子ども病院はWPASとの合意を覆していた? (A事件)

久々にAshley事件について新発見。

WPASの調査報告書のシアトル子ども病院との合意内容を読んで
ずっと頭に引っかかっていることの1つに、

発達障害児への成長抑制は裁判所の命令なしに行わないとの項目の中に、
「病院はWPASと協議した上で2007年9月1日までに病院としての方針を採択する」と書かれているのです。
(WPAS報告書 P.25)

ところが、その9月を過ぎても、まったくそういう話が出てこなかった。
どうなっているのか確認するすべもないまま、
もう1年以上ずっと引っかかっていたのですが、

ネットをごそごそしていたら、ひょっこりと関連文書に出くわしました。
子ども病院の方針に関する公式文書2つ。


発達障害のある患者への成長抑制介入に関する方針
http://www.napas.org/ashley/Growth-Limiting-Interventions.pdf

ただし、
①の未成年の不妊手術に関する方針の方は
2007年10月29日に起草、
Medical Executive Committeeによって11月15日に承認され、
翌16日に改定された上で病院長、副病院長兼総看護師長、副病院長兼医療部長の3名が署名して
採択されていますが、

②の「発達障害のある患者への成長抑制介入」に関する方針の方は
2008年4月11日に起草されたまま、
Medical Executive Committeeの承認欄も
病院長らの書名欄も空白のままなのです。

これは一体どういうことなのか──?

シアトル子ども病院は
不妊手術に関してのみ予定よりも2ヶ月遅れで方針を採択したものの、
成長抑制(ホルモンによる成長抑制、乳房芽切除など)については
当初の合意を翻したということなのでは?

しかし、病院は2007年5月の記者会見でのプレスリリースでも、
このようなことが二度と起こらないように新たなセーフガードを導入すべく検討中として、
ホルモン療法による身長抑制についても、乳房芽または子宮摘出についても
裁判所の命令なしに行わないことを明確にセーフガードに含めていました。

そもそも、その合同記者会見自体、
WPASと病院との合意を公式に発表したものなのだから、
その後もしも病院が部分的にせよ合意内容を覆すのであれば、
それは公に発表すべきことのはず。

最初から隠蔽ばかりやっている病院側はともかく、
WPASはこんな重大なことを公表もせず、
姑息にも病院側の設定したワーキンググループに加わって
なんでそうまでして病院の正当化のお先棒を担いでいるのか。