科学とテクノのネオリベラリズム
去年の11月の以下のエントリーで読んだWPの長文記事を、 訳あって、読み返してみていたところ、 製薬会社資金に信頼性を失っていく治験データ……Avanidaスキャンダル(2012/11/30) そのWP記事に寄せられた がん専門医の方からのコメントで、ものすごいことが書…
ほんの少しずつだけれど、 今の世界のあり方の本質的なところをズバリ突っ込んでくれる人が……? この記事は 地球温暖化対策としてのEUの 二酸化炭素排出量の買い取りプロジェクトが挫折したことを巡って そうした対策つぶしを強行させてしまった背景にあるの…
道徳エンハンスメントについては これまで以下のようなエントリーを書いており、 いつかこの問題の議論の全容みたいなものを どこかでチェックしてみたいと思っていたのですが、 SavulescuとSingerが「犯罪者は脳が決める。科学とテクノで犯罪予防を」1(201…
Judicial Watchの発表では 米国保健省の文書によると、 これまで米国ワクチン被害補償プログラムがHPVワクチンの被害者49人に支払った 賠償金の総額は 5,877,710ドル。 それでも、これまでに出された200件の被害の申し立ての 半分も処理されていない。 Ju…
米国の学校にスクール・ポリスが常駐し、 ささいな問題行動を犯罪視されて逮捕されたり犯罪歴となったりしている、という実態は 去年、以下のエントリーで紹介しました。 授業中にケンカをすればスクール・ポリスがやってくる。そして逮捕(TX)(2012/1/12…
② Human papillomavirus (HPV) vaccines as an option for preventing cervical malignancies: (how) effective and safe? Tomljenovic L, Spinosa JP, Shaw CA. Curr Pharm Des. 2013; 19(8):1466-87 We carried out a systematic review of HPV vaccine pr…
カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学の研究者らによる論文のアブストラクトを このエントリーで1本、この後のエントリーで2本、計3本、全訳で。 ただ翻訳は、 とり急ぎ、ざっとやってみたものに過ぎません。 ご了解ください。 ① Human papillomavirus (H…
デンバー子ども病院が2004年から2007年に行った小児のDCD(心臓死後臓器提供)のうち2例で心停止から75秒だけ待って心臓を摘出したと報告した問題について2008年に以下のエントリーで紹介しました ↓心臓を停止から75秒で摘出・移植しているデンバー子ども…
Yale大学のInterdisciplinary Center of Bioethicsが 今年12月に開く予定のカンファ。 テーマは “Personhood Beyond the Human” 共催は the Institute for Ethics and Emerging Technologies (IEET). 基調講演は Peter Singer と Steven M. Wise。 Yale to…
2008年に米国小児科学会誌に発表された 重要な論文を発見。 Loma Linda大学の研究者らが 脳死は定義も適用も難しい概念であるため 小児の脳死判定と記録には大きなバラつきがあるとの仮説を立てて検証した、というもの。 2000年から2004年にカリフォルニア州…
以下のYouTubeビデオを見たので、要点をメモ。 2013/03/28 参議院 厚生労働委員会 生活の党 はたともこの質疑 ●今回の法改正で、「子宮頸がん予防ワクチン」が「HPVワクチン」に名称変更になった。 これは「子宮頸がん予防ワクチン」という名称が必ずしも適…
先週火曜日に以下のエントリーを書きました。 生きたいのにICなしのモルヒネ投与で死んでしまったALSの元外科医(MT州)(2013/3/26) この事例をめぐって、某MLで ALS患者の支援の専門家と緩和ケアの専門医の方の間で 興味深いやり取りがありました。 私はALS…
しばらく前に、どこかのエントリーのコメント欄で 話題になった新聞の話――。 我が家はかなり長くA新聞を読んでいたのだけれど、 1年くらい前にやめて、とりあえず今はM新聞を読んでいる。 去年、次の契約をとりに来たA新聞の パパイヤ鈴木そっくりな兄ちゃん…
① <子宮頸がん>予防ワクチン副作用 被害者連絡会が発足 Yahoo!ニュース (2013年3月25日) 同会の池田利恵事務局長(東京都日野市議)は記者会見で「子宮頸がんワクチンが本当にがんを減らす効果があるのか疑問。救済制度も不十分だ」と指摘 「本当にがん…
