Hughesの「サイボーグ市民」

今年の前半のいつだったかにNaamの「超人類へ!」を読んだ後で、
Ashley事件で大活躍をしたJames Hughesの”Citizen Cyborg”という本を買い、
何度も読もう、読もうと努力はしているのですが、
Introductionの先へと、これが、どうにも進めない。

Hughesは2004年から最近まで世界トランスヒューマニスト協会の事務局長だった人物です。

タイトルにある”サイボーグ”については、
トランスヒューマニストたちは、この点でも大体同じようなことを言っており、

例えば現在でも、
白内障の手術をして人造レンズを目に入れている人や
心臓にペースメーカーを入れている人などは既にして“サイボーグ”なのだそうで、

そういう、現在もすでに見られる“サイボーグ”から、
将来に向けて増えていくであろう、
脳とコンピューターを繋いで双方の能力を増補させた人とか、
脳と脳のインターフェイスで言葉なしに情報交換できる人とか
ナノボットを血管に入れて腎臓の機能をさせたり、
ナノボットの働きで、肥満の心配などなく思う存分に美食を堪能できる人、
などなどまでを含め、

これから先、テクニカルにヴァージョンアップしていく人間は、
みんなある程度サイボーグになっていくのである──。

──と、ちょっと衝撃的なタイトルすら、
こんなふうに透けて見えることを考えると、

「読まねば」とは思っているのに、
なんでこんなにも読む気になれないのかというと、
たぶん、この本は目次だけ見れば中身の想像がついてしまうからではないか、
という気がするので、

実際に中身を読んで、目次以上の内容があったら、
その時には改めてエントリーを立てて書くこととして、

Ashley療法の擁護に大奮闘したトランスヒューマニストが考えていることが一目瞭然の、
本書の目次を以下に。

「サイボーグ市民:
 なぜ民主的社会は未来の改良人間に対応する必要があるのか」

第1部 ベターなあなたになるためのツール

1. 科学と民主主義を通じてベターに生きる
2. 肉体をコントロールする
3. もっと長く生きる
4. もっと頭が良くなる
5. もっと幸福になる

第2部 新たなバイオポリティカルな風景

6. 未来の衝撃からバイオポリティックスへ
7. サイボーグ市民権
8. 自然法の擁護者たち
9. 左翼のバイオ・ラッダイトたち
10.アップ・ウィンガー(1)、エクストロピアン(2)、そしてトランスヒューマニスト

第3部 サイボーグ間の自由と平等

11.民主的なトランスヒューマニズム
12.トランスヒューマンの民主主義
13.未来を擁護する
14.セクシーでハイテクな、ラディカルに民主的な未来像


(注1) アップ・ウインガーとは、

トランスヒューマニズム思想の形成過程の90年代にFM-2030という人物が作った造語で、
自分たちの思想は左(レフト・ウインガー)でも右(ライト・ウインガー)でもなく、
上(アップ・ウインガー)なのだという意味。
それがどういう意味であれ。

(注2) エクストロピアンとは、

上記と同じくTHニズム形成過程で現われた概念というか思想で、エントロピーに引っ掛けた造語。
それがどういう意味であれ。