英国医師の3分の2は自殺幇助に反対

Palliative Medicine 誌に
英国の医師に終末期医療について質問した
Queen Mary UniversityのClive Seale教授の調査結果が2つ報告されていて、

まず、
現場の医師が終末期の患者の命を縮めるために薬を与えることはほとんどなく、
あったとしても、せいぜい1週間、ほとんどは1日以内。

それから
調査に協力した4000人の医師のうち
安楽死の合法化に賛成という人は34%。
自殺幇助に賛成の人は35%。

Seale教授は2004年にも857人の医師を対象に同様の調査を行っており、
今回の結果はその時とあまり変化していない。


オランダが80年代、90年代に安楽死を認める方向に動いた背景には
オランダの医師らの意見が影響していたことを考えると
この低さには大きな意味があるが、
先週のHewitt保健相の提案を受け英国の現状では逆に
一般国民から安楽死や自殺幇助への支持が寄せられている。

命を縮めると分かって鎮痛剤を与えたことがあると答えた医師は
2004年には32,8%だったが今回は17,1%に減少。
延命の可能性がある治療を意識的に中止したことがあると答えた医師も
2004年には30,3%だったが今回は21,6%。

この違いは質問が今回は結果予測ではなく死を意図したかどうかを問うたため。

一方、16,5%のケースで医師らは鎮静剤を使って患者を深く眠らせており、
オランダの2005年の8,5%や
ベルギーの2001年の8,3%に比べて高い。

論文は
「英国での死は特に継続的な深い沈静を伴っていると思われ、
これは“時間をかけた安楽死”と解釈されかねない。
この問題のアセスメントをおこなうには
どういう状況でこうした決定が行われているのか、もっと知る必要がある」と。

この調査に協賛しているのは
The National Council for Palliative Care
Age Concern
Help the Hospices
Macmillan Cancer Support
The MND Association
The MS Society
Sue Ryder Care

NCPC倫理委員会の委員長で緩和医療顧問であるTeresa Tate医師は
「緩和ケアが必要なのに受けられないで死んでいく人が
毎年30万人もいると推計されています。
緩和ケアを必要とする人すべてに良い終末期ケアが届けることに
国のエネルギーを集中すべきでしょう」