ジェネリック薬を売らせないビッグ・ファーマの「あの手この手」が医療費に上乗せられていく

米国のビッグ・ファーマって、
自分のところのいわゆるブロックバスター(大売れ商品)が
特許切れまで「ひとり大売れ状態」を続けるために
ジェネリックを作っている会社に大枚を支払って
発売を延期してもらっている、んだそうな。

で、その出費分は当然のこととして
患者の薬代に転嫁される。

その額、なんと毎年35億ドル。

なので、こうした慣行そのものに
禁止を求める声もあるのだけれど、

世界的に大売れのコレステロール低下薬リピトール(スタチン系薬剤)が
今月いよいよ特許切れを迎えるファイザー製薬はさらに新たな手口を考案したみたい。

リピトールのジェネリック薬は
インドのRanbaxyという会社が作っているのだけど、08年にファイザー
Ranbaxyと何やら今年11月までは売り出さないとの合意を取り付けたとか。

その合意の期限も特許の期限もいよいよ切れる12月1日以降を狙って、
Ranbaxy以外の製薬会社もリピトールのジェネリック売り出し競争を激化させている。

そこでファイザーが狙ったのは
薬局やその他薬のバイヤー向けに処方箋を取り扱う仲介業者。

そうした仲介業者に向けてリピトールの大幅値下げを持ちかけて
「仮に処方箋が他者のジェネリック製品で書かれていても薬局等にはリピトールを薦めてね、
とりあえず半年間続けてくれたらお安くするから」と。

で、仲介業者から薬局に対して、そういう指示が飛んでいる。
独立系の薬剤師の団体が暴いた。

リピトールの値下げによって自己負担分は変わらないから
患者は気付かないかもしれないけど、

雇用主とメディケアはジェネリックなら負担が下がるはずなのに
これまでと変わらない金額を払わされることになる。



つまりは、ビッグ・ファーマが儲け続けるためにキタナイ手を使うから、
ジェネリックが売り出されても医療費削減につながらない、ということですね。


去年からビッグ・ファーマのブロックバスターが相次いで特許切れを迎える
いわゆる「2010年問題」については、今年7月28日と8月9日の補遺で拾いました ↓


7月28日の補遺でMNTの記事を拾った際に既に
「特許が切れ、薬の値段が大幅に下がる……はずなのらしい」と書いたところをみると、

今回ProPublicaが書いているような事態は
その段階ですでに予測されていたということなのでしょう。




それから昨日の補遺でも以下のように書きながら、
私の頭に浮かんだのは「これもまたスタチンのマーケティング戦略?」だった。

9歳から11歳の子どものコレステロールの検査を、さらに17歳から21歳の間でも再検査を、とNIHからガイドライン
http://www.medicalnewstoday.com/articles/237562.php