2011年11月15日の補遺

Ashley事件のDiekema医師が Clinical Ethics in Pediatric: A Case-Based Textbookという本を出している。今年の9月刊行。利益相反、企業との関係、研修中の倫理問題、障害がある同僚や非倫理的な同僚との間に起きる倫理問題、など、ケース・スタディ中心に。:非倫理的な同僚との間に起きる倫理問題……って、04年のアシュリーの手術の前後にDiekemaの周辺にいたシアトルこども病院の同僚医師らにいろいろご意見を聞いてみたいところだよね。それにしても、ざっと見た感じ、臨床倫理ってのは「いかに病院環境において製薬会社とうまいこと付き合いながら大過なく医師としての仕事をやりこなしていくか」という話であって、「患者への医療をいかに倫理的な姿勢で行うか」という話ではないみたい?
http://www.lybrary.com/clinical-ethics-pediatrics-p-125762.html

脳死臓器移植法を問い直す市民ネットワークが主催して13日に開かれたシンポジウム「このままでいいのか! 改定臓器移植法のこれからを考える」で、小松美彦氏からトゥルーオグの論文解説があった模様。トゥルーオグは当ブログでも興味がある人なので、その要点を某MLに小松氏が投稿されたとりまとめのまま以下に。
脳死者が生きていることを認めたうえで、「移植臓器の獲得のためには殺人も認められる必要がある」と言明し、「正当化された殺人」という概念を提唱したのが、1997年論文。
2008年の論文では、脳死者に加えて心停止ドナーも生きていることを認めたうえで、脳死基準も心停止基準も基準として正確ではないため、人工呼吸器を外して死に至る消極的安楽死が事実上認められているのと同じく、臓器摘出によって死に至ることも認められるべき、すなわち、「デッド・ドナー・ルール」の撤廃を提言。




昨日から始まっているカナダの自殺幇助合法化裁判で、自殺幇助を望みながら悲惨な死を遂げた人たちの家族が、次々に証言台で情緒的な語りを繰り広げている模様。
http://www.theprovince.com/news/Wife+recalls+horror+death/5711545/story.html
http://www.vancouversun.com/health/Landmark+right+challenge+begins+Vancouver/5709989/story.html

カナダ王立協会が自殺幇助合法化論者ばかりを集めて検討委員会を立ち上げたのは09年。それについては以下にリンクしたエントリーで書いた。そこから明日、一方的な合法化支持の報告書が出てくるらしい。おなじみAlex Schadenbergらの安楽死防止連合(EPC)から、そもそも委員会のメンバーがおかしいと、改めて指摘。09年に委員会が経ちあげられたのも、議会に合法化法案が出たタイミングだった。今回の報告書も、8月からの集団訴訟など大きな動きとぶつけてきたような感じがする。
http://www.digitaljournal.com/pr/490084



将来、肥満になりそうな子どもは3歳半から特定できるかも? :医療も遺伝子や脳科学の個体決定論でマイノリティ・レポート時代に突入していく。 んでもって、そういうことがまた製薬会社や科学とテクノの業界にとっては新たなマーケット創出に繋がっていったりも?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/237598.php

英国NHSのケアの質の悪さでケアの質コミッションの責任が問われているらしい。労働党が09年に設置したコミッション。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/nov/14/nhs-watchdog-faces-investigation?CMP=EMCNEWEML1355

Obama医療制度改革違憲性を問う裁判、最高裁へ。判決が出るのは次期大統領選挙の5か月前。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/nov/14/obama-supreme-court-healthcare-bill?CMP=EMCNEWEML1355

NYオキュパイ運動の本拠地、Zuccotti公園のキャンプ、強制排除。
http://www.guardian.co.uk/news/blog/2011/nov/15/occupy-wall-street-police-action-live?CMP=EMCNEWEML1355

サルマン・ラシュディの名前をめぐってFacebookの実名ポリシーで悶着があったみたい。NYT. Guardianが「FB側が謝罪して決着ついた」と。
Rushdie Runs Afoul of Web’s Real-Name Police: Salman Rushdie’s fight over which name he is allowed to use on Facebook points to an increasingly vital debate over how people represent themselves on the Web.
http://www.guardian.co.uk/technology/2011/nov/14/salman-rushdie-facebook-identity?CMP=EMCNEWEML1355

日本。製造業派遣「原則禁止」削除…民自公が大筋合意。:民主党って、一体何のために政権交代したんだ? と、この頃とみに思う。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111115-00000381-yom-pol