幹細胞による脊損治療実験、突然の中止

Obama大統領が「科学の力で医療費削減を」と就任演説をした途端に始まった 米国で初めてのヒトでの胚幹細胞による脊損治療実験について、 以下のエントリーで拾いましたが、 早くも米国で胚性幹細胞による脊損治療実験にGO(2009/1/24) そこに、今回、突然の…

カナダ王立協会報告書、自殺幇助は「自己決定」で一方的”無益な治療”停止には「教育」のダブルスタンダード

昨日のエントリーで紹介したカナダ王立協会の報告書については 自殺幇助と自発的安楽死の合法化提言の部分でメディアが大騒ぎしている中、 さすが「無益な治療ブログ」(正確には「医学的無益性ブログ」だった)のPopeが この報告書の一方的な無益な治療停止…

2011年11月16日の補遺

①今日のエントリーで取り上げたカナダの王立協会の報告書の、自殺幇助合法化の勧告以外の内容についての記事。:できたら明日エントリーにしたい。 http://www.theglobeandmail.com/life/health/end-of-life/four-issues-raised-by-the-end-of-life-report/a…

カナダ王立協会の終末期医療専門家委員会が「自殺幇助を合法化せよ」

カナダのメディアが大騒ぎになっている。 安楽死防止協会(EPC)から昨日予告されていたカナダ王立協会の委員会報告書が出て、 意思決定能力のある成人は、たとえターミナルでなくとも、 規制・監督された制度下で十分に説明を受けた後に死を選択する「道徳…

2011年11月15日の補遺

Ashley事件のDiekema医師が Clinical Ethics in Pediatric: A Case-Based Textbookという本を出している。今年の9月刊行。利益相反、企業との関係、研修中の倫理問題、障害がある同僚や非倫理的な同僚との間に起きる倫理問題、など、ケース・スタディ中心に…

ジェネリック薬を売らせないビッグ・ファーマの「あの手この手」が医療費に上乗せられていく

米国のビッグ・ファーマって、 自分のところのいわゆるブロックバスター(大売れ商品)が 特許切れまで「ひとり大売れ状態」を続けるために ジェネリックを作っている会社に大枚を支払って 発売を延期してもらっている、んだそうな。 で、その出費分は当然の…

2011年11月14日の補遺

イリノイ州に、引き取り手のない遺体を検死官の判断で医学生の解剖に供することができる新法。:これは、前に日本のどこかの自治体で似たようなことをやっていたような記憶が……、と思って検索してみたら、09年7月1日の補遺にあった。「富山市が生活保護者の…

高齢者には食事介助も水分補給もナースコールもなし、カルテには家族も知らない「蘇生無用」……英国の医療

患者の立場から英国の医療の質の向上に向けて活動するチャリティ The Patients Associationから、患者や家族の生の声を拾った3つ目の報告書が出ている。 We’ve been listening, have you been learning? The Patients Association 報告書冒頭の、チャリティ…