カナダ王立協会の終末期医療専門家委員会が「自殺幇助を合法化せよ」

カナダのメディアが大騒ぎになっている。


意思決定能力のある成人は、たとえターミナルでなくとも、
規制・監督された制度下で十分に説明を受けた後に死を選択する「道徳上の権利」があるべきだ

そうした制度を作ることによって
弱者が脅かされるとか強制的な安楽死といった
「すべり坂」が起こるエビデンスはない、として、

自殺幇助と自発的安楽死の合法化を提唱した。

すべり坂を否定した下りは以下。

The evidence from years of experience and research where euthanasia and/or assisted suicide are permitted does not support claims that decriminalization will result in vulnerable persons being subjected to abuse or a slippery slope from voluntary to non-voluntary euthanasia.

(「すべり坂は起きない」というエビデンスは??)


EPCに言わせると合法化支持の立場の委員で固めてあったらしい委員会が
2年前に立ち上げられた時のエントリーはこちら ↓



今回「2年間の検討を経て」出てきた報告書 End-of Life Decision Making 本体はこちら ↓
http://www.rsc.ca/expertpanels_reports.php




しかし、文末にリンクした通り、
カナダ議会は去年、合法化法案を否決したばかり。

以下の記事によると、法務相Rob Nicholsonは「議論を再開する予定はない」と。


また、以下の記事によると、
党派を問わず政治家はこの問題に手を出しかねている模様。

またカナダ医師会は合法化に反対のスタンス。
(ただし文末にリンクしたようにケベック州の医師会は合法化支持)



しかし、カナダでは自殺幇助合法化を求めて訴訟が立て続けに起こされており、
ALSの女性Taylorさんが起こした訴訟では月曜日から審理が開始されたばかりとあって、
こちらのニュースは昨日の補遺にも拾っていますが、今日も多数出ています。
その一部を以下に。


この訴訟については11月14日の補遺で
以下のように、とりあえずの取りまとめをしています。

8月にいったん挫折したカナダのFarewell Foundationによる自殺幇助合法化集団訴訟の原告の一人でALS患者のGloria Taylorさん(63)が、改めて同じ趣旨の訴訟を起こしている。
http://www.ctv.ca/CTVNews/Canada/20111113/dying-woman-resurrects-assisted-suicide-debate-111113/
http://www.thestar.com/news/canada/article/1086165--landmark-case-renews-debate-on-right-to-die

この動きを受け、Calgary Heraldに安楽死防止連盟のAlex Schadenbergらによる合法化反対の論考。
http://www.calgaryherald.com/news/should+afraid+assisted+suicide/5703321/story.html

Farewell Foundationの訴訟については以下の補遺に ↓
2011年8月1日の補遺
2011年8月3日の補遺
2011年8月19日の補遺