化粧品には、安全性が確認されていない化学物質がたくさん使われている

化粧品、シャンプーや石鹸などの、身の廻りのケア製品には
安全性がまったく確認されていない化学物質が大量に使われている、という衝撃の記事。

あ、一応、米国の話です(が……)。

The Environmental Working Groupがネット上で
79000品目以上の製品のデータベースを公開しているが、

そこで使われているのは10500種もの化学物質で、
そのうち企業側が安全性のアセスメントをしたと認めているのは5分の1以下。

発がん性で悪名高いフォルムアルデヒドも、
ダイオキシンも鉛も、ごく身近な製品に含まれているし、

内分泌かく乱物質であるフタルエステルは
CDC(疾病予防管理センター)の調査ではほぼ全員から検出された。

人の体に触れて吸収されていくという点では
これらの製品は食べ物と同じでありながら、
こうしたケア製品が市場に出回る前にはFDAの規制は行われない。

規制しないが、FDAのサイトには
「化粧品会社には自社製品の安全性を実証する責任があります」と書かれている。

消費者が身を守る手段の1つは訴訟だが、
こうした危険な化学物質がすぐに人体に反応を起こすとは限らず、
因果関係が指摘されたり、立証されるには長い時間がかかってしまう。

あとは十分な検査を求めることしかないが、
残虐な動物実験はなくしていこうとの機運は高まっており、
ヨーロッパ・ユニオンは来月から動物で実験した成分の化粧品利用は一切禁じる。

これはこれで逆に動物実験を義務付けている中国でのビジネスとのジレンマもあるが、
シャンプーの安全性確認のために
わざわざ動物に実験を、とまで多くの人は望まないだろう。

動物実験は、それが人間の命を救うことにつながり、
他にそれに代わる手段がどうしてもない場合にのみ、
やむを得ず用いられてしかり、というのが多くの人の気持ちのはずだ。

それなら、人間の体に触れるものについては、
安全と確かめられたものだけを使う、という方針はどうなのだろう。

安全性が不透明な成分を使うことは製造側には利益になっても、
消費者の利益にはならない。

危険性が判明した物質だけでなく、
危険性がまだはっきり分からない物質についても、
FDAが規制できるように制度改正を求めるべきである。

そうでなければ、我々自身が実験動物にされているに等しいが、
でも、我々だって保護を必要とする動物なのだ。

The Cosmetics Wars
NYT, February 5, 2013/02/07


因果関係が分かるまでには時間がかかり、訴訟を起こせる時にはもう遅い、という下りで
カッコ内に以下のように書かれている。

Something is causing increased rates of allergies, autism, attention-deficit hyperactivity disorder, certain cancers and other ailments, and it may take some time before we figure out the causes.

アレルギーや自閉症ADHD、ある種のガンやその他の病気の増加の原因となっているとしても、それらの原因が判明するには時間がかかる可能性がある。


これ、このブログを始めて間もないころからずっと言ってきた
「ない」研究は「ない」ことが見えなくされている科学のカラクリ……ということなんでは?

それに、
こんなふうに複合的にケミカル&(今後は)バイオ汚染が進んでいくと考えたら、
この先は何が原因で何が起こっているか因果関係も、調べようがなくなっていくんでは……?

それとも
「調べようがない」から「因果関係はない」から「安全だと前提」になっていく……んだろうか?