2011年11月17日の補遺

英国での一方的なDNR指定についてはこのところあれこれと情報を拾っているところだけど、米国でも、親が蘇生を希望したにもかかわらず病院の倫理委の判断によって新生児にDNR指定がされた事例が報告されている。
http://medicalfutility.blogspot.com/2011/11/futility-in-nicu.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+MedicalFutilityBlog+%28Medical+Futility+Blog%29

英国の自殺幇助合法化論者の一人でアルツハイマー病の作家 Terry Pratchettが、スイスのDignitasで自殺幇助を受けるための手続きを開始した、と発表。
http://www.guardian.co.uk/books/2011/jun/12/pratchett-starts-process-to-end-his-life?CMP=EMCNEWEML1355



WA州で09年に施行になったばかりの尊厳死法を自殺幇助だけではなく、ターミナルでない人の安楽死にまで拡大しようという声が上がっている。Wesley Smithがブログで拾っている。
http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2011/11/16/movement-begins-to-expand-wa-assisted-suicide-law/

オランダで安楽死した末期がんの女性の最後の日々を息子のMarc Weide氏がつづった日記が公開されている。:なんだか、もうグローバルに自殺幇助と安楽死合法化に向けたキャンペーンが展開しているとしか思えない。なんだよ、この同時多発的な動きは?
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2008/aug/23/euthanasia.cancer?CMP=EMCNEWEML1355

カナダでも特に先鋭的な自殺幇助合法化への動きを見せているケベック州の意見聴取で、住民の多くが合法化に反対、との結果。
http://www.lifesitenews.com/news/public-submissions-to-quebec-committee-overwhelmingly-rejected-euthanasia-a/

昨日のエントリーと今日のエントリーとで取り上げたカナダ王立協会の終末期医療に関する報告書について、批判的なレスポンスを拾ってみた。
http://fullcomment.nationalpost.com/2011/11/16/barbara-kay-euthanasia-report-is-reassuring-but-misleading/ (ミスリーディングだ、と)
http://www.vancouversun.com/news/report+assisted+suicide+lacks+balance+says+anti+euthanasia+group/5708982/story.html (偏っている、とEPC)


上記裁判で非常に興味深いシーンがあったらしい。ハーバード大学倫理学者が、原告側の証人として招かれたものの、この人は米国マサチューセッツ州で自殺幇助合法化の要望書の提出者の一人となっているなど明らかに合法化支持のスタンスの学者なので、彼女のデータは偏っているとして専門家証人として認められないとの抗議がでたとか。:それをいえば昨日の王立協会の委員会のメンバーだって合法化論者で固められていたとEPCは言っているし。さらに言えばAshley事件でシアトルこども病院が組織した成長抑制ワーキング・グループだって、最初からそういう顔ぶれだったし。だいたいヤリクチは同じだよね。
http://www.theglobeandmail.com/life/health/end-of-life/famous-medical-ethics-lecturers-credentials-challenged-in-euthanasia-case/article2239052/

今日のエントリーを書く際に久々にPrincess Royal Trust for Carersのサイトを覗いてみたら、保健省の依頼と資金提供でPRTCとCross Roads Careが介護者とインターネットについて調査していた。報告書が以下の How can the web support carers?。ざっと目を通した程度だけど、「支援を何でもネットで調達ということになると人との関わりが減る」「介護目的じゃなくてネットは息抜きと楽しみで使いたい」などが印象的だった。
http://www.carers.org/sites/default/files/executive_summary.pdf

NEJM誌からの日本語記事で「4価HPVワクチンは男性同性愛者の肛門上皮内腫瘍も予防」。:4価HPVワクチンとは日本でも追加で認可されたメルクのガーダシル。10月にCDCが男児にも接種を推奨していたから、こういう研究報告が順次出てくるんだろうなとは思っていたけど、それが早速にこうして日本語記事になるということは、やっぱり日本でも女児だけでなく男児にも、という話になっていくのか。詳細は以下にリンク。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/nejm/201111/522464.html



日本。成人用肺炎球菌ワクチンの助成を検討へ―民主・予防接種法小委が初会合。:子宮頸がん予防ワクチン、ビフワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンは2012年度の事業継続が決まっているんだって。いつのまにか「子宮頸がんワクチン」ではなく「子宮頸がん予防ワクチン」に呼び名が変わっている。厚労省の議論では「子宮頸がんを予防するエビデンスはまだないのだから『HPVワクチン』と称すべき」だという意見があったはずなんだけど。
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35981.html

日本。「生活自立支援」最多ペース 認知症高齢者の契約など代行 :高齢者を狙う貧困ビジネスが徐々に知的障害者に対象を拡大していくんだろうと予想していたけど、やっぱり……。
http://www.shinmai.co.jp/news/20111117/KT111116ATI090009000.html

昨日の補遺で拾ったkebichan55さんのブログ記事が書いていたSAPIOの記事、これかも? :考えてみたら、こういう製薬会社の手先的な精神医療も一種の貧困ビジネスと言えるのかも?
http://www.news-postseven.com/archives/20111116_67658.html

NYT。企業によっては、スモーカーと肥満の従業員に健康保険料を割り増し。
The Smokers’ Surcharge: Some companies are starting to penalize employees who smoke or are obese by raising their health care insurance costs.

グローバルな人身売買をずっと追いかけているNYTのコラムニスト、Nicholas D. Kristofがまた記事を書いている。6歳の子ども達が拷問やレイプ目的で売買されている、と。
The Face of Modern Slavery: When 6-year-okds are sold to be tortured and raped, it’s time for a 21st-century abolitionist movement to end human trafficking.

英国で若者の失業率21.9%。:超富裕層と企業だけが安泰でも、これでは人間の社会そのものが成り立っていかないのでは?
http://www.guardian.co.uk/business/2011/nov/16/youth-unemployment-hits-1m-uk?CMP=EMCNEWEML1355

英国NHSの治療を受けられるまでの患者の待機が長すぎると保健相が改善を約束。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/nov/17/nhs-waiting-lists-cut-government?CMP=EMCNEWEML1355