治療法研究より老化防止で医療費削減を

元論文の情報がないのがちょっと不思議な記事なのですが、

University of Illinois at Chicago の Dr. Olshansky、
University of WashingtonのDr. George Martinをはじめ
米英の老年学などの研究者総勢12人が

先進国で医療費の高騰が社会問題となっている今、
21世紀の医療は個々の病気への治療法よりも
老化のプロセスを遅らせることをターゲットに、

そのために老化防止の基礎研究にもっと多額の資金を……と訴える論文を書いています。



検索してみたら、英国医師会のジャーナル(BMJ)に掲載の以下の論文のようです。



大きな病気への治療法を見つけても、
それ自体が平均寿命に与える影響は小さいし、
病気になるのはもっぱら中年以降なのだから
老化を遅らせる方法を研究する方が健康寿命を延ばすことができて
医療費高騰問題への根本解決になる、という主張のようですが、
本当の主張は「研究費をよこせ」の方かも?

老化のプロセスを遅らせる方法は食事介入と、もちろんのことながら遺伝子操作によって

        ―――――

でも、この論文の主張を、例えば以下のWPの記事と一緒に読んでみたら、
一体どうなんだろう──?

ミドルクラスのアメリカ人の5人に3人は老後に蓄えが尽きてしまう、

ベビーブーマーが90歳まで生きるとして
60歳で仕事を辞めたら、よほど生活水準を落とさない限り80で貧困状態に陥るぞ、と。



みんなが元気で長生きになって、国として医療費が本当に削減できたとしても、
一人ひとりの高齢者は蓄えも尽きて貧困にあえいでいるというのでは
どこかで何かが転倒しているし、

そもそもアメリカは
基本的な医療もロクに受けられない無保険者や子どものことを
先にどうにかするべきじゃないのか? と思うし。

だいたい人間が病気にならなくなるわけじゃなし、
いくら寿命を延ばしても人間が死ななくなるわけでもないのに。


ちなみにトランスヒューマニストらは
これから人間の寿命は1年に1歳ずつ延びるとか、
人間はポテンシャルとしては150歳くらいまでは軽く生きられるんだとか
“長生き”についても、いろいろ夢を描いて見せています。
彼らの“長生き”発言に関するエントリーは以下。