カナダBC州最高裁からPAS禁止に違憲判決

3日ほど留守にして昨日帰ってきたら
その3日の内に自殺幇助関連で大きな出来事が2つも起こっていました。

一つがカナダで、もう一つはスイス(次のエントリーで)。
いずれも当ブログで既に拾って気になっていた話題でした。

まずはカナダのブリティッシュ・コロンビア州の大きなニュースを、
Globe and Mail紙の記事2つから。

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カナダのブリティッシュ・コロンビアB.C.州で多数起こされている訴訟のうち、
自殺幇助合法化ロビーthe Farewell Foundation for the Right to Dieが介入して
特に注目を集めていたALS患者のGloria Taylorさん(64)らの裁判で、15日、

BC州最高裁
自殺ほう助を禁じる刑法の規定について
「原告らの平等の権利を不当に侵害するもの」として、違憲と判断、
いくつかの条件付きでTaylorさんに自殺幇助を求める権利を認めた。

Taylorさんはそれを受け、弁護士を通じて以下のコメントを発表。

I am deeply grateful to have the comfort of knowing that I’ll have a choice at the end of my life. This is a blessing for me, and other seriously and incurably ill individuals. This decision allows me to approach my death in the same way I have tried to live my life – with dignity, independence, and grace.


同州では多数の類似の訴訟が起こっているので
詳細が私には整理できていないのですが、

冒頭の判決文の引用では「原告ら」と複数になっているものの
一方で、この判決で自殺幇助が可能となったのはTaylorさん一人だとも解説されており、

いずれにしてもこの判決で、今後Taylorさんと同じく
憲法適用除外の訴訟を起こす人が相次ぐだろうし、
Taylorさんにはそういう人を支援する用意がある、とも。

一方、以下のエントリーで紹介したように
連邦議会は2010年4月に合法化法案を否決しており、



また、1993年のSue Rodriguez訴訟におけるカナダ最高裁のPSA違憲判決と
今回の判決がどのように整合されるのか、という問題もあって、

今回のBC州最高裁の判決に、連邦政府が上訴するものと見られている。
上訴の期限は7月15日。

(記事には様々な立場の意見が多数紹介されていますが、
これまで他国の議論などでも繰り返されてきたことばかりなので、省略します)