有機的統合性に基づく脳死定義へのアラン・シューモンの批判といえば、 日本で臓器移植問題に興味のある人が思い出すのは小松美彦氏の「脳死・臓器移植の本当の話」(PHP新書)。 小松氏の「有機的統合性」概念批判の概要はこちらに ↓ 有機的統合性は“脳死=…
カナダの生命倫理学者、カルガリー大の Walter Glennonが Cambridge Journal of Healthcare Ethics 4月号で デッド・ドナー・ルール(死亡提供ルール)に疑問を呈している。 アブストラクトはなく、最初の1ページは以下。 ↓ The Moral Insignificance of Deat…
癌治療の創薬といえば、 科学とテクノの国際競争が最も過酷になっている領域だろうということくらいは いくら素人の私にだって想像はつくのだけれど、 その領域で有名な基礎研究の信憑性をめぐって なんとも恐ろしい話がWPに出ている。 その研究とは、昨年Na…
月刊誌『介護保険情報』の冒頭に「風速計」というコラムがあって、 これは、いわば同誌の「社説」。 3月号の「風速計」(p.4)によると、 患者が生活保護受給者の場合に、 医師がジェネリック薬の使用が可能だと判断した場合には 医療機関が後発医薬品の使用…
米国コネチカット州の夫婦が 超音波検査で胎児に脳や心臓に損傷があるなど重度の先天異常が複数見つかったために それが最も人道的だとして代理母に1万ドルで中絶を要求。 代理母は最初は15000ドルなら中絶すると答え、夫婦はそれを拒否。 その後、代理母は…
英国とオーストラリアの研究者らが 1995年から2012年の間に行われた生殖補助技術を使って生まれた子どもの調査報告82本の 集大成を行ったところ、 自然に生まれた子どもに比べて 生殖補助技術を利用して生まれた子どもでは 先天異常の確立が32%も高いことが…
新たな調査によると、英国人は他のヨーロッパ諸国に比べて 寿命が短く、なおかつ健康度が低い、という結果が出たことを受け、 Guardianに出ている「長生きする10の方法」という記事が面白い。 なんせ、その第1が「日本に移住しましょう」。 健康寿命が世…
米国フロリダ州在住のシングル・マザーGalitさん(仮名 39歳)は イスラエル人のドナー精子で娘を産んだ。 その時に、5回分の精子サンプルを購入し、 精子バンクに保管してもらった。 この度、次の子どもを産もうと考えたところ、 ドナーの男性が「改宗して…
老い(エイジング)について語る際に、 「ノーマルな」「健康な」「サクセス」などの形容をすることは 高齢者に対する社会の捉え方を捻じ曲げる、との問題提起がカナダから。 カナダの高齢者アドボケイト、 the Seniors Association of Greater Edmontonの前…
去年は、こんな話まで出てくるほど ↓ 「生徒に生体データ・ブレスレットつけさせ教師の技量を評価」研究に、ゲイツ財団から100万ドル(2012/6/19) 米国の教育改革は徹底した成果主義で、 生徒の成績アップ率など、教師を評価するシステムを作って ダメ教師を…
去年、以下のエントリーを書いた時に、 ビッグ・ファーマのビッグな賠償金(2012/7/4) メルク社が 鎮痛剤 Vioxx がリューマチで認可される前から治療薬として違法なプロモを行い、 その後、心筋梗塞リスクが判明し、04年に市場から引き上げられた件で 売り上…
堤未果の「ルポ貧困大国アメリカ」を思い出す記事がProPublicaに――。 思いだすのは、例えば、 08年に読んだ時のエントリーで以下のように書いたこと。 詐欺同然の口車で軍にリクルートしては真っ先にイラクの前線に送り込む恐ろしいカラクリ。 貧困が徴兵装…
ドイツ政府の研究で犯罪者の脳を調査してきたDas Bild医師が、 Daily Mail 紙のインタビューで、 凶悪犯の脳スキャンではほぼ全例で中心葉の下部に黒い塊が見られ、 その部位こそが「邪悪帯(evil patch)」だと。 そうした部位に腫瘍ができたり損傷を負うこ…
化粧品、シャンプーや石鹸などの、身の廻りのケア製品には 安全性がまったく確認されていない化学物質が大量に使われている、という衝撃の記事。 あ、一応、米国の話です(が……)。 The Environmental Working Groupがネット上で 79000品目以上の製品のデー…
NICE(国立医療技術評価機構)が現在作成中の改定ガイドラインにより、 英国NHSにおける乳がん戦略は予防重視にシフトし、 家族歴や遺伝子情報から乳がん発症リスクが高・中等度とされる女性に対して NHSで予防薬の投与が行われるよう提言されることに。 現在…
昨年、臓器不足解消に向けて 16歳以上の全員にドナーになる意思確認をするよう制度改正が行われたばかりのドイツで 国内47か所の全移植センターに医療委員会の調査が入る深刻な事態となっている。 現在のところまでに明らかになっているのは 少なくとも4つの…