平等と人権コミッションから「劣悪な在宅介護が高齢者の人権と尊厳を侵している」と制度改革を求める報告書(英)

平等と人権コミッションは今年すでに
施設での高齢者ケアのお粗末について指摘したらしいのだけど、

今度は1200人の高齢者と友人、家族に在宅ケア体験について調査するなどしたところ、
半数は現在の在宅ケアに満足していると答えたものの、
地方自治体からの委託事業者から派遣されるヘルパーによる
身体的、精神的、経済的虐待など人権侵害の実態が明らかに。

食事も水分も十分に与えられなかったり、
排泄に失敗して汚した衣類や寝具のままで翌日まで放置されていたり、
素っ裸にしたまま清拭する、酷い言葉を投げつける、金銭を盗む、など。

例えば、飲食の介助が十分に行われていないことの内には

自治体によって15分とか30分しかヘルパー派遣を認めないために
食事を作っても介助する時間がなく、
自分で食べられない人の目の前に食事を置いたまま去っていく。

② 「健康と安全のため」のルールの機械的運用で、
a. 不自由な高齢者がキッチンまで移動して自分でレンジで温めるのを
ヘルパーは立って見ている。
b. 認知症の高齢者に「食事は冷蔵庫に入れておきました」と言って
帰っていくので、言われた方は忘れて食べられないでいる。

③ できた食事を、わざと手の届かないところに置いたり、
視覚障害にある人に食事ある場所を教えないなどのイジメをする、など悪質なものも。


要因としては、

政府の緊縮方針で各自治体ともソーシャル・ケア予算をカットしているため
ケア支給時間が減っていること、

もともとヘルパーは最低賃金程度で雇われており
十分な研修も行われていない、

地方自治体による事業所の監督が不十分、

英国社会全体に高齢者に対する差別意識がある、など。

(「座ってて」と言う代わりに乱暴に身体を突いて椅子に押し戻す、
トイレに行きたいと訴えると「うるさい。今新聞を読んでるのに」と返す、など)

コミッションの報告書は「制度的欠陥がある」とし、改善を求めている。

報告書を受け、
政府は早速に在宅ケアの事業所への監査を命じたとのこと。

ただ問題として指摘されていることとして、
高齢者虐待防止法の対象となる介護職員による虐待は
入所施設でのものに限定されており、
在宅ケアにおける介護職員の虐待は対象になっていない、とも。